タイガース・オブ・パンタン [ 1] (Tygers of Pan Tang )は、イングランド 出身のヘヴィメタル ・バンド 。
1970年代 末に勃興したムーヴメント「NWOBHM 」から台頭したグループの一つ。1980年代 に解散していたが、1999年 に再始動を果たした。実力派のギタリスト、ジョン・サイクス を輩出したことでも知られる。
バンド名は、マイケル・ムアコック のファンタジー小説『エルリック・サーガ 』に登場する魔法使いたちのペットの虎が由来。
略歴
NWOBHM期(1978年 - 1983年)
イングランド のタイン・アンド・ウィア で、ジェス・コックス(ボーカル)、ロブ・ウィアー(ギター)、リチャード・ロウズ(ベース)、ブライアン・ディック(ドラムス)によって結成。
クラブでプレイしつつ、ローカルのインディペンデント・レーベルであるニートレコードと契約し、数枚のシングルをリリースした後、1980年 にMCA からファースト・アルバム『ワイルドキャット』をリリース(プロデューサーはクリス・タンガリーディス )。1週間後にイギリスのチャートで18位まで上昇した。このアルバムを携えてサクソン のサポート・アクトとしてツアーに出た際に、同じくサポートを務めたトリオ編成のバンド、ストリート・ファイターでプレイしていたジョン・サイクス と出会う。
ジョン・サイクス (1984年)
1980年 、サイクスを2人目のギタリストとして迎え、ほぼ同時期にボーカルがコックスから元ペルシャン・リスクのジョン・デヴァレルに交替。このラインナップで1981年 にアルバム『スペルバウンド』をリリースした。
サイクスは、3枚目のアルバム『クレイジー・ナイツ』のリリース直後、オジー・オズボーン ・バンドのオーディションを受けるために脱退。フレッド・パーサー(元ペネトレイション)が後釜に座った(彼はツアー開始わずか2日前にセット・リストの曲すべてを頭に入れなければならなかった)。サイクスは後にシン・リジィ 、ホワイトスネイク などで活躍する。
1982年 、4枚目のアルバム『危険なパラダイス』をリリース(シングル・カットされた「ラヴ・ポーションNo.9」と「デンジャー・イン・パラダイス」の2曲のみ、脱退したサイクスのプレイが聴ける)。本作は彼らのキャリアを通じて最も成功したアルバムとなる。この年に初来日公演。
1983年 、彼らにより多くのカバー曲のレコーディングを要求するMCAレコード とグループは対立し、彼らはレコード会社の移籍を要望する。だがMCAが提示した補償金は他のいかなるレコード会社にも支払い不可能な金額であった。結局このごたごたが元でバンドは解散する。ニートレコード、MCA時代の音源は多くのコンピレーション・アルバム、ライブ・アルバムとしてリリースされた。
再結成(1985年 - 1987年、1999年)
1985年 、ジョン・デヴァリルとブライアン・ディックは、スティーヴ・ラム(ギター、元サージャント)、ニール・シェファード(ギター)、クリン・アーウィン(ベース、元ウォーリアー、サタン)というラインナップでバンドを再結成(まもなくアーウィンはデイヴ・ドナルドソンに交替)。同時期にロブ・ウィアーとジェス・コックスもスピン・オフ・グループ「タイガー・タイガー」を結成する。
再結成パンタンは、1985年夏にアルバム『ザ・レック・エイジ』をミュージック・フォー・ネイションズ から、1987年 に『バーニング・イン・ザ・シェイド』をゼブラ・レコードからリリースしたが、『バーニング・イン・ザ・シェイド』は大した反響を得られず、再び解散した。
1998年 のヴァッケン・オープン・エア において、ジェス・コックスが「ブリッツクリーグ」のステージに飛び入りし、タイガース・オブ・パンタンのナンバーを披露した。観客のリアクションも好意的なもので、翌1999年 にはパンタン結成20周年、およびヴァッケン・オープン・エア10周年を記念して一時的に再結成、ヴァッケンのメイン・ステージで演奏した(メンバーはジェス・コックス、ロブ・ウィアー、グレン・S.ハウズ、ギャヴァン・グレイ、クリス・パーシー)。この模様は『Live at Wacken』としてリリースされた。
ロブ・ウィアー主導体制(2000年 - 現在)
2000年 、オリジナル・メンバーはロブ・ウィアーのみで再編成。翌2001年 Zレコードからアルバム『Mystical』をリリースするが、セールス不振で翌年にはZレコードから契約を破棄される。
2003年 11月4日 、「ガールスクール 」「オリヴァー・ドーソン・サクソン 」「タイガース・オブ・パンタン」の3つのバンドの楽曲を集めたコンピレーション・アルバム『The Second Wave: 25 Years Of NWOBHM』をリリース。2004年にはニュー・シンガー、リッチー・ウィックスを迎えてアルバム『Noises from the Cathouse』をリリースした。数年後、ウィックスはイタリア人シンガー、ジャコポ・メイレに交替。
