『謙譲の聖母』(けんじょうのせいぼ、伊: Madonna dell'Umiltà、西: Virgen de la Humildad、英: Madonna of Humility)は、初期イタリア・ルネサンスの巨匠フラ・アンジェリコが1433-1435年に板上にテンペラで制作した絵画である。14世紀にイタリアのシエナで誕生した「謙譲の聖母」と呼ばれるタイプの絵画である[1]。マドリードのティッセン=ボルネミッサ美術館の所有であるが、バルセロナにあるカタルーニャ美術館に寄託されている[2][3]。
作品
聖母マリアは、立っている幼子イエス・キリストを膝の上に乗せ、地面に直接置かれたクッションに座っている。高い玉座の上から見下ろすように描かれている「荘厳の聖母」とは異なり、「謙譲の聖母」はほとんど地面すれすれに座り、つつましさと母性のイメージを強調している[1]。
左手に、母性と純潔さの象徴であるバラとユリの入った花瓶を持っている。やはりユリを持ってい幼子イエスは、額を母の頬につけている。聖母子は、3人の天使が支え持つ金と黒の刺繍の施された織物でできた「栄誉の布」の下にいる。もう2人の天使が地面に座って、オルガンとリュートを奏でている。堂々とした人物像、豪華な衣服、調節された光、青色の使用により、本作は15世紀イタリア絵画の最も純粋な様式を示している。作品は、1568年にジョルジョ・ヴァザーリによりフィレンツェのゴンディ家(英語版)にあったと叙述されている作品と同定されており、多翼祭壇画の1部であった[3]。
脚注
- ^ a b ヌヴィル・ローレ 2013年、32-33頁。
- ^ Guide of the Museu Nacional d'Art de Catalunya. MNAC, 2004. ISBN 84-8043-136-9
- ^ a b “Virgin of Humility”. カタルーニャ美術館公式サイト(英語). 2023年8月13日閲覧。
参考文献
外部リンク