癇癪玉 (かんしゃくだま)は花火 の一種であり、火薬 を利用して大きな音を立てて遊ぶための玩具 。クラッカーボール 、投げ弾 とも言う。赤・青・黄などで彩色された直径7~8mm の玉の形をしている。外皮の中に火薬と小石が入っており、地面にたたきつけたり、踏んだりすると「パン」と大きな音を立ててはじける。パチンコ を使用して発射する場合もある。
平玉火薬 と同様に、映画 やドラマ などで銃弾 が命中したときの特殊効果 ・効果音 にも使用される[ 1] 。鉄柱やコンクリート壁など、穴を開けて弾着(特殊効果用の煙火)を仕掛けることのできない物体に対して、パチンコで飛ばして破裂させ、火花と煙を出す効果を得る。
火薬類取締法施行規則 (第1条の5第1号のヘ「爆発音を出すことを主とするもの」の(1))では、「直径1cm以下、重量1g以下、爆薬量が0.08g以下」である事が定められている[ 1] 。材質は鶏冠石 と塩素酸カリウム を砂にまぶし、薄紙で包んだものであるとされる[ 1] 。音を出す事を目的とした玩具用花火には、他にクリスマス・クラッカー があるが、癇癪玉が1919年 に日本で考案されたものであるのに対して[ 2] 、クリスマス・クラッカーは1847年 に英国 で考案されたもの[ 3] とされている。両者の英語名の語源である爆竹 (ファイアークラッカー)の歴史は更に古く、紀元前200年 の中国大陸 まで遡る。
癇癪玉の考案者は静岡県 のイケブン であるとされるが、当初は「五色玉花火」や「五色玉」と呼ばれていたものが、第二次世界大戦 後の対米輸出開始時にクラッカーボールの名称が使われ始めたという[ 2] 。欧米 の花火コレクターの間で現存する日本製の玩具花火には、クラッカーボールの他にロケット花火 (英語版 ) が存在しており、連合国軍占領下の日本 における比較的著名な輸出品であった事が偲ばれる[ 4] 。
欧米では癇癪玉よりも大きな、アメリカンクラッカー に近い大きさのクラッカーボールもあり、爆竹のように導火線 に着火して用いる[ 5] 。癇癪玉と類似した「衝突させて大きな音を出す玩具花火」では、ハンド・ブラスター(Hand Blaster)と呼ばれるものもあり、2個一組で販売されている球を互いにぶつけあう事で、400回程度大きな音を発生させる事ができ、表面に塗布された火薬がぶつけた個所のみ発火する構造のため、「手の中で発火させても安全」であるとされている[ 6] 。
脚注
^ a b c クラッカーボール - コトバンク
^ a b 会社概要 - 株式会社イケブン
^ Peter Kimpton (2005) Tom Smith's Christmas crackers: an illustrated history , Tempus ISBN 0-7524-3164-1 Margaret Baker (1992) Discovering Christmas customs and folklore: a guide to seasonal rites , p.72, Osprey Publishing ISBN 0-7478-0175-4
^ VINTAGE FIREWORKS CRACKER BALL BOX + BABY ROCKET SPARKLERS JAPAN GREAT GRAPHICS - worthpoint.com
^ Cracker balls - ブラックキャット・ファイアーアワークス
^ Hand Blasters - House of RAVE
関連項目