ワタリは囲碁用語のひとつで、相手の石の下をくぐるように盤端に打って自分の石同士を連絡する手を指す。動詞では「ワタる」「渡る」と表現する。下図黒1がワタリの一例で、▲の石と連絡する。
「ワタリ」という言葉は盤端近くに打つ手を指し[1]、中央に打って連絡する手はワタリとは呼ばない。ワタリは自分の石の安全を確保する重要な手段であるが、時にただ連絡するだけで地がつかず、働きのないワタり方を「貧乏ワタリ」と言うことがある。
ワタリの例
黒1またはaにコスむのが手筋で、左右の黒が連絡する[1]。bのケイマではaまたは1にツケられてワタれない。
黒1のアテコミが手筋で、白2のキリなら黒3にサガって全体が連絡できる。
黒1のケイマが味のよい連絡の手筋。白aならbにハネてワタっている。黒1でcに打つと、白aに切られて手が生じる。
小目一間高ガカリ定石。黒1のツケから黒3にツギ、ここに石が来たことで黒5のワタリが成立する。続いて白がaにハネ出してきても、bのキリでこの石を取れる。
出典
参考図書
- 加納嘉徳『ワタリのすべて (烏鷺うろブックス) 』