レイ・ダグラス・ブラッドベリ(Ray Douglas Bradbury、1920年8月22日 - 2012年6月5日[1])は、アメリカ合衆国の小説家、詩人。
経歴
1938年から1942年まで新聞の販売をしており、その間にヘンリー・ハースとの共作の「振り子」が『スーパー・サイエンス・ストーリーズ』に掲載され、プロ作家になった。
1947年、処女短編集『黒いカーニバル』(Dark Carnival)をアーカム・ハウスから刊行した。続いてダブルディから刊行された『火星年代記』『刺青の男』で名声を得る。
1947年、1948年に、アメリカの年間短編傑作集(いわゆるO・ヘンリー賞)に2年連続で作品が収録された(1947年に「集会」が収録、1948年に「発電所」が第三席で入賞)[2]。1954年、アメリカ芸術文学協会賞、カリフォルニア・コモンウェルズ・クラブのゴールド・メダル賞を受賞した。
またハーマン・メルヴィル原作、ジョン・ヒューストン監督の映画『白鯨』の脚本を担当した。
晩年はロサンゼルスに在住し、著作活動を続けた。2012年6月5日に91歳で死去[3]。
特撮監督のレイ・ハリーハウゼンとは高校時代からの友人である。
作品リスト
長編
- 『火星年代記』(The Martian Chronicles)
- 『華氏451度』(Fahrenheit 451)
- 『たんぽぽのお酒』(Dandelion Wine)
- 『ハロウィーンがやってきた』(The Halloween Tree)
- 『何かが道をやってくる』(Something Wicked This Way Comes)
- 『死ぬときはひとりぼっち』(Death is a Lonely Business)
- 小笠原豊樹訳 サンケイ出版、1986。文藝春秋、2005
- 『黄泉からの旅人』(Graveyard for Lunatics: Another Tale of Two Cities)
- 日暮雅通訳 福武書店、1994。文藝春秋、2005
- 『塵よりよみがえり』(From the Dust Returned)
- 中村融訳 河出書房新社、2002、河出文庫、2005、新版2024
- 『さよなら、コンスタンス』(Let's All Kill Constance)
- 『緑の影、白い鯨』(Green Shadows, White Whale)
- 『さよなら僕の夏』(Farewell Summer)
短編集
- 『黒いカーニバル』(Dark Carnival)
- 『刺青の男』(The Illustrated Man)
- 『太陽の黄金の林檎』(The Golden Apples of the Sun)
- 『十月はたそがれの国』(The October Country)
- 『メランコリイの妙薬』(A Medicine for Melancholy)
- 『よろこびの機械』(The Machineries of Joy)
- 『ウは宇宙船のウ』(R Is for Rocket)
- 大西尹明訳 創元推理文庫、1968 のち創元SF文庫
- 『スは宇宙(スペース)のス』(S Is for Space)
- 『キリマンジャロ・マシーン』(I Sing the Body Electric)
- 『歌おう、感電するほどの喜びを!』(I Sing the Body Electric)
- 『ブラッドベリは歌う』(I Sing the Body Electric!)
- 『とうに夜半を過ぎて』(Long After Midnight)
- 小笠原豊樹訳 集英社、1978 のち文庫、河出文庫、2011
- 『万華鏡 ブラッドベリ自選SF傑作選』(The Vintage Bradbury)
- 『十月の旅人』(The October Game and Other Stories)
- 伊藤典夫訳 大和書房、1974 のち新潮文庫、ハヤカワ文庫、2016
- 『火の柱』(Pillar of Fire and Other Plays)
- 『火星の笛吹き』(The Piper)
- 仁賀克雄編訳 徳間書店、1979 のち文庫、ちくま文庫
- 『悪夢のカーニバル』(A Memory of Murder)
- 『恐竜物語』(Dinosaur Tales)
- 『バビロン行きの夜行列車』(Driving Blind)
- 『夜をつけよう』(Switch on the Night)
- 今江祥智訳 BL出版、1998
- 夜のスイッチ 北山克彦訳 晶文社、2008
- 『二人がここにいる不思議』(The Toynbee Convector)
- 『瞬き(まばたき)よりも速く』(Quicker Than the Eye)
- 『社交ダンスが終った夜に』(One More for the Road)
- 『猫のパジャマ』(The Cat's Pajamas)
- 中村融訳 河出書房新社、2008、河出文庫、2014
- 『永遠の夢』(Now and Forever)
ノンフィクション、エッセイ、および伝記
- 『ブラッドベリがやってくる - 小説の愉快』(Zen in the Art of Writing)
- 『ブラッドベリはどこへゆく - 未来の回廊』(Yestermorrow)
- 『ブラッドベリ、自作を語る』サム・ウェラー共著、小川高義訳、晶文社、2012
- その他、短編多数
- 徹底的なインタビューに基づいた評伝
タイトル
- 『太陽の金の林檎』(The Golden Apples of the Sun、1953年)のタイトルは、アイルランドの詩人ウィリアム・バトラー・イェイツの詩『さまようイーンガスの歌』(The Song of Wandering Aengus )から採られている。
- 『歌おう、感電するほどの喜びを!』(I Sing the Body Electric、1969年)のタイトルは、ウォルト・ホイットマンの詩集『草の葉』に所収されている「アダムの子どもたち」(Children of Adam)内の一編の詩のタイトルから採られている。
- 『何かが道をやって来る』(Something Wicked This Way Comes、1962年)のタイトルは、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『マクベス』の第4幕第1場において、洞窟の中に潜んだ3人の魔女のうちの一人がマクベスが近づいたことを察し、“By the pricking of my thumbs, Something wicked this way comes. Open, locks, whoever knocks.”(親指がぴくぴく動く、何か悪いものがこっちに近づいて来るな、抜けろ、かんぬき、誰でもいいぞ)と発した箇所からの引用である。ちなみに、アガサ・クリスティの推理小説『親指のうずき』(By the Pricking of my Thumbs、1968年)も同じ箇所の台詞から採られている。
映画化された作品
漫画化された作品
備考
- マイケル・ムーア監督の映画『華氏911』のタイトルはブラッドベリの長編小説『華氏451度』を元にしている。なお、このことについて、当のブラッドベリは「了解もなしに、数字だけを変えて題名を使った」とムーアを非難、映画の内容についても「わたしの意見とは何の関係もない」と難色を示した。
- カート・ウィマー監督の映画『リベリオン』(原題:Equilibrium、2002年)は『華氏451度』へのオマージュである。
- 1992年に発見された小惑星9766番は「ブラッドベリ」と命名されている。
- キュリオシティの火星軟着陸地点は「ブラッドベリ・ランディング(Bradbury Landing)」と命名された。
- 日本においても多大な影響をもたらし、例えば『万華鏡』は手塚治虫の『火の鳥』宇宙編の粉本として知られる。
出典
外部リンク
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1987-2000年 | |
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2001-2020年 | |
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2021-2040年 | |
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