スウェーデンの県(スウェーデンのけん)は、第1レベル区分の地方自治体であり、役割の異なる2種類の行政組織、レーン (län) とランスティング (Landsting) からなる。前者は国会と政府の出先機関であり、後者は県民の代表である。レーンの総数は21で、ランスティングの数は20となっている。狭義に県は、レーンのみをさしている。
行政上、コミューンを第一次コミューン (primärkommun) 、ランスティングを第二次コミューン (sekundärkommun) とする呼称もあり、法的にランスティングはコミューンの集合体とされている[1]。
ランスティングの境はレーンの境とほぼ一致し、名称も「イェムトランド県ランスティング」などとレーンの名前を関したものが多いため、ランスティングをコミューンの一種とすることは日常的にはない。ゴットランド県は島という地理的性格上、レーンがランスティングの役割も担っているので、ランスティングの数はレーンよりも一つ少なくなっている。
レーンとランスティングの意思決定機関
レーンの意志決定機関は委員の定数が12の執行委員会 (Länsstyrelsen) で、その委員長を兼ねる知事は政府によって指名される。執行委員会の他の委員は県民により、ランスティングを通じて選ばれる。
ランスティングの最高議決機関はレーンの執行委員会より定数も多いランスティング議会で、議長は県民によって選ばれた議員間の互選で決まる。ランスティング議会の定数は県の人口数に応じてまちまちである。
レーンとランスティングの運営主体
レーンが主に県内における法律的・行政的許認可や警察の運営を行うのに対して、ランスティングは主に医療行政を行う(財政の96%が保健関連[2])など、その役割は異なる。
ランスティングは県というよりも、行政単位としては県よりも小さい市がより効率的な広域行政を進めるために近隣の市と発展的に連合した行政組織であるとする解釈もある。例えば、人口の多寡によって地方自治体の収入額は左右されるので、人口の少ない自治体では公立病院の経営などに財政上問題を来す場合がある。そのような問題を避けるために周辺の自治体(この場合は市)がレーンとは別の行政組織としてランスティングを設立したとする解釈である。
レーンの一覧
各レーンはアルファベット一文字もしくは二文字の略号がある。県名のアルファベット順。面積はNE (Nationalencyklopedin) 、人口は2007年6月30日時点におけるスウェーデン統計局 (SCB: Statistiska centralbyrån) の調査による。
廃止されたレーン
スウェーデン統治下のフィンランドにおける県(レーン)については、フィンランドの州の項目を参照
脚注
- ^ 根拠法:市法 Kommunallag 法律番号 SFS 1991:900
- ^ 翁百合ほか『北欧モデル : 何が政策イノベーションを生み出すのか』日本経済新聞出版社、2012年11月、201-206頁。ISBN 9784532355432。
参考文献
- (財)自治体国際化協会(編)『スウェーデンの地方自治』(PDF版)、2004年
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各列内は五十音順。バチカンは国際連合非加盟。「その他」は国家の承認を得る国が少ない、または無い国であり、国際連合非加盟。国家承認を得た国連非加盟の国と地域の一覧も参照。
- ^ ウラル山脈以東はアジアに分類されることもある。
- ^ a b c アジアに分類されることもある。
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