高史明

高 史明
(こう しめい)
誕生 金 天三(キム・チョンサム)[1]
(1932-01-17) 1932年1月17日
日本の旗 日本山口県下関市[1]
死没 (2023-07-15) 2023年7月15日(91歳没)
日本の旗 日本神奈川県
職業 小説家
国籍 朝鮮籍
活動期間 1971年 - 2023年
ジャンル 思想宗教歴史
主題 随筆評論
代表作 『生きることの意味』(1974年)
『ぼくは12歳』(1976年)
『歎異抄のこころ』(1993年)
『闇を喰む』(2004年)
『月愛三昧』(2010年)
主な受賞歴 日本児童文学者協会賞
青丘賞
仏教伝道文化賞
デビュー作 『夜がときの歩みを暗くするとき』(1971年)
パートナー 岡百合子(作家)
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高 史明(コ・サミョン、こう しめい、: 고사명, 1932年1月17日 - 2023年7月15日)は、在日朝鮮人二世[2]小説家。本名は金天三(キム・チョンサム, : 김천삼)。

経歴

1932年山口県下関市に生まれる。3歳にして母と死別し、石炭仲仕であった父に育てられる。高等小学校中退後、職を転々とする。その中で、朝鮮が日本の植民地であったことが、差別と貧困につながっていることに気づき、政治活動に参加する[3]

1971年、初の著作『夜がときの歩みを暗くするとき』を上梓する。

1975年、『生きることの意味』で日本児童文学者協会賞産経児童出版文化賞を受賞

同年3月13日、詩人の金芝河が反共法違反で再逮捕された[4][5]。同年5月17日から19日にかけて、高史明、大江健三郎小田実井出孫六青地晨日高六郎真継伸彦鄭敬謨らは金の即時釈放を訴え、数寄屋橋公園で48時間ハンガー・ストライキを行った[6][7]

同年7月17日、一人息子の岡真史が12歳で自殺した[8]。その遺稿詩集『ぼくは12歳』を妻の岡百合子との編纂で刊行、1979年NHKでテレビドラマ化された。その後、親鸞と『歎異抄』の教えに帰依し、著作のほか、各地で講話活動を行う。

2008年3月30日に放送された「ETV特集」に出演、爆笑問題太田光が自宅を訪問し、話題となった。2010年、自らのメッセージを綴った言葉の本『高史明の言葉ーいのちは自分のものではない』、また集大成として『古事記』の時代から現代まで日本史の闇をひもとく5年がかりの書き下ろし大著『月愛三昧』を上梓。

