アイゼンシュタインの既約判定法(アイゼンシュタインのきやくはんていほう、英: Eisenstein's criterion)は整係数の多項式が有理数体 上で既約であるための十分条件を与える定理である。ゴットホルト・アイゼンシュタインが1850年に発表した論文が由来[1]。20世紀初頭では、シェーネマン=アイゼンシュタインの既約判定法とも呼ばれていた。これは、1846年にテオドル・シェーネマン(英語版)がこの定理を最初に発表した[2]ことに由来する[3][4]。
定理
を整数係数の多項式とする。ある素数 p が存在して、整数 a0, a1, …, an が
- i ≠ n の場合は ai は p で割り切れる
- an は p で割り切れない
- a0 は p2 で割り切れない
を満たすならば、 は有理数体 上で既約である。
上の定理の係数環 は一意分解環にまで一般化できる。即ち以下が成り立つ。証明は全く同様である。
- を一意分解環、 をその商体とする。
を 係数の多項式とする。ある の素元 p が存在して、a0, a1, …, an が
- i ≠ n の場合は ai は p で割り切れる
- an は p で割り切れない
- a0 は p2 で割り切れない
を満たすならば、 は体 上で既約である。
さらに係数環を整域にまで拡張できる(詳細は英語版を参照のこと)。
例
- 複素係数多項式 は既約である。実際 係数の一変数多項式と見て素元として と選べばよい。
脚注
関連項目
参考文献
- Cox, David A. (2011), “Why Eisenstein proved the Eisenstein criterion and why Schönemann discovered it first”, American Mathematical Monthly 118 (1): 3-31, doi:10.4169/amer.math.monthly.118.01.003 .
- Dorwart, H. L. (1935), “Irreducibility of polynomials”, American Mathematical Monthly 42 (6): 369-381, doi:10.2307/2301357, http://www.jstor.org/stable/2301357 .
- Eisenstein, Gotthold (1850), “Über die Irredicibilität une einige andere Eigenschaften der Gleichung von welche der Theilung der ganzen Lemniscate abhängt”, Journal für die reine und angewandte Mathematik 1850 (39): 160-179, doi:10.1515/crll.1850.39.160 .
- Garling, D.J.H. (1986), A Course in Galois Theory, Cambridge University Press, ISBN 0-521-31249-3 .
- Hazewinkel, Michiel, ed. (2001), “Algebraic equation”, Encyclopedia of Mathematics, Springer, ISBN 978-1-55608-010-4, https://www.encyclopediaofmath.org/index.php?title=Algebraic_equation .
- Schönemann, Theodor (1846), “Von denjenigen Moduln, welche Potenzen von Primzahlen sind”, Journal für die reine und angewandte Mathematik 1846 (32): 93-118, doi:10.1515/crll.1846.32.93 .
- Schönemann, Theodor (1850), “Über einige von Herrn Dr. Eisenstein aufgestellte Lehrsätze, irreductible Congruenzen betreffend (S.182 Bd. 39 dieses Journals)”, Journal für die reine und angewandte Mathematik 1850 (40): 185-188, doi:10.1515/crll.1850.40.185 .
外部リンク