王立地理学会(おうりつちりがっかい、英語: Royal Geographical Society RGS)は、地理学の発展のために1830年に設立されたイギリスの学会。日本語では王立地理学協会[1]、王立地学協会[2]などとも訳される。今日においては、世界の地理学の中心的位置を占める学会であり、研究、教育、巡検とフィールドワークを支援し、世界の人々、場所、環境についての一般法則化と詳細な理解を奨励している。
歴史
王立地理学会は1830年にロンドン地理学会(Geographical Society of London)の名称で「地理学の発展」を推進する研究機関として発足した[3]。世界で3番目に発足した地理学の学会である[4]。後にローリークラブやパレスチナ協会と似た組織であるジョゼフ・バンクスが1788年に設立した旧アフリカ協会(African Association)を吸収した。多くの学会と同様に、選ばれたメンバーが最近の科学的な問題や発想について議論するインフォーマルな晩餐会を開催する「ダイニングクラブ」として始まったのである。
地理学のより体系的な研究の登場により、1933年に王立地理学会所属のアカデミックなメンバーによって王立地理学会の姉妹学会として、英国地理学会(イギリス地理学会、英語: Institute of British Geographers, IBG)が設立された。当時の王立地理学会が貴族や軍人で占められ、The Geographical Journalも学術的な論究の場ではなかったからである[8]。英国地理学会は学術大会、巡検、セミナー、専門の研究グループの運営を行い、学会誌Transactions of the Institute of British Geographers(Transactions)は現在では主要な国際誌として扱われ、地理学分野の「ランドマーク」的な研究を掲載している。当初、Transactionsは学会記事が中心で、発行は年1巻のみ、掲載される学術論文は通常1本であった[8]。
1988年1月、王立地理学会は他のイギリスの地理学系学会との協議会(Council of British Geography, COBRIG)を発足させ、イギリス国内の地理学の発展と地理教育の向上を目指した[9]。王立地理学会と英国地理学会は60年に渡って併存してきたが、1992年に合併が議論された。1994年に会員の投票が行われて合併が承認され、翌1995年1月に新しい王立地理学会(正式名称:Royal Geographical Society (with the Institute of British Geographers)、略称:RGS-IBG)が発足した。今日、王立地理学会はイギリス国内においても世界においても地理学分野の主要な学会である。ヨーロッパでは最大の地理学系学会で、世界でも最も大きな地理学系学会の1つである。イギリス国内に8つ、香港に1つの支部があり、地域での学会運営を行う。
Mill, H.R. (1930) The record of the Royal Geographical Society, 1830-1930, London : Royal Geographical Society, 288 p.
Royal Geographical Society (2005) To the ends of the Earth : visions of a changing world : 175 years of exploration and photography, London : Bloomsbury, ISBN 0-7475-8138-X
Winser, S. (Ed.) (2004) Royal Geographical Society with the Institute of British Geographers expedition handbook, New ed., London : Profile, ISBN 1-86197-044-7