メンター・グラフィックス (Mentor Graphics)は、電子系設計ソフトウェア(EDAツール)を開発、販売するアメリカに本部を置く多国籍企業である。エレクトロニクス誌によると2004年度、EDA産業で3位にランクされている。
1981年に創業、Idea Stationという名の論理回路入力用CADと論理シミュレーションまで行えるシステムを販売した。現在も主力からはずれるものの後継ソフト(Design Architect)が販売されている。本社はオレゴン州ウィルソンビルにある。
日本法人は1983年設立、上記Idea Stationをハードウェア(アポロコンピュータ)込みで販売した。アポロがヒューレット・パッカードに買収されて以降はソフトウェア販売のみを行うようになり、SUNなど複数のプラットフォームへの対応も進められた。この際、移植を容易にするため開発ツールとしてGNUプロジェクトのツールも採用された。あわせて各種ツールの共通の設計環境とすることを目指して Falcon Frameworkを開発した。GUIとしてはMotifに類似したデザインとなっており異なるプラットフォームでのユーザの操作の共通化を図ろうとしたものである。
その後メンターは、1995年に Exemplar Logic Inc. を$25Mで買収[2][3]、1996年に Microtec Research を$130で買収[4][5]したのを皮切りに、他のEDAベンダーの買収を繰り返し商品系列を増やしていった。買収によって入手した代表的な製品にModelSim、Calibre などがある。
創業当時の競合企業としてバリッド社、デイジー社があったが、いずれも消滅しており、現在はシノプシス社、ケイデンス社が大きな競合会社である。
2017年4月にドイツのシーメンス社に45億ドルで買収され、シーメンスのデジタル・ファクトリー部門の一部となった。2021年1月に法的統合が完了したことによって組織の名称が「メンター、シーメンスの事業」から「シーメンスEDA」となっている[6]。
現在の製品
- EDAツール系の対象品目
- 集積回路
- 物理検証ツール Calibre DRC(DRCツール)、Calibre LVS(LVSツール)
- テスト
- FPGA
- HDL設計ツール HDL Designer Series
- 論理合成ツール Precision Synthesis
- 組み込みシステム
- 回路図エディタ(Design Architect または DxDesigner)
- プリント基板用レイアウトツール(PADS、Expedition、Board Station)
- IP(Intellectual property blocks)、ASIC、FPGA用のIPブロック
- ワイヤ・ハーネス・システム(CHS、L-Cable)
- 組込みシステム開発
- ハードウェアシミュレーションツール
メンターは世界各地に開発拠点をもつが主力は米国に集中している。
1999年に組込みシステムの有力な開発者がスピンアウトし組み込みLinuxを扱うMontaVista社を設立した。
脚注
外部リンク