2007年 10月、タイガース・オブ・パンタンは、1980年代初頭のレパートリー3曲のリ・レコーディングを含む5曲入りの限定版EP『Back And Beyond』をリリース。2008年5月にはジャコポ・メイレ加入後初のアルバム『アニマル・インスティクト』を発表した。
2015年 、デビューメンバーのボーカリスト ジェス・コックスが、本体とは別にタイガース・オブ・パンタン名義で活動。
2018年 、『JAPANESE ASSAULT FEST 18』にて、36年ぶりとなる来日公演を開催[ 2] 。
備考補足
リッチー・ウィックスはその後、シャドウ・キープに加入し、2008年 にアルバム『The Hourglass Effect』をリリース。2010年 にはロニー・ジェイムス・ディオ 時代のブラック・サバス のトリビュート・バンド、ヘヴンリー・ヘルのボーカルを務めた[ 3] 。
ジョン・デヴァリルはジョン・デ・ヴィル (Jon De Ville) の名で俳優 としても活動。2007年 10月にはロンドン ・パラディアムでコニー・フィッシャーらとともに『サウンド・オブ・ミュージック 』の舞台に立った。
メンバー
※2023年10月時点
現ラインナップ
ロブ・ウィアー (Robb Weir) - ギター (1978年 - 1983年、1999年 - )
ジャコポ・メイレ (Jacopo Meille) - ボーカル (2004年 - )
フランチェスコ・マーラス (Francesco Marras) - ギター (2020年 - )
ギャヴィン・グレイ (Gavin Gray) - ベース (1999年、2011年 - )
クレイグ・エリス (Craig Ellis) - ドラムス (2000年 - )
ロブ・ウィアー(G) 2014年
ジャコポ・メイレ(Vo) 2014年
ギャヴィン・グレイ(B) 2014年
クレイグ・エリス(Ds) 2014年
旧メンバー
ボーカル
マーク・ブッチャー (Mark Butcher) (1978年)
ジェス・コックス (Jess Cox) (1978年 - 1981年、1999年、Jess Cox's Tygers of Pan Tang 2015年)
ジョン・デヴァリル (John Deverill) (1981年 - 1983年、1984年、1985年 - 1987年)
トニー・リデル (Tony Liddell) (2000年 - 2002年)
リッチー・ウィックス (Richie Wicks) (2002年 - 2004年)
ギター
ジョン・サイクス (John Sykes) (1980年 - 1982年)
フレッド・パーサー (Fred Purser) (1982年 - 1983年)
スティーヴ・ラム (Steve Lamb) (1984年、1985年 - 1987年)
ニール・シェファード (Neil Shepherd) (1984年、1985年 - 1987年)
グレン・S.ハウズ (Glenn S. Howes) (1999年)
ディーン・ロバートソン (Dean Robertson) (2000年 - 2013年)
ミッキー・クリスタル (Micky Crystal) - ギター (2013年 - 2020年)
ベース
リチャード・ロウズ (Richard "Rocky" Laws) (1978年 - 1983年)
コリン・アーウィン (Colin Irwin) (1983年 - 1985年)
デイヴ・ドナルドソン (Dave Donaldson) (1985年 - 1987年)
ブライアン・ウェスト (Brian West) (2000年 - 2011年)
ドラムス
ブライアン・ディック (Brian Dick) (1978年 - 1983年、1985年 - 1987年)
クリス・パーシー (Chris Percy) (1999年)
スティーヴン・プラント (Steven Plant) (1999年 - 2001年)
ディスコグラフィ
スタジオ・アルバム
『ワイルド・キャット』 - Wild Cat (1980年)
『スペルバウンド』 - Spellbound (1981年)
『クレイジー・ナイト』 - Crazy Nights (1981年)
『危険なパラダイス』 - The Cage (1982年)
『ザ・レック・エイジ』 - The Wreck-Age (1985年)
『バーニング・イン・ザ・シェイド』 - Burning in the Shade (1987年)
