グレース・ホフマン(Grace Hoffman, 1921年1月14日 - 2008年7月26日)は、アメリカ合衆国のメゾソプラノ歌手、声楽教師。
1955年から1992年まで シュトゥットガルト国立歌劇場をはじめとするヨーロッパやアメリカの主要な歌劇場に出演した。ホフマンの代名詞的な持ち役として、リヒャルト・ワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』におけるブランゲーネが挙げられる。
生涯
グレース・ホフマン、本名ゴールディ・ホフマンは、1921年1月14日、オハイオ州・クリーブランドで、ハンガリー系アメリカ人の家庭に生まれた[1]。彼女はクリーブランドのウェスタン・リザーブ大学で文学と楽理を学び、ライラ・ロベソからはじめて声楽を習い、ローマでフリードリヒ・ショールとジュゼッペ・ジェンティーレ(テノール)、マリオ・バシオラから声楽のレッスンを受けた[1]。
1951年、彼女はローザンヌの声楽コンクールで優勝し、同年ワーグナー・オペラ・カンパニーの巡回公演において、マスカーニの『カヴァレリア・ルスティカーナ』のルチア役でデビューし[2]、フィレンツェ五月音楽祭にも『アイーダ』の巫女役で出演。翌年にはチューリッヒ歌劇場に『トロヴァトーレ』のアズチェーナ役で1955年まで出演し[1]、ミラノのスカラ座には『ワルキューレ』のフリッカ役で出演、1974年にも『サロメ』のヘロディアス役で登場した[1]。その後シュトゥットガルト国立歌劇場に1992年まで定期的に出演した。
アメリカではメトロポリタン歌劇場に1958年と1971年に『トリスタンとイゾルデ』のブランゲーネ役で、1964年にカーネギー・ホールで、ドニゼッティの『マリア・ストゥアルダ』のエリザベッタ役で出演、コヴェント・ガーデンのロイヤル・オペラ・ハウスとウィーン国立歌劇場にも1961年から1990年にかけて定期的に出演した[1][3]。
バイロイト音楽祭には1957年から1970年にかけて、彼女の当たり役となった『トリスタンとイゾルデ』のブランゲーネ役で出演したほか、『ニーベルングの指環』のヴァルトラウテ、第二のノルン、『ローエングリン』のオルトルートなどを演じた[1][4]。音楽祭のメンバーとして来日もしており、1967年4月の大阪国際フェスティバルには、『ワルキューレ』のフリッカとシュベルトライテとして、8日、11日、14日、17日の公演に出演した。これはTV放映もされたが、商品化されていない[1]。
上記のほか、出演した歌劇場には、バイエルン国立歌劇場、ベルリン・ドイツ・オペラ、ライン・ドイツ・オペラ、サンフランシスコ・オペラ、フィラデルフィア・オペラ、テアトロ・コロン、パリ国立オペラ、ボルドー大劇場、ボローニャ市立劇場、フェニーチェ劇場、サン・カルロ劇場、モネ劇場、コペンハーゲン王立歌劇場、リセウ大劇場[1]などがある。1978年には歌手としての活動と並行して、シュトゥットガルト音楽演劇大学の教授に就任した[1][5]。
私生活での彼女はシュトゥットガルト近郊のネッカータイルフィンゲンに住んでいたが、2008年7月26日にシュトゥットガルトのマリエン病院[6]ですい臓がんのために87歳で死去した[5]。墓所はクリーブランドのザイオン記念公園墓地 (Zion Memorial Park Cemetery) にある[6]。
名誉
ディスコグラフィー(一部)
脚注
- ^ a b c d e f g h i Kutsch, K.-J.; Riemens, Leo (2012). “Hoffman, Grace” (ドイツ語). de:Großes Sängerlexikon (4th ed.). de:Walter de Gruyter. pp. 2108–2109. ISBN 978-3-59-844088-5. https://books.google.com/books?id=dsfq_5dFeL0C&pg=2108
- ^ “Singer Wins Thebom Award”. Capital Journal (Salem, Oregon): p. 5. (January 1, 1951). https://www.newspapers.com/clip/52303687/grace-hoffman/ May 28, 2020閲覧。
- ^ “Vorstellungen mit Grace Hoffman | Spielplanarchiv der Wiener Staatsoper”. archiv.wiener-staatsoper.at. 7 december 2024閲覧。
- ^ “Oper / Sopranistin Grace Hoffman gestorben” (ドイツ語). de:Der Spiegel. (July 28, 2008). https://www.spiegel.de/kultur/musik/oper-sopranistin-grace-hoffman-gestorben-a-568565.html May 22, 2020閲覧。.
- ^ a b “Grace Hoffman gestorben” (ドイツ語). Neue Zürcher Zeitung. dpa. (July 30, 2008). https://www.nzz.ch/grace_hoffman_gestorben-1.795190 May 28, 2020閲覧。
- ^ a b c Tina Gaedt: "Opern-Diva Hoffman tot" (in German) Bild, July 29, 2008
- ^ “In memoriam / Geburtstage im Januar 2016” (ドイツ語). onlinemerker.com (January 2016). June 6, 2020閲覧。
外部リンク