イオンエブリ株式会社(Aeon Every Co., Ltd.)は、かつて関東近県を中心に食品スーパーマーケット・卸売業を展開していたイオングループの企業である。
概要
前身は、水産食料品の加工・卸売を目的として1947年に株式会社枡新商店(ますしんしょうてん)として創業された。
以来、加工食品卸売業を専業としていたが、1989年に会社名をシートゥーネットワーク株式会社に変更し、1990年代中頃から小売業にも進出し、スーパー「つるかめランド」を展開するようになった。
2003年に英国テスコ(以下「テスコ」)が日本進出を目的に同社を買収。その後、社名もテスコジャパン株式会社となり、従来の「つるかめ」店舗と並行して「テスコ」ブランドの店舗も展開するようになった。ただし諸外国で展開している大型店舗は日本国内には出店せず、首都圏での中型・小型店舗の展開に留まっていた。
2011年、テスコは不振が続く日本での事業から撤退の意向を表明。2013年にイオンが全店舗と従業員の引き受けを条件に、発行済み株式の50%を1円で取得して傘下におさめ、社名は「イオンエブリ」に変更された。譲渡にあたってはテスコが日本法人の負債を肩代わりする他、事業建て直しの為に追加投資も行った上で売却している。その後もテスコとの資本関係は残っていたが、最終的にはテスコが日本から完全撤退し、イオンの完全子会社となった[1]。
イオングループ傘下入りした後は、スクラップアンドビルドによる店舗の閉鎖およびイオングループの同業他社への営業譲渡によって僅か1年あまりで直営店舗を閉鎖して営業を終了した。譲渡された店舗は順次「マックスバリュ」や「アコレ」などの屋号に変更されている(#店舗形態を参照)。法人はその後も存続していたが、2023年に清算結了により消滅した。
沿革
- 1947年(昭和22年)6月 - 水産食料品の加工・販売を目的として、株式会社枡新商店を設立。
- 1981年(昭和56年)3月 - 株式会社マスシンに商号変更。
- 1989年(平成元年)7月 - シートゥーネットワーク株式会社に商号変更。
- 1994年(平成5年) - 加工食品卸売り専業から、小売り業にも進出し「つるかめランド」を展開。
- 2000年(平成12年)3月10日 - 東証2部に上場。
- 2001年(平成13年)3月1日 - 東証1部に指定替え。
- 2003年(平成15年)
- 2004年(平成16年)8月16日 - 埼玉県・千葉県を中心に25店舗展開していたスーパーチェーンのフレックを買収[2]。
- 2007年(平成19年)9月18日 - テスコジャパン株式会社に商号変更。
- 2010年(平成22年)1月 - 埼玉県さいたま市内を中心に5店舗展開していたスーパーチェーンのクリーンストアーを買収。
- 2011年(平成23年)8月31日 - 英テスコが日本からの撤退を表明[3]。
- 2012年(平成24年)6月18日 - イオンが株式の50%を1円で取得する予定であることを発表[4]。
- 2013年(平成25年)
- 1月1日 - イオンが50%の株式を取得。イオンの持分法適用会社となる。
- 3月1日 - イオンエブリ株式会社に商号変更。
- 4月 - 8月 - この間に57店舗を閉店し、大多数の店舗をイオングループの同業他社に譲渡。
- 2014年(平成26年)
- 1月 - 2月 - この間に36店舗(3月1日現在)を閉店。
- 2月26日 - 本社がある亀戸センタープラザ1階にある「TSURUKAME 亀戸センタープラザ店」を閉店、店舗はマックスバリュ関東へ譲渡。
- 3月1日 - 直営の14店舗をマックスバリュ関東とマックスバリュ東海に営業譲渡。
- 3月31日 - 最後まで存続していた直営の5店舗を閉鎖・営業譲渡してイオンエブリとしての営業を終了。
- 2023年(令和5年)2月20日 - 清算結了、法人格消滅。
店舗形態
元々は食料品の卸業者だった経緯から、一部の店舗では生鮮食品(野菜・精肉・鮮魚)や惣菜は外部の業者が販売しており、イオンエブリは加工食品・日配食品・日用品・酒類の販売とレジを担当していた。この形式をとっている店舗ではレシートや折り込み広告に各部門の問い合わせ先が記載、イオンエブリは「つるかめ」と記載されていた。
