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バリン
別称
2-amino-3-methylbutanoic acid
識別情報
CAS登録番号
516-06-3 (DL -体), 72-18-4 (L -体), 640-68-6 (D -体)
PubChem
1182
ChemSpider
6050
UNII
4CA13A832H
J-GLOBAL ID
200907046167098126
EC番号
208-220-0
KEGG
C16436 (DL -体)C00183 (L -体)D00039 (L -体医薬品)C06417 (D -体)
ChEMBL
CHEMBL43068
InChI=1S/C5H11NO2/c1-3(2)4(6)5(7)8/h3-4H,6H2,1-2H3,(H,7,8)/t4-/m0/s1
Key: KZSNJWFQEVHDMF-BYPYZUCNSA-N
InChI=1/C5H11NO2/c1-3(2)4(6)5(7)8/h3-4H,6H2,1-2H3,(H,7,8)/t4-/m0/s1
Key: KZSNJWFQEVHDMF-BYPYZUCNBW
特性[ 2]
化学式
C5 H11 NO2
モル質量
117.15 g mol−1
示性式
HO2 CCH(NH2 )CH(CH3 )2
密度
1.316 g/cm3
融点
298 °C (分解)
水 への溶解度
soluble
酸解離定数 pK a
2.32 (カルボキシル基), 9.62 (アミノ基)[ 1]
特記なき場合、データは常温 (25 °C )・常圧 (100 kPa) におけるものである。
バリン (valine 、略称:Val またはV [ 3] ) は、α-アミノ酸 の1種で、側鎖 にイソプロピル基 を持つ。2-アミノイソ吉草酸 とも呼ばれる。吉草根(valerian , セイヨウカノコソウ の根)が名前の由来である。
ロイシン やイソロイシン と同様に、疎水性 アミノ酸、非極性側鎖アミノ酸に分類される。L -バリンは20のタンパク質を構成するアミノ酸 のうちの1つで、必須アミノ酸 である。コドン はGUU、GUC、GUAとGUGがある。無極性物質 である。糖原性 を持つ。
鎌状赤血球症 は、ヘモグロビン 中で親水性アミノ酸であるグルタミン酸 がバリンに置き換わることによって折りたたみ構造に変化が起きることが原因である。
構造
IUPAC によると、カルボキシ基 に結合 している炭素 原子 を1として4や4'の炭素原子にメチル基 が結合している[ 4] 。2位の炭素は不斉炭素 となっており、光学異性体 が存在する。
利用
バリンを多く含む食品として、カッテージチーズ 、魚 、鶏肉 、牛肉 、ラッカセイ 、ゴマ 、レンズマメ が挙げられる。
タバコ 製造業の上位5社の1994年の報告によると、バリンは紙巻タバコ への599の添加物のうちの1つである。他の添加物と同様、添加の目的は明らかにされていない。
生合成
植物 で、解糖系 の中間体であるピルビン酸 から、アセト乳酸シンターゼ (EC 4.1.3.18 = EC 2.2.1.6)、ケトール酸レダクトイソメラーゼ (EC 1.1.1.86)、ジヒドロキシ酸デヒドラターゼ (EC 4.1.2.9) の作用により合成される 中間体のα-ケトイソ吉草酸 が、ロイシンアミノトランスフェラーゼ (EC 2.6.1.6) の作用によりグルタミン酸からのアミノ基転移 を受けて合成される。最初の部分の過程はロイシン の合成と同じである[ 5] 。
EC 4.1.3.18: ピルビン酸 → 2-アセト乳酸 + CO2
EC 1.1.1.86: 2-アセト乳酸 + NADPH + H+ → 2,3-ジヒドロキシイソ吉草酸 + NADP+
EC 4.1.2.9: 2,3-ジヒドロキシイソ吉草酸→ 2-オキソイソ吉草酸 + H2 O
EC 2.6.1.6: 2-オキソイソ吉草酸 + L-グルタミン酸 → L-バリン + 2-オキソグルタル酸
この反応に関わる酵素には次のようなものがある。
アセト乳酸シンターゼ (英語版 )
アセトヒドロキシ酸イソメロリダクターゼ
ジヒドロキシ酸デヒドラターゼ (英語版 )
バリンアミノ基転移酵素
代謝性疾患
バリン分解は以下の代謝性疾患で障害される。
合成
ラセミ体 のバリンはイソ吉草酸 のブロモ化とそれに続く、α-ブロモ体のアミノ化反応によって合成できる[ 6] 。
HO2 CCH2 CH(CH3 )2 + Br2 → HO2 CCHBrCH(CH3 )2 + HBr
HO2 CCHBrCH(CH3 )2 + 2 NH3 → HO2 CCH(NH2 )CH(CH3 )2 + NH4 Br
出典
^ Dawson, R.M.C., et al., Data for Biochemical Research , Oxford, Clarendon Press, 1959.
^ Weast, Robert C., ed. (1981), CRC Handbook of Chemistry and Physics (62nd ed.), Boca Raton, FL: CRC Press, p. C-569, ISBN 0-8493-0462-8 .
^ “Nomenclature and symbolism for amino acids and peptides (IUPAC-IUB Recommendations 1983)”, Pure Appl. Chem. 56 (5): 595–624, (1984), doi :10.1351/pac198456050595
.
^ Jones, J. H., ed (1985). Amino Acids, Peptides and Proteins . Specialist Periodical Reports. 16 . ロンドン : 王立化学会 . p. 389. ISBN 978-0-85186-144-9
^ Lehninger, Albert L.; Nelson, David L.; Cox, Michael M. (2000), Principles of Biochemistry (3rd ed.), New York: W. H. Freeman, ISBN 1-57259-153-6 .
^ Marvel, C. S. (1940). "dl -Valine" . Organic Syntheses (英語). 20 : 106. ; Collective Volume , vol. 3, p. 848 .
外部リンク