モンタルチーノ (伊 : Montalcino ) は、イタリア共和国 トスカーナ州 シエーナ県 にある、人口約5,600人の基礎自治体 (コムーネ )。
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ (英語版 ) というワイン で有名。
2017年1月1日、サン・ジョヴァンニ・ダッソ を編入した。
名称
この町の名はラテン語 に由来し、かつてこの地域を覆っていたさまざまな種類のオークから採られている。すなわち、mons (山) と ilex (トキワガシ )からの造語であり、「トキワガシの山」を意味する。
地理
位置・広がり
シエナ県南部に位置するコムーネで、その領域はおおむね四角形状である。西と南はグロッセート県 と接している。ピエンツァ から西へ約16km、県都シエーナ から南南東へ約32km、グロッセート から北東へ約45km、ペルージャ から西へ約73km、州都フィレンツェ から南南東へ約82kmの距離にある。
隣接コムーネ
隣接するコムーネは以下の通り。括弧内のGRはグロッセート県 所属を示す。
気候分類・地震分類
モンタルチーノにおけるイタリアの気候分類 (it ) および度日は、zona E, 2308 GGである[ 4] 。
また、イタリアの地震リスク階級 (it ) では、zona 3 (sismicità bassa) に分類される[ 5] 。
主要な集落
モンタルチーノ の本村(人口約2000人)は、コムーネのほぼ中央部(やや北東寄り)に位置する。街の高所からは、アッソやオンブローネ、アルビア谷など、オリーブ園やブドウ畑、畑や村が点在するトスカーナ地方の雄大な眺めを見ることができる。また、丘の麓にはブドウ園やオリーブ園が広がっている。
コムーネ北東部にトッレニエリ (Torrenieri 、約1200人)、南東部にカステルヌオーヴォ・デッラバーテ (Castelnuovo dell'Abate 、約200人)、南部にサンタンジェロ・イン・コッレ (Sant'angelo In Colle、約150人)やスタツィオーネ・サンタンジェロ=チニジャーノ (Stazione Sant'angelo-cinigiano、約200人)の集落がある。
モンタルチーノ
トッレニエリ
カステルヌオーヴォ・デッラバーテ
カステルヌオーヴォ・デッラバーテから
歴史
モンタルチーノが位置する丘は、おそらくはエトルリア 時代には人々が定住していた。史料で初めてこの町が現れるのは814年 のことである。この文書からは、9世紀にこの地に教会があり、付近のサンタンティモ修道院 (Abbey of Sant'Antimo ) の修道僧たちと関連があったことが示唆されている。街の人口は10世紀半ば、付近のロゼッレ (Rusellae ) の街(現在はグロッセート の分離集落)から逃れてきた人々が移り住んだことによって急増した。
中世にこの町は皮革生産で知られており、高級な革から靴やその他の革製品を製造していた。時代が流れるにつれ、モンタルチーノを含めた高台の町々は経済的に衰退していく。トスカーナの多くの街がそうであるように、モンタルチーノは長い平和の時代を経験し、ささやかな繁栄を謳歌した。しかしながら、こうした繁栄はしばしば動乱によって中断した。中世後期、ローマとフランスとを結ぶ古い街道「ヴィア・フランチジェナ」 (Via Francigena ) 沿いのこの街は、かなりの重要性を持った独立したコムーネであった。しかし、やがてより大きく野心的なシエーナ共和国 の支配下に組み込まれていく。
1260年のモンタペルティの戦い (Battle of Montaperti ) 以後、モンタルチーノはシエーナの衛星都市となったが、シエーナが巻き込まれたさまざまな抗争(とくに15~16世紀にはシエーナとフィレンツェの抗争)の巻き添えを受けることとなった。また、北部・中部イタリアの都市と同様、教皇派と皇帝派 の争いにも巻き込まれた。
1555年、シエーナ共和国はメディチ家のフィレンツェ共和国によって征服される。モンタルチーノでは4年間にわたって強い抵抗が行われるが、最終的にはフィレンツェの膝下に屈した。その後、トスカーナ大公国 が1861年 にイタリア王国 に編入されるまで、この町はフィレンツェの支配下に置かれた[ 6] 。
産業・経済
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ
モンタルチーノでは、著名なワイン「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ (英語版 ) 」の生産によって経済は成長している。このワインは、コムーネで栽培されるsangiovese grosso種のブドウから生産される。ワイン生産者の数は1960年代には11であったが、今日では200以上に増加しており、年間33万ケースの「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」が出荷されている。「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」は、保証つき統制原産地呼称 (DOCG)の指定を受けた最初のワインであった。
ブルネッロ・ディ・モンタルチーノは5年間の熟成を要するが、これに加えて6年を要するリゼルヴァワイン、sangiovese grossoでつくられ1年寝かせた「ロッソ・ディ・モンタルチーノ」(Rosso di Montalcino, DOC)、そのほかさまざまなトスカーナ・ワインが生産されている。
文化・観光
脚注
外部リンク
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