『若菜集』(わかなしゅう)は、島崎藤村の処女詩集。1897年(明治30年)に春陽堂から刊行。
七五調を基調とし、冒頭に置かれた「六人の処女」(「おえふ」「おきぬ」など)のほか51編を収録。「秋風の歌」や「初恋」が特に名高い。日本におけるロマン主義文学の代表的な詩集である。
初恋 島崎藤村
まだあげ初めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花ぐしの
花ある君と思ひけり
やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅の秋の実に
人こひ初めしはじめなり
わがこゝろなきためいきの
その髪の毛にかゝるとき
たのしき恋の盃を
君が情に酌みしかな
林檎畑の樹の下に
おのづからなる細道は
誰が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ
この「初恋」は雑誌『文學界』において1896年(明治29年)10月30日に発表された。この日は「初恋の日」として、藤村が滞在した温泉宿「中棚荘」(長野県小諸市)の申請に基づき、日本記念日協会に登録されている[1]。
関連項目
脚注
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