『秘本三国志』(ひほんさんごくし)は、陳舜臣の長編歴史小説。
概要
『文藝春秋』で1974年から1977年まで連載された。文庫本は全6巻。『三国志演義』のように劉備(蜀)視点ではなく、『正史 三国志』をもとにしており、主に五斗米道の教徒(張魯の母の少容やその弟子の陳潜)を狂言回しとし、彼らから見た物語になっている。演義やそれをベースとしたそれまでの作品群が描いてきた「劉備:善人、曹操:悪人」ではないストーリーは、日本における曹操再評価の嚆矢のひとつとなった。
陳はその後も「三国志」を題材とした『諸葛孔明』(中央公論社、1991年)、『曹操 魏の曹一族』(中央公論社、1998年)、『曹操残夢 魏の曹一族』(中央公論新社、2005年)を執筆している。