一剪梅(いちせんばい)[注釈 1]は、台湾の歌手・費玉清のマンドポップ(英語版)の楽曲である[1][2]。1983年のアルバム『長江水』 (Water of the Yangtze River) に収録されたのが初出で[3]、2010年のアルバム『天之大』 (Boundless Love) に別バージョンが収録された[4]。
この曲は、冬の梅の木を「苦難を乗り越えて貫く愛」の例えとして歌ったラブソングであり、費玉清の代表曲とみなされている[2]。1980年代から中華圏で人気があり、不朽の名曲とされている[1][2]。1984年に台湾の中国電視公司 (CTV) 制作のテレビドラマ『一剪梅(英語版)』の主題歌に採用された[1]。
2020年初頭、この曲の一部を歌う男性の自分撮り動画がインターネットで流行してインターネット・ミームとなり、様々なパロディ動画が制作された[5]。
背景
この楽曲は1983年のアルバム『長江水』で初めて発表された。元々は台湾のテレビドラマ『辺城夢回』の主題歌として企画された[3]。このドラマは放送されなかったが、翌1984年のテレビドラマ『一剪梅(英語版)』の主題歌に採用され、台湾の人々の間に広く知られるようになった[6]。
このドラマは1988年に中国中央電視台 (CCTV) で放送され、中国本土でもこの楽曲と費玉清が人気となった。中国本土で2009年にドラマ『一剪梅』のリメイク版『新一剪梅』が霍建華主演で制作され、こちらでもこの楽曲が主題歌となった[7]。
2019年、北京で活動する台湾出身の歌手・陳彼得(中国語版)(ピーター・チェン)がCCTVの中秋節の音楽番組でこの曲を歌った[8]。同年、引退を発表していた費玉清は、11月7日に台北アリーナで開かれた最後の公演でこの曲を歌った[9]。
インターネットミーム化
2020年1月、北京を中心に活動する俳優・映画監督の張愛欽が、大雪に覆われた公園を一人で歩きながら、この曲の一節を音程を外しながら歌う姿を自撮りしたショート動画を動画共有サイト「快手」 (Kuaishou) に投稿した[1][2]。張愛欽は特徴的な卵型の禿頭であることから、"Eggman"(卵男)や"Duck Egg"(アヒルの卵)というあだ名で呼ばれている[1]。張愛欽の快手での利用者名は「蛋哥」(卵兄さん)である[2]。
同年5月、この動画がTikTokにアップロードされ、世界的な人気となった[2]。これにより、『一剪梅』はノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ニュージーランドなどでSpotify Viral 50チャートにランクインした[2]。
『一剪梅』は、張愛欽の動画で歌われていた部分の歌詞のピンイン表記で"Xue hua piao piao bei feng xiao xiao"とも呼ばれるようになり、YouTube Musicなどの音楽ストリーミングサービスにおける『一剪梅』のタイトル表記は、歌詞の一部を含む"Yi Jian Mei (Xue hua piao piao bei feng xiao xiao)" に変更された[10]。
その数か月前の2020年1月に引退していた費玉清[1]は、この曲が突然世界的に人気になったことについて「光栄に思う」と述べたが[2]、これで歌手として復帰するつもりはないとも強調した[11]。
脚注
注釈
- ^ アルバム『長江水』収録時の楽曲名は「一翦梅」であり、これは詞牌「一翦梅(中国語版)」から取られたものである。その後、1984年の台湾ドラマ『一剪梅(英語版)』の主題歌に採用されたことから、この曲自体も『一剪梅』と表記されるようになった。
出典
外部リンク