絵画はおそらくメディチ家のために制作されたと考えられているが、その後の来歴は不明である。絵画はおそらく19世紀後半に2つの個人コレクションに属していたと考えられている。1つはパリの美術収集家であるブルノンヴィル男爵エティエンヌ・エドモンド・マルティン(Etienne Edmond Martin, Baron de Beurnonville, 1825年-1906年)のコレクションである。ブルノンヴィル男爵は1872年から1906年にかけてコレクションを売却しているが[5]、1885年に「天使と風景の背景のある聖母」の絵画をフィリッポ・リッピの作品として売却している。もう1つは政治家・美術収集家ウィリアム・グラハム(英語版)のコレクションで、彼はブルノンヴィル男爵の絵画を入手したと考えられているが、同年に死去しており、そのコレクションは翌1886年にクリスティーズで売却された。その際にこの作品は「聖母子と二人の天使」のタイトルで売却されている[2]。
本作品はパリの美術商シャルル・セデルマイヤー(英語版)のコレクションにおいて最初に記録された。1925年5月に美術商デュビーン・ブラザーズ(Duveen Brothers)に売却されたのち、絵画はアメリカ合衆国の女性慈善家ジェネヴィーヴ・ガーヴァン・ブレイディ(英語版)の手に渡った。彼女は夫の死後の1937年にウィリアム・J・バビントン・マコーリー(William J. Babington Macauley)と再婚したが、その翌年に死去。絵画は1939年からデュビーン・ブラザーズに委託され、1942年1月にサミュエル・H・クレス財団(Samuel H. Kress Foundation)に売却、1943年にナショナル・ギャラリー・オブ・アートに寄贈された[2][4]。