48DVD(よんぱちディーブイディー[1])は、日本で販売されていた光ディスク型のビデオソフトウェアの1種であり、開封から48時間だけ視聴できるとされるDVD互換ディスクに用いられた商標である[2]。DVDフォーラムに関わっていないため、厳密にはDVDと呼べず、DVDロゴも表示されていない。
概要
「48DVD」は、アメリカFlexplay Technologies社が開発した"EZ-D"技術を用いた販売用光ディスク製品の日本での商標[3]である。書籍取次大手の日本出版販売が2005年9月17日より販売していた[1]。レンタルDVDを代替すべく低価格で提供された。発売前から話題となったが、登場した当初よりレンタルDVDが普及する中での48DVDの意義を疑問視する声が多く、販売用は3タイトルが登場しただけで[1][注釈 1]、2006年には販売終了になった[4]。ビデオレンタル店や郵送レンタルサービスなどの普及が優勢となり、販売用光ディスク製品としては普及しなかった。
EZ-D
"EZ-D"技術を用いたディスクには特殊な塗料が塗られており、当初はその情報記録面が赤く、真空パックされた状態で販売される。開封と同時に記録面に空気が触れてこの塗料が酸化してゆき[1]、徐々にディスクの塗料が赤から黒に変化し、最終的にドライブのレーザー光を通さなくなることで再生できなくなる。名目上は開封後48時間の再生可能時間とされるが、保管期間や再生時の環境や製造時のばらつきなどの余裕を見込んでいるため、開封後48時間以上経過しても視聴できるが、化学変化は不可逆的に進行し確実に再生不可能状態に向かう。また、密封状態でも塗料の劣化は多少進むため、開封前の保存可能期間は約1年とされている[1]。
アメリカでは、環境保護団体から「廃棄物の増加につながる」と抗議を受けた[5]。この対策として、パッケージには回収用の封筒が同封され、オリエント測機コンピュータがリサイクルしていた[1][6]。日本でも普及しなかったが、非売品のプロモーション用ビデオや[2](例:『ミッション:インポッシブル3』[7])、雑誌の付録DVDとして採用された事例がある[8]。
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d e f g “48時間視聴限定DVD「48DVD」を試す”. Impress Watch. インプレス (2005年9月15日). 2018年6月16日閲覧。
- ^ a b 一条真人著、『Blu-ray HDDVDがわかる』、技術評論社、2007年7月25日初版第1刷発行、ISBN 9784774131412
- ^ アメリカでの"Flexplay"は、日本では「48DVD」として登録商標 第4935080号で登録されている。
- ^ “48DVD<よんぱちDVD>”. 日本出版販売 (2006年). 2006年8月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年4月22日閲覧。前出の3タイトルについて「販売終了」の告知有り。
- ^ “48時間有効の使い捨てDVDに環境活動家から非難の声”. WIRED. コンデナスト・ジャパン (2003年5月22日). 2019年4月22日閲覧。
- ^ “「48DVDリサイクルの流れ」”. オリエントコンピュータ. 2014年1月18日閲覧。
- ^ “「このDVDは48時間で消滅する」――M:i:IIIプロモに“時限DVD””. ITmedia NEWS (2006年5月18日). 2023年11月19日閲覧。
- ^ “「48(よんぱち)DVD」が創刊誌の付録に採用”. ニュースリリース. 日本出版販売 (2006年10月16日). 2006年11月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年4月22日閲覧。
外部リンク