『マイルス・スマイルズ』(Miles Smiles)は、アメリカ合衆国のジャズ・ミュージシャン、マイルス・デイヴィスが1966年に録音・1967年に発表したスタジオ・アルバム。
背景
ウェイン・ショーター(1964年加入)を迎えたクインテットによるスタジオ・アルバムとしては、『E.S.P.』(1965年録音・発表)以来の2作目に当たる[2]。「フットプリンツ」は、ショーターのリーダー・アルバム『アダムス・アップル』(1966年2月録音)収録曲の再演で、デイヴィスのクインテットのライヴでもセットリスト入りした[4]。デイヴィスのオリジナル曲「サークル」は、アルバム『サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム』(1961年録音)収録曲「ドラッド・ドッグ」のコード進行が元になっており、ハービー・ハンコックによれば、デイヴィスは「ドラッド・ドッグ」のコード譜を持参し、原曲とは異なるコード進行の部分に関しては、デイヴィス自身がコード譜を指さしながら指示するというプロセスで作曲されたという[4]。
「フリーダム・ジャズ・ダンス」はエディ・ハリス(英語版)のカヴァーで、ロン・カーターは、ハリスによるオリジナル・ヴァージョンでもサイドマンを務めていた[1]。「ジンジャーブレッド・ボーイ」は、ジミー・ヒースがアルバム『オン・ザ・トレイル』(1964年録音)で発表した曲のカヴァーで[5]、デイヴィスは1966年頃より、この曲をライヴで演奏していた[4]。
反響・評価
アメリカでは、総合アルバム・チャートのBillboard 200入りは果たせなかったが、ビルボードのジャズ・アルバム・チャートでは6位に達した[6]。第10回グラミー賞(英語版)では、最優秀インストゥルメンタル・ジャズ・パフォーマンス賞(小編成グループ)にノミネートされた[7]。
Stephen Thomas Erlewineはオールミュージックにおいて満点の5点を付け「集中力を要する音楽で、予測できる安直な方向には決して進んでいかない。何より素晴らしいのは、こうした冒険性が、表面的には温かく親しみやすい音楽となっていることだ」「このクインテット全員の力量が満開となっており、本作は恐らく、彼らの最高の姿を捉えている」と評している[3]。
収録曲
特記なき楽曲はウェイン・ショーター作。
- オービッツ - "Orbits" - 4:39
- サークル - "Circle" (Miles Davis) - 5:54
- フットプリンツ - "Footprints" - 9:49
- ドロレス - "Dolores" - 6:22
- フリーダム・ジャズ・ダンス - "Freedom Jazz Dance" (Eddie Harris) - 7:16
- ジンジャーブレッド・ボーイ - "Gingerbread Boy" (Jimmy Heath) - 7:44
参加ミュージシャン
脚注
外部リンク