金 博洋(ジン.ボーヤン、中国語: 金 博洋 /tɕin⁵⁵ pu̯ɔ³⁵ iaŋ¹³/ 拼音: Jīn Bóyáng チン・ポーヤン / 英語 Jin Boyan ジン・ボーヤン、1997年10月3日 - )は、中国出身の男性フィギュアスケート選手(男子シングル)。
2016年四大陸フィギュアスケート選手権において、ISU公式戦で初めて1つのフリースケーティングで4度の4回転ジャンプ(4Lz、4S、4T-2T、4T)を成功させた選手である。
2016年、2017年世界選手権3位。2018年四大陸選手権1位。
人物
好きな選手はアレクセイ・ヤグディン、エフゲニー・プルシェンコ、羽生結弦、申雪/趙宏博組。好きなエレメンツはジャンプ、嫌いなエレメンツはステップ。両親は陸上競技800メートル競走の選手である。両親と同様に走ることが好きだが、それ以上にスケートが好きなのだという[1][2]。2009年から金を指導しているコーチの許兆暁は、1980年のレイクプラシッドオリンピックに中国のフィギュアスケート選手として初めて出場した。
両親はもともと名前を「天」としようと考えていたが、それは正式な名前らしくないため、現在の名前となる。幼名として「天天」と呼ばれ、現在も中国スケートファンの間で金博洋の愛称として広く用いられている[3]。
スケート技術
4回転ジャンプを得意とし、3種類の4回転ジャンプ(トウループ、サルコウとルッツ)を跳ぶことができる。
初めて試合で成功したのは、4Tは14歳、4Sは15歳、4Lzは17歳の時である。
金は常に、シーズン中に元々ハイレベルなジャンプ構成を更にレベルアップさせている。レベルが上がれば上がるほどリスクも高くなるが、ほとんどの試合でミスを最小限にとどめて高い技術点につなげている。
FSでは幾度と無く4度の4回転ジャンプを盛り込んでおり、グランプリファイナルでは4Lz、4S、4T、4T-2Tの構成に挑み、自身初となる技術点100点超え(101.86点)を叩きだした。特に4Lzは2015-2016シーズンではグランプリファイナルのSP、世界選手権のFSで片手を付いた以外は全ての大会のSP、FSで成功しており、史上初となる4Lz-3Tも何度も成功させている。
ルッツジャンプとフリップジャンプを正確に跳び分けられるスケーターの1人で、エッジエラー判定になることは滅多にない。
経歴
7歳の時、フィギュアスケートの競技会を見た後にスケートを始める。
2011-2012シーズン、アジアフィギュア杯 のジュニアクラスで国際大会デビューし優勝する。2011年12月の全国青少年錦標賽で初めて4Tに挑戦し、2012年1月の全国冬季運動会 のSPで初めて成功した(いずれも当時14歳)。
2012-2013シーズンより本格的に国際大会に参戦。
ジュニアグランプリではクールシュベルのFSで国際大会で初めて4Tを成功し完全優勝。続くセンシラ・ブレッド杯では2位となり、ジュニアグランプリファイナルへの進出を決めた。ジュニアグランプリファイナルではFSで2度の4回転ジャンプに初めて挑戦し、5位。中国選手権ではすべての4回転を成功し銅メダル。世界ジュニア選手権では表彰台に迫る4位となる。
2013-2014シーズン、金曰く夏の国内大会で初めて4Sに成功した。ジュニアグランプリではFSで2種類の4回転(4T、4S)を入れた構成で2大会ともに優勝し、2年連続でジュニアグランプリファイナルに進出。ファイナルのFSでは当時16歳で初めて3度の4回転ジャンプに初めて挑戦し、SP5位から追い上げて優勝した。初挑戦ながら3本の4回転全てが認定され技術点は88点を超えた。中国選手権では初優勝。ここまですべての主要な大会で優勝していたが、世界ジュニア選手権ではSPで2位となるもののFSではジャンプのミスが相次いで6位となる。2014年4月、国内大会のFSで初めて4Lzに挑戦したが転倒(回転は認定)。
2014-2015シーズン、ジュニアグランプリでは昨シーズンに続き2大会ともに優勝し、3年連続でジュニアグランプリファイナルに進出した。ファイナルではSPでパーソナルベストを更新し2位となるものの、FSはジュニアで初めて230点台を出した宇野昌磨の次の滑走でミスが続き表彰台を逃した。中国選手権ではSPで初めて2度の4回転(4T、
4S)に挑戦し着氷、FSではすべてのジャンプを成功し非公式ながら17歳で自身初の技術点100点台を記録。完全優勝かつ2連覇を達成した。世界ジュニア選手権では銀メダルを獲得した。2015年4月の国内大会ではSPで4Lzと4Tの2度の4回転に挑戦(4Lzはステップアウト)。FSでは4度の4回転を飛ぶ予定だったが冒頭の4回転は跳ばなかった。
2015-2016シーズン、中華人民共和国全国冬季運動会予選のSPで、試合で初めて4Lz-3Tのコンビネーションジャンプに挑戦し成功。3Aと後半の4Tも着氷して得点は97.84、技術点は58.69を記録。FSでは初めて前半に2度(4Lz、4S)、後半に2度(4T)、合計の4度の4回転に挑戦した。中国杯のSPで、国際大会では史上初めて、4Lz-3Tのコンビネーションに成功。FSでも4Lzに成功するなどして2位。シニアのデビュー戦で銀メダルを獲得した。続くNHK杯でも銀メダルを獲得し、グランプリファイナル進出を決めた。四大陸選手権では、SPで4Lz-3Tと4Tに成功し1位。FSでは史上初めて4度の4回転ジャンプ(4Lz、4S、4T-2T、4T)に成功した。また同時に、史上初めて1大会で6度の4回転ジャンプも成功させた。自己ベストを更新し、初出場ながら銀メダルを獲得した。世界選手権では銅メダルを獲得し、中国の男子選手としては初めて表彰台に立った。
2016-2017シーズン、スケートアメリカではSPにミスが連続し8位と出遅れ、FSでも復調せず総合で5位に終わる。母国の中国杯では、SPで96.17を叩きだし優勝に王手をかけるもパトリック・チャンに1.18差で敗れ2位となりグランプリファイナル出場を逃す。世界選手権では、SP・FS共に自己ベストを更新し、2年連続で銅メダルを獲得した。
2017−2018シーズン、中国杯で2位、スケートアメリカで4位になり、グランプリファイナル出場を決めるが、足の負傷により棄権した。中国選手権も欠場したが、実績により五輪代表に選ばれる。4大陸選手権では宇野昌磨との接戦を制して1位となる。平昌五輪では4位になるが、男子シングルを採点した中国人のジャッジが、金の演技に過剰な高得点を与えていたとしてISUから処分を受けた[4]。世界選手権ではSPで4位に付けるが、FPでジャンプの失敗を重ねて22位となり、総合19位に終わった。
2021−2022シーズン、2022年北京オリンピック・中国代表。
2022−2023シーズン、グランプリシリーズスケートカナダ,NHK杯の2戦にアサインされていたが、怪我により欠場となった[5]。
主な戦績
詳細
プログラム使用曲
脚注
外部リンク
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