ジープ・グランドチェロキーグランドチェロキー(Grand Cherokee)は、ジープブランドで販売されるクライスラーのSUVである。 米国ミシガン州のジェファーソンノース工場で製造されているが(後述のグランドチェロキーLはマックスアベニュー完成車工場)、ヨーロッパ向けの車両はオーストリアのマグナ・シュタイア(グラーツ工場)によって製造される。 歴代モデル初代 ZJ(本国モデル)・ZG(輸出モデル)(1993年-1998年)
1992年の北米国際オートショーで発表され、翌1993年に販売開始。当初は1980年代後半に発売される予定であったが、クライスラーのCEOのリー・アイアコッカにより試作車の再設計が命じられたため、1993年にフォード・エクスプローラーの対抗車種として発売された。 エンジンは、AMCの直列6気筒4Lエンジンが搭載され、さらに1996年からはAMCのパワーテックエンジンに変更された。さらにV型8気筒エンジンは5.2Lマグナムエンジンが搭載され、1998年には4.9Lマグナムエンジン搭載モデルも用意された。また欧州仕様車には、VMモトリ製直列4気筒2.5Lの425 OHVディーゼルエンジンも搭載された。 駆動方式は四輪駆動と後輪駆動が用意され、4WDシステムはセレック・トラック4WDと、クォドラ・トラックフルタイム4WDが採用され、1996年まではコマンド・トラックパートタイム4WDも採用された。 1993年モデルには、V8 5.2Lエンジンを搭載したグランドチェロキーの上級モデルを、ジープ・グランドワゴニアとして台数限定で販売した。 1996年、マイナーチェンジ。外観については、フロントグリルやバンパーなどが変更され、フォグランプが装備された。新たにデュアルエアバッグが装備され、フェンダー部の車名書体がAMCのものからクライスラーのものに変更された。また、AMCの直列6気筒4Lエンジンも改良された。
2代目 WJ(本国モデル)・WG(輸出モデル)(1999年-2004年)
1999年発売。ダイムラー・クライスラーが発足してからのモデルだが、初代モデルから127種類の部品が流用された。 ポルシェのエンジニアリングによって、軽量化と堅牢化が施された。またスペアタイヤの位置が、荷室のサイドから床下に変更された。 直6は、初代に続きAMCの4.0Lのパワーテックエンジンだが、インテークマニホールド及びエキゾーストマニホールドが改良され若干パワーアップされたものが搭載された。V8エンジンは2種類とも設計の新しいパワーテックエンジンに変更された。トランスミッションは、自社製の42REおよび45RFE 4速ATと、545RFE 5速ATが組み合わせられ、MTは廃止された。四輪駆動システムでは、新たにクォドラ・ドライブIIがオプションで設定された。 内装も全面的に刷新され、リアドアが大型化されるなど後部座席の乗員スペースが拡大された。 同年、VMモトーリとデトロイトディーゼルによって共同開発された直列5気筒 3.1Lディーゼルターボエンジンが、欧州およびオーストラリア市場向け車両に搭載された。 2002年、メルセデス・ベンツの直列5気筒 2.7L OM647型ディーゼルエンジンを、欧州向け車両に搭載。 2004年モデルではフェイスリフトが行われ、フロントグリルの形状などが変更されたが、同年にフルモデルチェンジが行われた。また、2004年には、このモデルの生産終了にあたり、生産設備が中国の北京ジープ(北京吉普汽車)に売却され、2006年から中国で販売が開始された。なお、中国仕様車には、直6 4.0Lおよび、V8 4.7Lエンジンが搭載される。
3代目 WK(本国モデル)WH(輸出モデル)(2005年-2010年)
2004年に2005年モデルとして発売。四輪駆動システムは、クォドラ・ドライブIIを採用し、リアシート用DVDプレーヤーも設定された。 NVHが改善され、さらに、ジープでは初めてオンロード性能が謳われたモデルでもある。これは、ジープの購入層の増加を狙ったものであるが、オフロード性能は一部後退した。 エンジンは、V型6気筒 3.7 Lパワーテックエンジンと、V型8気筒 4.7 Lパワーテックエンジンが搭載され、V型8気筒 5.7 L ヘミエンジンがオプションで設定された。また、2006年モデルからは、V型8気筒 6.1 Lヘミエンジンも搭載された。さらに、欧州、南アメリカ、オーストラリアでは、メルセデス・ベンツの、V型6気筒 3.0 L OM642型コモンレールターボディーゼルエンジンが搭載され、北米でも2007年から搭載された。 2007年には、フランスのアルデシュ県で開かれたユーロ・キャンプ・ジープにおいて、ヨーロッパデビューを果たした。 2008年モデルでは、フェイスリフトが行われ、ヘッドランプの下部も円状になった。また、2009年モデルでは、5.7 Lヘミエンジンが改良された。
