このようなエンジンを設計するにあたって初期の試みで直面したのが、デルタを構成する3本のシリンダー内のすべてのピストンが、正しいシーケンスで動作するように配列することの困難さであった。そしてこの問題こそがユンカース・モトーレンバウ社が、三角形配列をあきらめてダイヤモンド配列、4クランク軸、24気筒のユンカース Jumo233試作機の製作を進めた原因であった。海軍本部技術研究所付き上級製図者のMr. Herbert Penwardenが、正しいピストン位相を実現するためには1本のクランク軸が反時計回りに回転する必要があることを指摘した。そこでネイピアの技術者たちは、そのうちの1本を他の2本とは逆方向に回転させるのに必要なギアトレーンを製作した。
給気弁も排気弁も持たない対向ピストン式のデザインであり、またポートの位置を変更する機能も持たないことから、デルティックエンジンのデザインでは、おのおののクランク軸に、同一平面の異なるシリンダー内で動作する隣接した二つのピストンを"fork and blade"コネクティングロッド(二股コンロッド)を用いて接続するように構成する。後者(blade側)の”給気ピストン”は給気ポートを開閉するのに使用され、前者の(隣接するシリンダー内にある)”排気ピストン”は排気ポートを開閉するのに使われる。このことから、おのおののシリンダーバンク内での点火時期は60度の隔たりを持つことが導かれる。
55形は2基のD18-25 series II type Vデルティックエンジンを搭載しており、強制給気の18気筒エンジンはそれぞれ、定格連続運転出力が1,500 rpmで1,650 hp (1,230 kW) であった[6]。クラス23は1基の9気筒でより小出力のターボ過給器付きT9-29 デルティックを搭載しており、その出力は1,100 hp (820 kW)であった[7][8]。
^Here and There. “A 2,500 hp Two-stroke” (PDF). Flight: 392. (2 April 1954). http://www.flightglobal.com/pdfarchive/view/1954/1954%20-%200870.html23 December 2009閲覧. "POWERING H.M. fast patrol boat Dark
Hunter, launched on March 18th, is a
Napier Deltic engine. An opposed-piston
two-stroke diesel, it develops 2,500 s.h.p.;
its power/weight ratio (4.2 lb/h.p.) is said
to be the highest ever achieved in a marine
diesel."
Bryan "Bob" Boyle (2000). The Napier Way. Bookmarque Publishing. ISBN1-870519-57-4
Alan Vessey (compiler) (1997). Napier Powered. Tempus. ISBN0-7524-0766-X
Brian Webb (1982). The Deltic Locomotives of British Rail. David&Charles. ISBN0-7153-8110-5
Chatterton, Ernest Edward (1956). “The Napier Deltic Diesel Engine,”. SAE Technical Paper (SAE International) (560038). doi:10.4271/560038.
Chamberlin, R. H. (2006). “Paper 3: The Napier Deltic Diesel Engine in Main-Line Locomotives”. Proceedings of the Institution of Mechanical Engineers, Conference Proceedings178 (11): 53–73. doi:10.1243/PIME_CONF_1963_178_299_02. ISSN0367-8849.