矢切ねぎ(やきりねぎ)は、日本のネギの品種。千葉県松戸市の特産品として有名[1][2]。
千住葱に品種改良を加えたもので、太くて甘みがある。名称は、市内矢切地区で栽培が始められたことに由来[3]。
沿革
背景
矢切地区には江戸川の氾濫でできた、砂と枯土が適度に混ざった土壌[4]が広がるが、水分を含んだ土壌はネギの栽培に適している。矢切地区は周辺に比べて土地が低く、雨水などが集まりやすい。そのため土壌に含まれる水分が多い。冬になると土壌中の水分が凍って硬くなるが、土の圧力がネギにとってストレスとなり、身を守ろうとして甘みを溜め込むため、矢切ねぎの甘みは非常に強い[5]。
歴史
本格的に栽培が始まったのは明治3 - 4年頃。東京府下砂村(現・東京都足立区千住)から千住ねぎの種子を譲り受け栽培を始めたのが始まり。明治12 - 13年頃からは市場へ出荷するようになった。その後、後継者たちは組織的な研究活動により新技術をいち早く取り入れ、技術改善を図ってきたことにより全国農産物品評会で3回農林水産大臣賞を受賞している[5]。
2007年12月、松戸市農業協同組合が地域団体商標を取得[1]
今日、一般の青果店に並ぶことは少ないが、贈答用としての人気がある[6]。
特徴
白い部分が長く太い根深ねぎである。糖度は11 - 12度あり、これは果実とほぼ同じである。この甘みを活かして、焼いても鍋にしても美味と評価される高級品。規格として白い部分を30センチ以上とすることになっているが、そのため播種から出荷までには10か月ほどかかる[5]。
出典
- ^ a b 農耕園藝編集部 編『高収益安定生産を実現する 新訂 ネギの生理生態と生産事例』誠文堂新光社、2014年6月10日、178頁。ISBN 978-4-416-71433-1。
- ^ 『大百科事典』 27巻(改訂新版)、平凡社、2007年9月1日、106頁。「市の周辺部は早くから近郊農業地として開け、矢切ネギは名高く」
- ^ 「松戸特産矢切ねぎ 地域団体商標を取得 高級店や贈答用で人気」『千葉日報』2008年1月19日。
- ^ 「矢切ねぎ 名のり」『朝日新聞』2008年1月12日。
- ^ a b c “「矢切の渡し」で有名な矢切地区で生産されている冬ねぎ 松戸のブランドネギ「矢切ねぎ」が旬を迎えました!”. prtimes.jp (2021年12月9日). 2022年3月13日閲覧。
- ^ 竹中景太「「矢切ねぎ」を商標登録 地域ブランドで差別化図る」『松戸よみうり』第664号、松戸よみうり新聞社、2008年1月27日。
外部リンク