Mystical (2001年)
Noises from the Cathouse (2004年)
『アニマル・インスティンクト』 - Animal Instinct (2008年)[ 4]
『アンブッシュ』 - Ambush (2012年)
『タイガース・オブ・パンタン』 - Tygers of Pan Tang (2016年)
『リチュアル』 - Ritual (2019年)
『ブラッドラインズ』 - Bloodlines (2023年)
ライブ・アルバム
BBC in Concert (1981年)
Live at Wacken (2001年)
『ライヴ・アット・ノッティンガム・ロック・シティ〜フィーチャリング・ジョン・サイクス』 - Live at Nottingham Rock City (2001年)
Live in the Roar (2003年)
Leg of the Boot: Live in Holland (2005年)
『ライヴ1981〜ヘルバウンド・スペルバウンド』 - Hellbound Spellbound Live 1981 (2018年)
コンピレーション・アルバム
『ライヴ&シングルズ』 - Tygers of Pan Tang (1982年)
The Best of Tygers of Pan Tang (1984年)
『ベスト・オブ・ジョン・サイクス ジョン・サイクス・ウィズ・タイガース・オブ・パンタン』 - John Sykes With Tygers Of Pan Tang (1984年)
First Kill (1986年) ※初期のデモ・レコーディング集
Hellbound (1989年)
『シングルズ』 - Singles (1992年)
On the Prowl: The Best of (1999年)
Detonated (2005年)
Big Game Hunting (The Rarities) (2005年)
Bad Bad Kitty (2005年)
EP
Back And Beyond (2007年) ※3,000枚の限定プレス[ 5]
The Wildcat Sessions (2010年)[ 5]
The Spellbound Sessions (2011年) ※1,000枚の限定プレス[ 6]
The Crazy Nights Sessions (30th Anniversary Special Edition) (2014年)
シングル
"Don't Touch Me There" / "Burning Up" / "Bad Times" (1979年)
"Rock 'N' Roll Man" / "All Right on the Night" / "Wild Cats" (1980年)
"Suzie Smiled" / "Tush" (1980年)
"Euthanasia" / "Straight as a Die" (1980年)
"Don't Stop By" / "Slave to Freedom" (live) / "Raised on Rock" (live) (1981年)
"Hellbound" / "Don't Give a Damn" / "Don't Take Nothing" / "Bad Times" (1981年) ※全英 48位
"The Story So Far" / "Silver and Gold" / "All or Nothing" (1981年)
"Love Don't Stay" / "Paradise Drive" (1981年)
"Do It Good" / "Slip Away" (1982年)
"Making Tracks" / "What You Sayin'" (1982年)
"Paris By Air" / "Love's a Lie" (1982年) ※全英63位
"Rendezvous" / "Life of Crime" (1982年) ※全英49位
「ラヴ・ポーションNo.9」 - "Love Potion No. 9" / "The Stormlands" (1982年) ※全英45位[ 7]
"Lonely at the Top" / "You Always See What You Want" (1983年)[ 4]
"Only The Brave" (2016年)
"White Lines / Don't Touch Me There" (2019年)
日本公演
9月26日 東京・渋谷公会堂、27日 名古屋・勤労会館、28日 大阪・厚生年金会館、29日,30日 東京・中野サンプラザ
11月4日 "JAPANESE ASSAULT FEST 18" 吉祥寺CLUB SEATA
脚注
外部リンク