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カキラン属 (カキランぞく、学名:Epipactis 、和名漢字表記:柿蘭属)はラン科 の属 の一つ[ 2] 。
特徴
地生の多年草 。匍匐する根茎 がある。茎 は単一で直立し、葉 は互生して、披針形または卵形で、葉脈 がしわ状になる。花 は中型で穂状花序 につき、ややまばらに、または多少密につく。苞 は狭く、ときに花より長くなり葉状になる。萼片 は離生し、卵状披針形で3片はやや同形、いちじるしい稜がある。側花弁は萼片と同じ大きさで、卵形となり先端は鋭頭となる。唇弁 は上唇と下唇に分かれ、その間に明瞭な関節があり、基部は顕著な顎とならない[ 2] 。
分布
アジア、ヨーロッパ、北アメリカ、アフリカに分布し、交雑種を含めて72種ある[ 3] 。日本には2種が分布する[ 2] 。
種
日本に分布する種
和名および学名の記載はYList[ 4] による。
エゾスズラン Epipactis papillosa Franch. et Sav. - 日本では、北海道、本州、四国、九州に分布し、高地の林下に生育する[ 2] 。国外では、中国大陸東北部、朝鮮半島、ロシア極東部(沿海地方 、ハバロフスク地方 、カムチャツカ 、樺太 、千島列島 )に分布する[ 5] 。緑色の花を20-30個つける[ 2] 。
ハマカキラン Epipactis papillosa Franch. et Sav. var. sayekiana (Makino ) T.Koyama et Asai - 本州の青森県から愛知県にいたる太平洋側に分布し、海岸のクロマツ 林下に生育する。エゾスズランの変種で、唇弁の色が白色から黄緑色で赤紫色の斑紋があり、萼片が黄色を帯びる[ 2] 。絶滅危惧II類(VU)。
マルバハマカキラン Epipactis papillosa Franch. et Sav. var. sayekiana T.Koyama et Asai f. rotundifolia Asai - 神奈川県にまれに産し、ハマカキランの葉が円形に近いもの[ 2] 。
カキラン Epipactis thunbergii A.Gray - 日本では、北海道、本州、四国、九州に分布し、日当たりのよい湿地に生育する[ 2] 。国外では、中国大陸(南東部・東北部)、朝鮮半島、ロシア極東部(沿海地方、ハバロフスク地方)に分布する[ 6] 。茎の基部が紫色を帯びる。黄色の花を10個ほどつけ、唇弁の内面に紅紫色の斑紋がある[ 2] 。
キバナカキラン Epipactis thunbergii A.Gray f. flava Ohwi - 東北地方に分布し、茎の基部は紫色を帯びない。黄色の花に紫色の斑紋がない[ 2] 。
イソマカキラン Epipactis thunbergii A.Gray f. subconformis Sakata - 九州南部に分布し、唇弁が側花弁と同型のもの[ 2] 。
国外に分布する種
学名および分布域[ 3]
Epipactis africana Rendle - ケニア、タンザニア、ウガンダ、エチオピア、マラウイ、モザンビーク、ブルンジ、カメルーン、ルワンダ、ザイール
Epipactis alata Aver. & Efimov - 中国大陸(中央部・南部)、ベトナム
Epipactis albensis Nováková & Rydlo - フランス、ドイツ、オーストリア、チェコ、スロバキア、ルーマニア
Epipactis atrorubens (Hoffm.) Besser - ヨーロッパ大陸
Epipactis atromarginata Seidenf. - ベトナム
Epipactis autumnalis Doro - イタリア
Epipactis bugacensis Robatsch - オーストリア、ドイツ、ハンガリー、スイス、フランス、スペイン
Epipactis condensata Boiss. ex D.P.Young - 南コーカサス地方、トルコ、キプロス、レバノン、シリア
Epipactis dunensis (T.Stephenson & T.A.Stephenson) Godfery - イギリス
Epipactis exilis P.Delforge - ブルガリア、ギリシャ、イタリア、サルデーニャ島
Epipactis fageticola (C.E.Hermos.) Devillers-Tersch. & Devillers - スイス、フランス、スペイン、ポルトガル
Epipactis flaminia P.R.Savelli & Aless. - チェコ、スロバキア、オーストリア、ドイツ、イタリア、旧ユーゴスラビア
Epipactis flava Seidenf. - タイ
Epipactis gigantea Douglas ex Hook. - メキシコ北西部、アメリカ西部、カナダ西部
Epipactis greuteri H.Baumann & Künkele - ドイツ、チェコ、スロバキア、オーストリア、イタリア、旧ユーゴスラビア、ルーマニア、ハンガリー、ギリシャ
Epipactis guegelii Robatsch - ルーマニア
Epipactis helleborine (L.) Crantz - アジア、ヨーロッパ、アフリカ北西部
Epipactis heraclea P.Delforge & Kreutz - ギリシャ
Epipactis humilior (Tang & F.T.Wang) S.C.Chen & G.H.Zhu - 中国大陸(中央部・南部、チベット
Epipactis ioessa Bongiorni, De Vivo, Fori & Romolini - イタリア
Epipactis kleinii M.B.Crespo & M.R.Lowe & Piera - フランス、スペイン
Epipactis leptochila (Godfery) Godfery - ヨーロッパ
