共通鍵ブロック暗号で使うための認証付き暗号専用のモードも数多く開発されているが、一般的に認証付き暗号は、暗号システムとメッセージ認証符号 (MAC) を組み合わせて構成する。その場合、暗号システムは選択平文攻撃のもとで強秘匿性を有し、MAC 関数は選択メッセージ攻撃のもとで偽造不可でなければならない。Bellare and Namprempre (2000) はこうしたプリミティブの組み合わせを三通り考察し、暗号と MAC 双方の関数が必要な性質を満たす場合は、メッセージを暗号化してから暗号文に MAC を計算すること (EtM: Encrypt-then-MAC) で適応的選択暗号文攻撃に対し安全であることを実証した。
はじめに平文を暗号化し、暗号文から MAC を計算する。暗号文と MAC を連結して送信される。ISO/IEC 19772:2009 に準拠する標準的な手法[5]。IPSecなどで利用される。これは AE で最高水準の安全性を達成できる唯一の手法であるが、その達成のためには使用する MAC が「強偽造不可」(Strongly Unforgeable)[9] でなければならない。2014年11月に、TLS および DTLS の拡張として EtM を定義する RFC7366 が勧告された。
Encrypt-and-MAC (E&M)
平文から MAC を計算し、平文はそのまま暗号化される。暗号文と MAC を連結して送信される。SSHや Grain 128a などで利用される。E&M 自体は強偽造不可だと証明されていないが[9]、この手法でも少しの修正で SSH を強偽造不可にすることは可能である[要出典][10][出典無効]。
MAC-then-Encrypt (MtE)
平文から MAC を計算し、平文と MAC を連結した状態で暗号化される。暗号文(暗号化された平文と暗号化された MAC を含む)が送信される。SSL/TLS などで利用される。MtE 自体は強偽造不可だと証明されていないが[9]、SSL/TLS 実装は Krawczyk により強偽造不可であることが証明されている。SSL/TLS は、MtE と同時に使用するエンコーディングのおかげで事実上安全である[11]。
Bellare, M.; Namprempre, C. (2000), T. Okamoto, ed., “Authenticated Encryption: Relations among notions and analysis of the generic composition paradigm”, Extended abstract in Advances in Cryptology: Asiacrypt 2000 Proceedings, Lecture Notes in Computer Science (Springer-Verlag) 1976: 531, doi:10.1007/3-540-44448-3_41, ISBN978-3-540-41404-9