ウェスタンオンタリオ大学は一般にはウェスタン、あるいはUWOと呼ばれることが多い。2012年、法的な正式名称はそのままで、成績証明書と学位記にUniversity of Western Ontarioを用いるが、今後すべての公式広報文書とブランド資料で学名をWestern Universityとすることを発表[1]、公式サイトも「Western University, Canada」と表記されるようになった。なお、同大学は地理的にはオンタリオ州西部ではなく南東部に位置するが、トロント、オタワなどのオンタリオ州の政治・経済の中心地域から見て相対的に西方にあるためこう呼ばれる。
大学は1878年主教アイザック・ヘルマスとヒューロン英国国教会協会区により「The Western University of London Ontario」として設立された後、1863年創立されたヒューロンカレッジを統合し現在の姿となっている。創立当初の4学部は文学、神学、法学、医学部で、最初の講義が開始された1881年で、当時は学生数わずか15人であった。1916年にはキングスミル一族が現在の大学の敷地を購入し、 1923年に大学名を今の形に変更した。建学当初に建てられたArts Building(現在のUniversity College)とNatural Science Building(現在のPhysics and Astronomy Building)はネオゴシック様式のデザインである。これらの建物は歴史が深く大学の最も象徴的である建物University Collegeは第一次世界大戦へ出征した40人のミドルセックス郡出身の男子学生を讃えMiddlesex Memorial Towerと名づけられた。また、現在のPhysics and Astronomy Buildingは鬱蒼と生い茂る蔦に覆われ窓も開けられない状況であるが、これは大戦中に研究機密が外部から盗み見られないための配慮である。
ウェスタンは伝統的にパーティー大学として知られていた時期があり、今も周辺社会においてはそうした印象が根強い。また医学・歯学・経営管理学など比較的学費が高い分野の評価が高いという事実や、総長アーサー・ラバットを含めカナダの大手ビール製造会社Labattの創業者一族と大学の縁が深いことも合わせて以前はUWOを「University of Wealthy Ontarians」と呼ぶ向きもあったが、近年はその様子が随分変わってきたというのが学校関係者の一般的な印象である。健康科学部はかつて体育学部として発展したものを改組したものであるため、現在もスポーツ活動が盛んである。マクリーンズ誌による大学ランキングが示すように入学生の高校での平均成績はカナダ国内第4位に位置することからも勉強熱心な学生が近年は大半であるとされる。また学生のより学業を重視した生活スタイルへの変化の煽りを受け2004年には学内にあるバー「スポーク」も改築により大幅に縮小した。しかしながらパーティー大学としての古きよき姿を知る卒業生や大学院生、教授陣からは寧ろ同校の旧来の姿を懐かしむ声も聞かれる。