『マップス』(英: MAPS)は、長谷川裕一の漫画作品、およびこれを原作としたOVA作品(2作品存在する)、ライトノベル作品である。
天使型宇宙船リプミラ号とその分身である女性型ビメイダー(人造人間の一種で長谷川裕一による造語)のリプミラ・グァイスと出会った地球人の少年十鬼島ゲンが宇宙に旅立ち、銀河系全域を舞台に全宇宙の存亡を賭けた壮大なスケールの冒険を繰り広げる痛快娯楽スペースオペラ漫画である。
2007年1月から2012年2月までウェブコミック誌「FlexComixブラッド」で続編『マップス ネクストシート』が連載された。
本編全17巻・外伝全2巻およびワイド版が刊行されている。いずれも絶版となっているが、ワイド版以外は現在でも比較的入手しやすい。本編第1巻のレーベル内通し番号は「NC-001」、つまりノーラコミックスの第1冊目である。なお、本編第1巻-第5巻の初期の版にはISBNコードが付与されていない(制度開始前に刊行されたものであるため)。
第2巻は「コミックNORA」1997年2月号-7月号にかけて短期集中連載された『マップス超外伝』をまとめたもの。
本編以外に、次に挙げるものが収録されている。MF文庫版にはいずれも収録されていない。
全10巻(初期の版では「外伝」の文庫化が構想外であったために「全9巻」と表記されている)。ノーラ版では番外編として扱われていた回も話数にカウントしたため、ノーラ版とは途中から話数の表記がずれている(詳しくはサブタイトルの節を参照のこと)。外伝は第10巻に収録され、ノーラ版と異なり時系列順に並べ替えられている。なお、第3巻の目次でACT.29が抜けているという校正ミスがあるがACT.29自体は抜けなく収録されている。
また、この版を底本とした電子書籍の販売がYahoo!コミックやeBookJapanで行われている。
愛蔵版、全6巻。
タイ版、台湾版、韓国版が存在する。
以降の文章における巻数・話数の表記は特に断りのない限りノーラコミックス版に準じるものとする。
ある日地球に高層ビルをも上回る巨大な天使型宇宙船が現れた。ごく普通の高校生であった十鬼島ゲン(ときしま げん)と君塚星見(きみずか ほしみ)は宇宙船から現れた宇宙海賊カリオンと名乗る女性に宇宙船内に捕らえられてしまう。彼女が言うにはゲンはかつて全宇宙を放浪した民族「さまよえる星人(さまよえるほしびと)」の子孫で、彼らが2万年前に地球に隠した秘宝「風まく光」のありかを示す人間地図(マップマン)であるというが…。
伝承773 風まく光
本作は、大きく分けて次のエピソードから構成されている。
ノーラコミックス版とMF文庫版の話数の表記は太字で示した回のカウントによって、それ以後の回でずれが生じている。総ページ数は本編が3572ページ・外伝が376ページ・番外編と無番が33ページ、合計で4019ページである。
マップスの登場人物を参照。
リープタイプ (REEPTYPE) は、主人公・ゲンの搭乗するリプミラ号をはじめとした、本作において最も中心的な役割をもつ天使型宇宙船である。各機には頭脳体と呼ばれる女性型ビメイダーが存在し、機体をコントロールする。船体と頭脳体は一体であり、船体がダメージを受けると頭脳体も船体がダメージを受けた箇所にダメージを受ける(ただし、あくまでもダメージを感じるだけであり、致死のダメージまでは影響しない)。一体であるがゆえに「船体にラクガキをする」といった程度のことでも頭脳体は非常にわずかながらダメージを受けてしまう(ダメージと言うよりはくすぐったい)。
頭脳体が失われた場合は船体の再生装置から頭脳体が再生され、船体が失われた場合は頭脳体が自分の船体を再建造するため、頭脳体と船体の両方が同時に失われない限り死ぬ(消滅する)ということは無い。船体から頭脳体を再生した場合は船体に記録された機械的データ以外の「記憶」の引継ぎはできない。ただし、そうなる前にバックアップを取っておけば、その限りではない。
船体再建造の際には、頭脳体がそれまでに得た新技術や身に付けた戦法を盛り込んで改良を加えるため、元は同一仕様だった機体は遥かな年月を経て各機ごとに全く別のものに分化進化している。基本的に頭脳体の個性(性格)がそのまま船体の個性(能力)に反映されているといってよい。
『ネクストシート』において、主人公の七勇太は翼の星に立ち並ぶリープタイプ大集合の様を見て(口にこそ出さなかったものの)まるで「イタ(痛)宇宙船」だと感想を漏らしている。
リープタイプはアン・マキャフリイの『歌う船』シリーズの影響を受けているといわれている。宇宙船ではないが、本作と同じく長谷川裕一の作品である『クロノアイズ』『クロノアイズ・グランサー』に登場するクロノダイバーも頭脳体が存在し、本体とリンクしているという設定でありリープタイプと類似するものであるといえる。他の作者の作品で同様に宇宙船(あるいは船舶)と同期する人型頭脳体という例としては『天地無用!(梶島正樹)』の魎皇鬼、『ロスト・ユニバース(神坂一)』のソードブレイカー、『成恵の世界(丸川トモヒロ)』の星船、『トラブル急行(弓月光)』のチャイカ、『蒼き鋼のアルペジオ(Ark-Performance)』の霧の艦隊などがある。
ビメイダー(Bemader)とは人造人間の一種で、長谷川裕一による造語。初出は本作よりも少し前に発表され、『BEMADER・P』で、後の作品『クロノアイズ』『クロノアイズ・グランサー』にも登場する。
遺伝子工学や人工知能の発達によって生まれた既存のロボットやクローンといった概念では括られない存在を表すための造語で、英語の「Be made」(作られた)に人称を表す「er」を付けた合成語。その規準は『その意識(心)が人工的に作られたものか否か』で、対義語はナチュラリアン(自然発生人)。
マップスの作品世界の銀河では「便利な道具」として扱われており、未確認宙域側ではビメイダー達の一部が集団脱走して独立国家を作ろうとしている。
ソフトバンククリエイティブ・GA文庫およびフレックスコミックスより発売された、『マップス』宇宙を題材としたシェアード・ワールド短編集。各巻とも表紙および各小説扉絵は長谷川裕一が描き下ろしている。また、一部の登場キャラクターは『マップス ネクストシート』に登場している。
2008年2月(『マップス ネクストシート』単行本3巻の発売と同月)発売。ISBN 978-4797346190
2009年2月発売。タイトルが「マップス・シェアードワールド2」となっている。ISBN 978-4797352719
2009年6月にフレックスコミックスより発売。ISBN 978-4-7973-5500-0