店舗によってはイオングループで導入している電子マネーWAONやiD・QUICPay・Suica(相互利用が可能な交通系電子マネーを含む)が利用できた。これらの店舗ではWAON・イオンカード利用による各種セール(お客さま感謝デー・お客さまわくわくデーなど)も実施している。店頭にイオン銀行ATMが設置されているところもあり、ATMを利用してWAONのチャージもできる。ターミナル駅構内の駅ビルに出店している店舗では交通系電子マネーのみ利用が可能な箇所も存在した。
これらの取り扱いはイオングループ各社に譲渡後も継続されている。
- つるかめランド・つるかめ
- 食品スーパーマーケット
- 2014年3月31日までに閉鎖、または以下の各社に譲渡された。
- マックスバリュ関東:東京都・千葉県・埼玉県・群馬県の店舗。池上店・幕張店・新松戸店・大牧店は同社へ譲渡後、「マックスバリュエクスプレス」に改装されたほか、立川駅前店・平山団地店など閉鎖後にマックスバリュ関東が「マックスバリュエクスプレス」として開店している店舗もある。2015年までに、群馬県の店舗は閉鎖された。
- マックスバリュ東海:神奈川県内の店舗。順次「マックスバリュエクスプレス」へ屋号変更された。
- TSURUKAME・Tsuru Kame
- イオングループ入りする前に開店した店舗は「TSURUKAME」を用いていたが、旧「TESCO」から屋号変更した目白店、青葉すすき野店、湊新田店と旧「テスコエクスプレス」から屋号変更したみなとみらい店は新ロゴデザインである「Tsuru Kame」表記の店舗となっていた。2014年3月1日にTSURUKAME京王多摩センター店(東京都多摩市)をマックスバリュ関東へ譲渡し、イオンエブリ運営の店舗は消滅。
- ふーどれっとつるかめ
- 加工食品と酒類のみを扱う食料品店。小規模の店舗が多い。WAONの取り扱いはない。2014年2月16日をもって東京都内の8店舗が一斉に閉店した。その後も営業を続けていた川崎店(神奈川県川崎市)も2014年3月1日にマックスバリュ関東へ譲渡し、イオンエブリ運営の店舗は消滅。
- かめちゅーる
- 2012年7月17日に海老名店(神奈川県海老名市、ビナウォーク1番館に出店していた)の閉店により消滅した。
- TESCO・TESCOエクスプレス
- テスコグループ傘下入り後に出店した形態。2013年7月までに「Tsuru Kame」への屋号変更などにより消滅した。
- キッチンランド
- 2013年7月29日に新所沢パルコ店(埼玉県所沢市)をマックスバリュ関東へ譲渡。
- 卸売のC&C
- かつての本業であった卸売り販売を行う現金問屋。2014年3月31日をもって営業を終了。
店舗網の整理・イオングループへの営業譲渡
前述したように2013年4月以降、店舗網の整理が行われており、同年4月7日につるかめ三保町店を閉店したのを皮切りに、同年8月までに約半数の57店舗を閉鎖。同年3月1日時点では115店舗だった店舗数が58店舗に減少した。2013年9月以降、一旦店舗の閉鎖が中断されていたが、2014年1月以降になって再び店舗網の整理が行われており、同年1月10日に7店舗を閉鎖したのを皮切りに、残りの店舗を閉店や営業譲渡を行い、直営の店舗が消滅した。
これらの店舗の大多数はイオングループの各社に営業を譲渡され、順次「マックスバリュエクスプレス」「アコレ」「まいばすけっと」「イオンリカー」「れこっず」「オリジン弁当」などの業態に転換されている。一部店舗では屋号や業態を変更せずに譲渡を行い、譲渡後に屋号を変更している店舗も存在する。
これら以外にも、イオンエブリが撤退したあとにイオングループ以外の同業他社が居抜き出店している例も存在する[5]。
脚注
外部リンク
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備考
○ - 持分法適用関連会社 ☆ - 友好提携会社 イオングループの主な企業・ブランドを掲載。運営企業とブランドの名称が異なる場合は「ブランド名(企業名)」というように記した。 イオン株式会社の持分法適用関連会社である株式会社やまやの完全子会社、友好提携会社であるツルハホールディングスの子会社についても列挙した。 △のレデイ薬局はツルハホールディングス(所有株式51%)のほか、イオン株式会社の子会社であるフジも出資(所有株式49%)。 グループ企業については、出資率にかかわらずグループ事業・主要企業紹介(2016年2月29日現在)を元に記載している。
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