サギ科(サギか、Ardeidae)は、鳥綱のうちペリカン目に含まれる科。
サギ科は、これまで伝統的にコウノトリ目 Ciconiiformes に分類され、Sibley らによる分類体系 (1990) においては、29科を抱合するコウノトリ目に置かれたが、その後のより近代的な遺伝子解析によって、現在ではペリカン目に置くことが多く支持されている[2]。日本においても、日本鳥類目録改訂第6版 (2000) まではコウノトリ目としていたが[3]、改訂第7版 (2012) よりペリカン目に分類された[4]。
分布
アフリカ大陸、オーストラリア大陸、北アメリカ大陸、南アメリカ大陸、ユーラシア大陸、日本、フィリピン、ニュージーランド、マダガスカル。
世界におよそ72種が分布する。日本では19種が数えられ、そのうち16種が繁殖する[5]。
形態
最小種はコヨシゴイで全長29センチメートル[1]。白鷺から白い羽毛のイメージが先行するが、種により羽毛の色は異なり、コサギ属(旧・シラサギ属)内のクロサギでも白色型(全身の羽毛が白い)と黒色型(全身の羽毛が黒い)の個体がいる。
尾に水を弾く脂を分泌する器官(羽脂腺)を持たない[1]。そのため粉末状の羽毛を全身に塗り、防水処理を施す[1]。この粉末状の羽毛は、胸部などに生える粉綿羽という崩れやすい特殊な羽毛から得る[1]。第3指は扁平で、粉末状の羽毛を指につけ全身に塗るのに適している[1]。
分類
サギ亜科 Ardeinae
サンカノゴイ亜科 Botaurinae
生態
河川、湖、池沼、湿地、森林、海辺などに生息する。飛翔時には長い頸をZ字型に縮めて飛ぶ(この飛翔姿勢で、コウノトリ目やツル目の類似種と区別できる。ペリカン目の中ではペリカン科とハシビロコウ科が同じように頸を縮めて飛ぶが、シュモクドリ科とトキ科は頸を伸ばして飛ぶ)。
食性は動物食で、魚類、両生類、爬虫類、鳥類やその卵、小型哺乳類、昆虫、甲殻類などを食べる。
繁殖形態は卵生。多くの種では樹上に木の枝を組み合わせた巣を作る[1]。繁殖地にはペアを形成するが、サンカノゴイは1羽のオスに対し複数羽のメスというハーレムを形成する[1]。一部の種では集団営巣し、大規模な繁殖地(コロニー)を形成することもある[1]。
人間との関係
羽毛は装飾品として利用される。養殖された魚類を食害する害鳥とされたり、害虫を駆除する益鳥とされることもある。開発による生息地の破壊、水質汚染、羽毛用の乱獲、害鳥としての駆除などにより生息数が減少している種もいる。
和名に多用される「ゴイ」は「五位」であり、『平家物語』にある、醍醐天皇が神泉苑に行幸したときに飛来した鷺が「宣旨ぞ」との仰せを伝えられるとかしこまったために天皇が喜び「正五位」の位を授けた故事に由来する(「ゴイサギ #五位鷺という名前について」を参照)。
画像
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アカハラサギ
A. agami
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カンムリサギ
A. ralloides
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サンカノゴイ
B. stellaris
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アマサギ
B. ibis
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ササゴイ
B. striatus
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ヒロハシゴイ
C. cochlearius
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コサギ
E. garzetta
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チュウサギ
E. intermedia
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ヒメヨシゴイ
I. minutus
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ヨシゴイ
I. sinensis
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ゴイサギ
N. nycticorax
脚注
参考文献
- 『原色ワイド図鑑4 鳥』、学習研究社、1984年、130-133頁。
- 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『レッド・データ・アニマルズ6 アフリカ』、講談社、2000年、82-83、180頁。
- 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『レッド・データ・アニマルズ1 ユーラシア、北アメリカ』、講談社、2000年、64-65、180頁。
- 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『レッド・データ・アニマルズ4 インド、インドシナ』、講談社、2000年、166頁。
- 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『レッド・データ・アニマルズ8 太平洋、インド洋』、講談社、2001年、83-84、183-184頁。
- 『小学館の図鑑NEO 鳥』、小学館、2002年、22-24、130、137、168頁。
- 『世界の動物|分類と飼育 コウノトリ目+フラミンゴ目』、財団法人東京動物園協会、1985年、13-40頁
関連項目
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