鼓 常良(つづみ つねよし、1887年 - 1981年)は、日本の独文学者。
経歴
1987年、広島県で生まれた。東京帝国大学独文科で学び、1912年に卒業。
卒業後は教員となり、第八高等学校教授。戦後は大阪市立大学教授、後に大阪電気通信大学教授をつとめた。1962年、京都・桂に幼児教育研究所を設立し、その付属「月見が丘子どもの家」(横浜梶山モンテッソーリスクールの前身)で敗戦後最初のモンテッソーリ教育実践を始めた。
研究内容・業績
専門はドイツ文学で、美学、文芸学を研究。戦前はナチス文学の影響を受け、日本での宣伝に組した[1]。晩年はモンテッソーリの教育学の翻訳をてがけ、自らも生活教育法(モンテッソーリ教育実践の秘訣)を著した。
家族・親族
- 長女:川村洋子は横浜梶山モンテッソーリスクールの園長[2]。
著作
単著
- 『詳解独逸文典』大倉書店 1921
- 『西洋美学史』大村書店 1926
- 『日本芸術様式の研究』章華社 1933
- 『基本独逸文法』大学書林 1933
- 『生活文化の東西』章華社 1935
- 『独逸語新教程』大学書林 1935
- 『日本芸術の民族的特色』(思想問題小輯 7) 日本文化協会 1937
- 『冠詞の用法』大学書林 1938
- 『ドイツ文学史』白水社 1940
- 『芸術日本の探究』創元社 1941
- 『芸術学』三笠書房 1943
- 『東洋美と西洋美』敞文館(黎明選書) 1943
- 『独逸文学小史』三省堂(語学文庫) 1943
- 『文明の行方』矢代書店 1947
- 『瞑想の竝木路 人生論集』矢代書店 1947
- 『ドイツ文学入門』晃文社 1948
- 『生活の美学』角川新書 1956
- 『西洋の庭園』東京創元社(創元選書) 1961
- 『文芸学の方法』勁草書房 1967
- 『西洋文学の歴史』勁草書房 1969
共著
訳書
- 『文化の諸相と其進路』ミユツラーリヤ著、大村書店 1921
- 『若きヱルテルの悩み』(ゲーテ全集 6) 大村書店 1925
- 『ワレンシユタイン』シルレル著、岩波文庫 1940
- 『あひよる魂』エーミール・シュトラウス著、白水社 1940
- 『同志シュミーデケ』アルフレート・カラッシュ(ドイツ語版)著、白水社 1941
- 『マリーア・マグダレーナ』ヘッベル著、岩波文庫 1941
- 『やくざ者日記』アイヒェンドルフ 尾関毅共訳 晃文社 1948
- 『人間史論』(全4巻) ヘルダー著、白水社 1948-1949
- 『子供の秘密 幼少年期の心の解剖と育て方』M.モンテソリー著、日本教文社 1957
- 『幼児の秘密』マリア・モンテッソーリ著、国土社 1968
- 『子どもの発見』マリーア・モンテッソーリ著、国土社 1971
- 『子どもの心』マリーア・モンテッソーリ著、国土社 1971
脚注
- ^ 関楠生『ドイツ文学者の蹉跌』(2007)は日本におけるドイツ文学の影響にも関心を持ち、高橋健二、秋山六郎兵衛、石中象治、鼓常良らドイツ文学者がナチス時代にどのようにドイツの作家を評価していたかを考察している。
- ^ “当園について | 梶山モンテッソーリスクール” (2017年9月18日). 2021年2月25日閲覧。