アリアケシラウオ(Salanx ariakensis、有明白魚)は、シラウオ科アリアケシラウオ属に属する魚の一種。アリアケシラウオ属は東アジア周辺に分布し、日本からは本種のみが知られている。
分布
東アジアの中国と朝鮮半島沿岸部。日本では有明海とその流入河川にのみ生息する[1][2]。
形態
生時には体が無色透明で、腹には1列の黒色素胞が並ぶ[2]。日本産シラウオ類では最大の種で、体長はオスが12cm、メスが14cmになる。オスはメスより小型だが、体高はオスの方が高い。頭部は縦扁し、吻は長く、頭長の1/3以上になるが、下あごは突出しない[3]。あぶらびれがあり、背びれと尻びれは、ほぼ相対する。胸びれの先端は、オスは尖るが、メスは円い。オスには、尻びれの基部に1列に並ぶ20個ほどの鱗がある[1]。
生態
遠浅で、濁った内湾に生息[2]。年魚であり、10-11月の産卵期には筑後川などの流入河川を遡上し、砂底や礫底に約0.75 mmの球形の卵を産む[3]。川を10 km以上遡上する回遊魚である[4]。
人間の利用
食用とされ、生きたままのものを二杯酢で食べるほか、卵とじや天ぷらなどにされる[1]。かつては有明海で本種を対象とした漁業が行われていたが、個体数の激減により、現在は行われていない[4]。
保全状況評価
- 絶滅危惧IA類 (CR)(環境省レッドリスト)
- 福岡県-絶滅危惧ⅠA類(CR) 長崎県-絶滅危惧ⅠB類(EN) 熊本県-絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)[5]
脚注
- ^ a b c 原色日本淡水魚類図鑑(1976)
- ^ a b c 『増補改訂 日本の淡水魚』250頁
- ^ a b 『小学館の図鑑Z 日本魚類館』129頁
- ^ a b 『山渓カラー名鑑 日本の淡水魚』85頁
- ^ “日本のレッドデータ検索システム(アリアケシラウオ)”. エンビジョン環境保全事務所. 2012年10月16日閲覧。
参考文献
関連項目