知的財産管理技能士(ちてきざいさんかんりぎのうし)は、技能検定制度の一種[1]で、国家資格である。略称は知財技能士[2]。 職業能力開発促進法第47条第1項により厚生労働大臣が指定する指定試験機関(一般社団法人知的財産教育協会[3])が実施する知的財産管理に関する学科及び実技試験に合格した者をいう。2008年に技能士に新たに追加された職種である。
所属する企業・団体の職員等が企業・団体内において知的財産に関する能力を発揮するために、その能力を国が証明する資格が知的財産管理技能士である。 法律上、独占業務が付与される弁理士とは目的が異なる。
技能の内容に応じ、3級、2級、1級に区分される。
区分および試験範囲は、経済産業省「知財人材スキル標準[4](IPSS)」に準拠している。
学科試験と実技試験がある。一般に、技能検定の実技試験では実際に作業を行わせる作業試験が主体であるが、 知的財産管理の職種における実技試験の形式は、2級および3級では筆記試験、1級では口頭試問である。
2級及び3級は学科試験、実技試験の両方に同時に合格すれば資格取得となる。 あるいはどちらかに合格し、翌々年度までにもう一方の試験に合格すれば、2級及び3級技能検定の合格者となる。 1級は学科試験に合格後、翌々年度までに実技試験に合格すれば1級技能検定の合格者となる。
技能検定の合格者は合格証書が交付され、技能士を称することができ、名刺等への記載が可能となる。なお、資格を表示する場合は、「等級」「正式職種名」「技能士」の順で表示することとされており、「1級知的財産管理技能士」、「2級知的財産管理技能士」、「3級知的財産管理技能士」のように等級を明示する必要がある。等級の非表示、等級表示位置の誤り、正式職種名の省略表示などは不可である。
知的財産管理職種技能検定における試験科目およびその範囲の設定、改定、学科試験および実技試験の審査、採点等を職務として行う者を知的財産管理技能検定委員(正式名称は知的財産管理職種指定試験機関技能検定委員)といい、知的財産管理について専門的な技能、技術又は学識経験を有する者のうちから指定試験機関である知的財産教育協会により選任される。
2014年5月現在、知的財産管理技能検定委員は知的財産関係省庁・団体・大学教授や弁理士、弁護士、1級知的財産管理技能士などで構成されている[7]。
試験は全国各地で3月上旬頃、7月下旬頃、11月下旬頃の年3回行われ、各級の最終合格率は平均、1級:7%、2級:27%、3級:72%ほどで推移している [8]。