2023年7月15日午後5時30分、神奈川県の自宅で老衰のため死去[9]。91歳没。

著書

  • 『夜がときの歩みを暗くするとき』筑摩書房 1971年
  • 『彼方に光を求めて』筑摩書房 1973年
  • 『生きることの意味 ある少年のおいたち』筑摩書房(ちくま少年図書館) 1974年 のち文庫
  • 『一粒の涙を抱きて 歎異抄との出会い』毎日新聞社 1977年
  • 『深きいのちに目覚めて』弥生書房 1980年
  • 『いのちの優しさ』筑摩書房 1981年 のち文庫
  • 『夜空に星のまたたく限り O.Mさんへの手紙』柏樹社 1981年 「いのちの大河」と改題、ちくま文庫
  • 『歎異抄との出会い』径書房
    • 第1部 少年の闇 1983年
    • 第2部 青春無明 1983年
    • 第3部 悲の海へ 1985年
  • 「生きることの意味 青春篇」としてちくま文庫
  • 『歎異抄 この不思議ないのちの光』光村図書出版(朝日カルチャー叢書) 1985年
  • 『生きることを学んだ本』筑摩書房(ちくまプリマーブックス) 1987年
  • 『子どもたちと光といのち』エイデル研究所 1987年
  • 『生きることと読むこと』筑摩書房(ちくまプリマーブックス) 1991年
  • 『真実のいのちに導かれて』真宗大谷派宗務所出版部 1991年
  • 『歎異抄のこころ』日本放送出版協会 1993年 のちNHKライブラリー
  • 『「ことばの知恵」を超えて 同行三人』新泉社 1993年
  • 『悲しみを通して真実のいのちをいただく』法藏館 1993年
  • 『死に学ぶ生の真実』法藏館 1994年
  • 『真夏の蒼い寒い空を見上げて 「八月十五日」に思う』真宗大谷派宗務所出版部 1995年
  • 『いま子どもたちの闇は』アドバンテージサーバー(ブックレット生きる) 1995年
  • 『いのちの涙あふれ』旬報社 (抱樸舎文庫) 1998年
  • 『いま真宗の信心を戴く』法藏館 1998年
  • 『いま「いのち」の声を聞く 自死のわが子より学びしこと』佼成出版社 1999年
  • 『現代によみがえる歎異抄』日本放送出版協会(NHK人間講座) 2001年 のちNHKライブラリー
  • 『知恵の落とし穴』風濤社 2001年
  • 『高史明親鸞論集』法蔵館 2003年
    • 第1巻 いのちの声が聞こえますか
    • 第2巻 ほんとうの幸せって何ですか
    • 第3巻 歎異抄との出会い
  • 『闇を喰む』角川文庫 2004
  • 『念仏往生の大地に生きる』真宗大谷派宗務所出版部 東本願寺伝道ブックス 2005年
  • 『悲の海は深く』真宗大谷派宗務所出版部 2005年
  • 『世のなか安穏なれ 『歎異抄』いま再び』平凡社 2006年
  • 『光明は黒闇のただ中に 戦争の闇をみつめる』真宗大谷派名古屋別院教化事業部 東別院booklet 2007年
  • 『いのちは自分のものではない 高史明の言葉』求龍堂 2010年
  • 『月愛三昧(がつあいさんまい) 親鸞に聞く』大月書店 2010年
  • 『現代によみがえる歎異抄』日本放送出版協会 2010年
  • 『『歎異抄』と現代』NHK出版 NHKカルチャーラジオ 2011年

共著・編

  • 岡真史『ぼくは12歳』岡百合子共編 筑摩書房 1976年 のち角川文庫
  • 『いのちの行方 人間とは何か』岡百合子共著 径書房 1981年
  • 『親鸞と暗闇をやぶる力 宗教という生きる知恵』上田紀行,芹沢俊介共著 講談社+α新書, 2003年
  • 『存在の大地』芹沢俊介,上田紀行共著 真宗大谷派宗務所出版部 2005年
  • 『念仏者と平和 改憲・教育基本法「改正」問題と私たち』高橋哲哉,小川一乗,児玉暁洋,真城義麿,信楽峻麿 ほか共著 真宗大谷派宗務所出版部 2007年
  • 布施辰治と朝鮮』大石進,李ヒョン娘, 李圭洙共著 高麗博物館 2008年
  • 『現代社会における浄土真宗 兵庫教区青年僧侶の会30周年記念シンポジウム』金光寿郎,栖雲深泥共著 自照社出版 2011年
  • 『いのちと責任 対談高史明・高橋哲哉』李孝徳編 大月書店 2012年

ドキュメンタリー

オーディオブック

脚注

出典

  1. ^ a b 日本大百科全書(ニッポニカ)
  2. ^ 『生きることを学んだ本』p.6。
  3. ^ 『生きることを学んだ本』p.13。
  4. ^ 金芝河 著、金芝河刊行委員会 訳『苦行 獄中におけるわが闘い』中央公論社、1978年9月30日、660-670頁。 
  5. ^ '유신 광기 절정... 김지하의 신변에 불길한 예감', 《한겨레》2012년 2월 14일자
  6. ^ 『コリア評論』1975年6月号、コリア評論社、51-52頁。
  7. ^ 『筑摩現代文学大系 86 開高健・大江健三郎集』筑摩書房、1976年12月15日、488頁。 
  8. ^ 『生きることを学んだ本』p.23。
  9. ^ "高史明さん死去、91歳 「生きることの意味」「歎異抄のこころ」". 朝日新聞. 2023年7月21日. 2023年9月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月10日閲覧
  10. ^ "歎異抄に導かれて". NHK. 2023年9月10日. 2023年9月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年9月22日閲覧

関連項目

外部リンク