『新しい夜明け 』(あたらしいよあけ、英 : New Morning )は、1970年 にリリースされたボブ・ディラン の11作目のスタジオ・アルバム 。
ビルボード・トップ LP's チャートで最高7位、全英アルバム・チャート で1位を記録した。RIAA によりゴールド・ディスク に認定されている。
解説
概要
賛否両論、物議を醸した前作『セルフ・ポートレイト 』(1970年)からわずか四ヶ月でリリースされた。レコーディング拠点をナッシュビルから久々にニューヨークに戻し、ボーカルスタイルもかつてのしわがれ声に戻している。このアルバムに先立ちディランはジョージ・ハリスン とセッションを行いその中から「イフ・ナット・フォー・ユー」はアレンジを変え今作に収録し、ジョージもアルバム『オール・シングス・マスト・パス 』(1970年)に収録している。ジョージは同アルバムにディランとの共作「アイド・ハヴ・ユー・エニータイム」も収録している。「イフ・ナット・フォー・ユー」はのちにオリビア・ニュートン=ジョン のデビュー曲ともなった。
今作ではディランはかつての『ブロンド・オン・ブロンド 』(1966年 )を彷彿とさせる曲もあり、メディアの評価も好意的ではあったが、収録曲自体はピアノ弾き語りがメインで女性コーラスの多用やジャズ、ゴスペル調のスタイルも取り入れるなど、その後のスタイルの変遷を予兆させるものとなっている。
ディランとビートルズ
ディランは、1964年 のイギリス・ツアーで、アニマルズ 、ローリング・ストーンズ 、ドノヴァン らイギリスのロック関係者と交流をもった。特にビートルズ とは仲良くなり、ジョン・レノン と車内で会話する映像が残されているが、ディランとビートルズは互いに自身の芸術感や音楽性に影響を与えあった。ディランは1965年 、ビートルズの「彼氏になりたい 」のパロディソング「アイ・ウォナ・ビー・ユー・ラバー」を制作し、ビートルズは1967年のアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド 』(1967年)のアルバム表紙に『追憶のハイウェイ61 』(1965年)におけるデイランを飾っている。
1969年 のワイト島音楽祭 の際は、宿舎でディランとビートルズ、それにザ・バンド が加わってのジャム・セッション が行われるなど、両者は旧交を温めた。ビートルズ解散後は1971年 ニューヨークのマディソン・スクウェア・ガーデンにおけるバングラデシュ・コンサート で、ディランは主催者のジョージ、リンゴらと「風に吹かれて 」など数曲を共演している。
収録曲
全曲、作詞・作曲: ボブ・ディラン
Side 1
イフ・ナット・フォー・ユー - If Not for You - 2:39
せみの鳴く日 - Day of the Locusts - 3:57
時はのどかに流れゆく - Time Passes Slowly - 2:33
ジプシーに会いに行った - Went to See the Gypsy - 2:49
ウィンタールード - Winterlude - 2:21
イフ・ドッグズ・ラン・フリー - If Dogs Run Free - 3:37
Side 2
新しい夜明け - New Morning - 3:56
サイン・オン・ザ・ウィンドウ - Sign on the Window - 3:39
ワン・モア・ウィークエンド - One More Weekend - 3:09
ザ・マン・イン・ミー - The Man in Me - 3:07
3人の天使 - Three Angels - 2:07
ファーザー・オブ・ナイト - Father of Night - 1:27
パーソネル
楽曲
1970年春、ディランは米国 の桂冠詩人 の一人であるアーチボルト・マクリーシュより、スティーヴン・ヴィンセント・ベネの短編 The Devil and Daniel Webster を戯曲化したミュージカル『スクラッチ』のための音楽を依頼され、マクリーシュの脚本を読み楽曲を提供した。「新しい夜明け」、「ファーザー・オブ・ナイト」、「時はのどかに流れゆく」は、その戯曲のために書かれた曲である。『スクラッチ』は、1971年 5月6日 ブロードウェイ で上演されたが、2日後の5月8日 には打ち切りになっている。[ 1]
アウトテイク
初期プレスでは「新しい夜明け」のイントロでディランがカウントを取る部分も収録されていたが後にカットされた。日本盤LPでは継続してそのVersionが使用されていた。
また今セッションで収録されたカバー曲のいくつかは三年後「ディラン」に収録された。
反響・評価
アルバムは1970年10月にリリースされた[ 2] 。12月5日 付『ビルボード』誌「トップ LP's 」チャートで最高7位、全英アルバム・チャート で1位を記録した[ 3] [ 4] 。アメリカ・レコード協会 RIAA により1970年 12月11日 にゴールド・ディスク に認定されている[ 5] 。
チャート
リリース
アメリカ
日付
レーベル
フォーマット
カタログ番号
付記
1970年10月19日
1970年10月21日[ 6]
Columbia
LP
KC 30290
Columbia
CD
CK
2009年3月31日[ 7]
Columbia
CD
リマスター
日本
日付
レーベル
フォーマット
カタログ番号
付記
1970年10月21日
CBSソニー
LP
SONP-50390
1974年
CBSソニー
LP
SOPL-228
1976年
CBSソニー
LP
25AP 281
1987年12月21日[ 8]
CBSソニー
CD
28DP 1109
CBS CD ROCK 100
1991年12月1日[ 9]
ソニー
CD
SRCS 6161
NICE PRICE LINE
2009年5月27日[ 10]
ソニー
CD
SICP-2006
2008年デジタル・リマスター、紙ジャケ、完全生産限定盤
2009年9月30日[ 11]
ソニー
Blu-spec CD
SICP-20221
脚注
注釈
出典
参考文献
アンソニー・スカデュト 著、小林宏明 訳『ボブ・ディラン』二見書房 、1973年。 - Scaduto, Anthony (1971). Bob Dylan: An Intimate Biography ((1st ed.) ed.). New York: Grosset & Dunlap , Bob Dylan . SIGNET ((pbk ed.) ed.). New York: The New American Library. (1973)
ボブ・ディラン 著、菅野ヘッケル 訳『ボブ・ディラン自伝』ソフトバンククリエイティブ 、2005年。ISBN 4-7973-3070-8 。 - Dylan, Bob (2004). Chronicles: Volume One . New York: Simon and Schuster. ISBN 0-7432-2815-4
外部リンク
スタジオ・アルバム ライブ・アルバム コンピレーション・アルバム ブートレッグ・シリーズ コンサート&ツアー 映画 関連項目
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