Epipactis lusitanica D.Tyteca - スペイン、ポルトガル、モロッコ
Epipactis mairei Schltr. - 中国大陸、チベット、ネパール、ミャンマー
Epipactis meridionalis H.Baumann & R.Lorenz - イタリア
Epipactis microphylla (Ehrh.) Sw. - ヨーロッパ、トルコ、キプロス、コーカサス地方、イラン
Epipactis muelleri Godfery - ヨーロッパ
Epipactis nordeniorum Robatsch - ドイツ、チェコ、スロバキア、オーストリア、ハンガリー、イタリア
Epipactis olympica Robatsch - ギリシャ
Epipactis palustris (L.) Crantz - ヨーロッパ、アジア中部・西部
Epipactis persica (Soó) Hausskn. ex Nannf. - 東エーゲ海諸島、トルコ、南コーカサス地方、イラン、アフガニスタン、パキスタン、西ヒマラヤ
Epipactis phyllanthes G.E.Sm. - スウェーデン、デンマーク、イギリス、アイルランド、ドイツ、オーストリア、ベルギー、フランス、スペイン
Epipactis placentina Bongiorni & P.Grünanger - チェコ、スロバキア、フランス、スイス、イタリア、コルシカ島
Epipactis pontica Taubenheim - 南コーカサス地方、トルコ、ギリシャ、旧ユーゴスラビア、イタリア、オーストリア、ハンガリー、チェコ、スロバキア
Epipactis purpurata Sm. - ヨーロッパ
Epipactis rechingeri Renz - イラン
Epipactis rivularis Kranjcev & Cicmir - 旧ユーゴスラビア、イタリア
Epipactis royleana Lindl. - チベット、ヒマラヤ、ネパール、パキスタン、アフガニスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン
Epipactis savelliana Bongiorni, De Vivo & Fori - イタリア
Epipactis stellifera Di Antonio & Veya - スイス
Epipactis tallosii A.Molnár & Robatsch - チェコ、スロバキア、ハンガリー、イタリア
Epipactis taurica Fateryga & Kreutz - クリミア
Epipactis troodi H.Lindb. - トルコ、キプロス、クレタ島
Epipactis turcica Kreutz - 東エーゲ海諸島、トルコ
Epipactis turcomanica K.P.Popov & Neshat. - トルクメニスタン
Epipactis ulugurica Mansf. - タンザニア
Epipactis veratrifolia Boiss. & Hohen. - エチオピア、ソマリアア、アラビア半島、コーカサス地方、中国大陸(南部・チベット)、トルクメニスタン、アフガニスタン、キプロス、イラン、イラク、レバノン、シリア、パレスチナ、シナイ半島、トルコ、アッサム、ヒマラヤ、インド、ネパール、パキスタン、ミャンマー
Epipactis xanthophaea Schltr. - 中国大陸(中北部・内モンゴル・東北部)
交雑種
学名および分布域[ 3]
Epipactis × barlae A.Camus - スイス
Epipactis × barreana B.Baumann & H.Baumann - イタリア
Epipactis × breinerorum Batouše - チェコ、スロバキア、オーストリア
Epipactis × bruxellensis P.Delforge - ベルギー、スウェーデン
Epipactis × cardonneae J.M.Lewin - フランス
Epipactis × conquensis Benito & C.E.Hermos. - フランス、スペイン
Epipactis × gerbaudiorum P.Delforge - フランス
Epipactis × gevaudanii P.Delforge - オーストリア、フランス、スペイン
Epipactis × graberi A.Camus - オーストリア、スイス、フランス
Epipactis × hanseniorum Batoušek - チェコ、スロバキア
Epipactis × heterogama M.Bayer - ドイツ、チェコ、スロバキア、オーストリア
Epipactis × liestalensis A.Camus - スイス
Epipactis × nicolosii M.P.Grasso & Grillo - シチリア島
Epipactis × pupplingensis K.P.Bell - スウェーデン、ドイツ、オーストリア、フランス
Epipactis × reinekei M.Bayer - ドイツ、チェコ、スロバキア、オーストリア、フランス
Epipactis × robatschii Gévaudan & P.Delforge - ハンガリー
Epipactis × schmalhausenii K.Richt. - ヨーロッパ
Epipactis × schulzei P.Fourn. - ドイツ、オーストリア、スイス、フランス、ギリシャ
Epipactis × soguksuensis Kreutz - トルコ
Epipactis × stephensonii Godfery - イギリス、ドイツ、オーストリア、フランス
Epipactis × vermionensis B.Baumann & H.Baumann - イタリア、ギリシャ
ギャラリー
脚注
参考文献