マーコール (Capra falconeri )は、ウシ科 ヤギ属 に分類される偶蹄類 。ペルシャ語 で マール mâr (مار , '蛇 ') ホル khor (خور , '捕食者') という意味を持つ。「野生のヤギの王様」という意味を持つ[ 1] ともあるが、間違いである。
分布
アフガニスタン 、イラン 東部、インド 北西部、ウズベキスタン 、タジキスタン 、トルクメニスタン 、パキスタン [ 2] [ 3] [ 4]
C. f. cashmirensis ヒンズークシマーコール
カシミール 西部、ヒンズークシ山脈 [ 3] 。
C. f. falconeri カシミールマーコール
カシミール東部[ 3] 。
パキスタン中西部(スライマン山脈 )[ 3]
C. f. megaceros カイバーマーコール
アフガニスタン、パキスタン(カイバー峠 周辺)[ 3]
形態
体長 130-180センチメートル[ 4] 。尾長8-14センチメートル[ 4] 。肩高65-105センチメートル[ 4] 。体重 オス80-110キログラム、メス32-50キログラム[ 2] [ 4] 。前肢の手首から先の前面、後肢の踵から先の前面は暗色の体毛で被われる[ 3] 。
アルファベットの「V」字状の角がある[ 3] 。角長オス75-160センチメートル、メス25センチメートル[ 4] 。角の表面には稜がある[ 3] 。
夏季は短い体毛で被われ、毛衣は赤褐色[ 3] [ 4] 。冬季は長い体毛で被われ、毛衣は灰褐色[ 3] [ 4] 。
C. f. cashmirensis ヒンズークシマーコール
角は螺旋状で2回ねじれ、角の先端の間の長さ(例:53センチメートル)と角の直線距離よりも短い[ 3] 。
C. f. falconeri カシミールマーコール
角は螺旋状で1回半ねじれ、角の先端の間の長さ(例:110センチメートル)は角の直線距離よりも長い[ 3] 。
C. f. jerdoni スライマンマーコール
角は直線的で角の周囲を稜が3周する[ 3] 。
C. f. megaceros カイバーマーコール
角はほぼ直線的で角の周囲を稜が2周する[ 3] 。
分類
亜種チアルタンマーコールはパサン との種間雑種とする説もある[ 3] 。
Capra falconeri cashmirensis Lydekker, 1898 ヒンズークシマーコール
Capra falconeri chialtanensis Lydekker, 1913 チアルタンマーコール
Capra falconeri falconeri (Wagner, 1839) カシミールマーコール
Capra falconeri jerdoni Hume, 1875 スライマンマーコール
Capra falconeri megaceros Hutton, 1842 カイバーマーコール
生態
標高700-4,000メートルにある森林の間にある岩場や草原などに生息する[ 3] [ 4] 。冬季になると標高の低い場所へ移動する[ 3] [ 4] 。メスと幼獣から群れを形成し生活し[ 4] 、群れは夏季4-5頭、冬季20-30頭に達する[ 3] 。
食性は植物食で、木の枝や葉、草 などを食べる[ 4] 。春季から夏季は草を、晩夏から秋季は木の枝や葉を食べる[ 4] 。
繁殖形態は胎生 。繁殖期にはオス同士で疾走して角を打ちつけ合い争う[ 4] 。冬季に交尾を行い、妊娠期間は135-170日[ 4] 。4-6月に1回に1-2頭の幼獣を産む[ 4] 。生後2年半で性成熟する[ 4] 。
天敵として ユキヒョウ 、オオカミ がいる。
人間との関係
食用とされたり、角が薬用になると信じられている[ 4] 。
放牧による生息地の破壊、角目的の乱獲、家畜との競合などにより生息数は減少している[ 4] 。紛争による生息数の減少も懸念されている[ 4] 。1980年代におけるウズベキスタンでの生息数は180頭、タジキスタンでの生息数は500頭、トルクメニスタンでの生息数は20頭と推定されている[ 4] 。
日本では秋田市大森山動物園 や智光山公園こども動物園 、夢見ヶ崎動物公園 などがマーコールを飼育している[ 1] 。
脚注
関連項目
ウィキメディア・コモンズには、
マーコール に関連する
メディア および
カテゴリ があります。
ウィキスピーシーズに
マーコール に関する情報があります。