(2E ,6E )-ファルネシル二リン酸シンターゼ ((2E ,6E )-farnesyl diphosphate synthase )はテルペノイド やステロイド の合成に関わるプレニル基転移酵素 の1つで、次の化学反応 を触媒 する酵素 である。
ゲラニル二リン酸 + イソペンテニル二リン酸
⇌ ⇌ -->
{\displaystyle \rightleftharpoons }
二リン酸 + (2E ,6E )-ファルネシル二リン酸
組織名はgeranyl-diphosphate:isopentenyl-diphosphate geranyltrans transferase である。単にファルネシル二リン酸シンターゼ という場合が多く、また別名としてゲラニルtrans トランスフェラーゼ (geranyltrans transferase )がある。
分布
ほぼすべての生物に保存されている。
構造
ファルネシル二リン酸シンターゼはホモ2量体で機能している。単量体は分子量およそ30kDaのポリペプチドで、11本のαヘリックスからなる。2ヶ所によく保存されたDDxxDモチーフが存在し、ここにマグネシウム イオンを介して基質が結合する[ 1] 。
大腸菌 由来ファルネシル二リン酸シンターゼのホモ2量体結晶構造(PDB : 1RQI )。紫と青はそれぞれの単量体を示している。Inset 1 は疎水的ポケットを原図より横に90度回転して示したもので、基質結合モチーフを黄、鎖長決定に関わる残基を緑で示す。Inset 2 は活性部位を原図の上側から見た様子で、3つのMg2+ イオン(灰色の球)を介して基質が結合している。[ 1]
反応機構
反応はイオン化-縮合-脱離の3過程で進行するSN 1反応 である。まず基質であるゲラニル二リン酸(またはジメチルアリル二リン酸)のアニオン性脱離基 である二リン酸 を3つのマグネシウムイオンがキレート する。これにより生じたカルボカチオン を、イソペンテニル二リン酸の二重結合が求核攻撃 することで2つの分子が結合する。最後にプロトンが脱離することでファルネシル二リン酸(またはゲラニル二リン酸)が生じる。[ 1]
医学上の重要性
骨ページェット病 や骨粗鬆症 の治療に用いられるビスホスホネート (リセドロネートなど)は、ファルネシル二リン酸シンターゼの阻害によりタンパク質のプレニル化 を抑制し、破骨細胞 の活動を抑えて骨の吸収を防ぐ。[ 1] [ 2]
参考文献
関連項目