4代目 WK2(2010年-2021年)
2009年4月のニューヨーク国際オートショーにて、4代目が発表され、翌2010年に2011モデルとして発売が開始された。 ダイムラー・クライスラー時代に開発がスタートした関係で、プラットフォームなどのハードウェアの約30%をメルセデス・ベンツ・Mクラス(3代目、W166型)と共用。同時に、ダイムラーから技術関与を受ける最後の車両でもある。従来同様、仕向け地により左右ハンドルの両仕様が用意され、グローバルに展開される。それによってSUVからクロスオーバーSUVとなった。 新設計の4WDシステム「クォドラトラックII」や「セレクテレインシステム」の採用などに加え、ジープ初のエアサスペンションとリヤにマルチリンクを備えた4輪独立懸架式サスペンションを採用したことで、オンロードでの性能も大幅に向上した。 エンジンはV8/5.7L・HEMIや6.4L・HEMIの設定もあるが、販売の主力となるモデルは可変バルブ機構を備えた3.6LのV6・DOHCに換装された。最高出力286PS、最大トルク35.4kg-mを発生するこのユニットは、従来の4.7L・V8をパワーで55PS上回る一方、約10%の燃費向上を果たしている。トランスミッションは5ATを継承。 インテリアは各パーツの精度を向上させるとともに、カーゴルームの拡大やフロントやリアドアの開口角度を拡大。いずれも既存ユーザーの意見を形にした。リアシートリクライニング機能の採用については日本のユーザーの意見を反映させたものである[1]。 なお、このモデルは廃止となったコマンダーの客層を補完する役割も担っている。 2011年2月23日 日本仕様が発表された(発売開始は3月12日)。 マイナーチェンジ(2014)
マイナーチェンジ(2017)
トラックホーク(2018)
5代目 WL(2021年- )
2021年1月、アメリカ国内にて公開された。新型は標準仕様の「グランドチェロキー」とロングホイールベース版の「グランドチェロキーL」の2本立てとなり、前者はミシガン州デトロイトジェファーソンノース工場、後者は同州にあるマックスアベニューエンジン工場の敷地内に新設されたマックスアベニュー完成車工場にて生産される。 エクステリアは初代SJ型ワゴニアがモチーフになっており、ワゴニアから優雅なプロポーションや広々としたキャビン、ならびに特徴的な逆スラントノーズを継承[2]するとともに、ジープブランドのアイデンティティである7スロットグリルと台形のホイールアーチも採用する。 インテリアにはジーププブランド初となるダイヤル式のシフトノブ「ロータリーシフト」が全車に採用され、ZF製の8速ATが組み合わされる。 プラットフォームは一新され、アルファロメオ・ジュリアや同ステルヴィオに採用される「ジョルジオ プラットフォーム」をストレッチさせたものをジープブランドで初めて採用。駆動方式はジープの伝統に従った2種の4輪駆動(クアドラトラック、クアドラトラックII)と後輪駆動の3種である。 パワートレインはV6・3.6L、V8・5.7L HEMIに加え、グランドチェロキー初となるプラグインハイブリッド仕様も用意される。 グランドチェロキーLを例にとると、アメリカ本国におけるグレードは「Laredo」「Limited」「Overland」「Summit Reserve」の4種が用意される。 2021年12月13日には日本仕様の「グランドチェロキーL」が発表され、7人乗りの「Limited」と6人乗りの「Summit Reserve」の2種が用意される(全車V6・3.6L+8AT+クアドラトラックIIの組み合わせ)。後者には計19個のスピーカーを備えたマッキントッシュプレミアムサウンドシステム、マッサージ機能付きフロント16WAYパワーシート、ハンズフリーパワーゲート、デジタルリヤビュールームミラー等を備える。 2022年10月24日、日本向け「グランドチェロキー」を追加。全長とホイールベースが大幅に短縮された上で全車5人乗りとなり、全車4気筒ターボエンジンを採用するが、グランドチェロキー初となるプラグインハイブリッド仕様である「4xe」も設定された。 グレードはターボが「Limited」、4xeが「Limited」と「Summit Reserve」の2種(この追加を機に、Lのグレード名が「L Limited」と「L Summit Reserve」に改称された)。 脚注
外部リンク関連項目
Information related to ジープ・グランドチェロキー |