濱田 剛(はまだ つよし)は、日本の工学者(情報工学)。元長崎大学先端計算研究センター超並列部門長、准教授。報道などでは浜田 剛(はまだ つよし)と表記されることもある。
概要
長崎大学の工学部にて、情報システム工学科のテニュアトラック助教として採用された。Graphics Processing Unitを並列に繋げたスーパーコンピュータの開発に取り組み、日本国内最速の演算速度を実現した。これらの業績が評価され、IEEEよりゴードン・ベル賞の価格性能部門を授与された[1][2][3][4][5]。同じくゴードン・ベル賞受賞者である牧野淳一郎の弟子である[6][7]。
1999年 3月 東京大学 工学博士
2010年4月、長崎大学に新たに設立された先端計算研究センターの超並列計算部門長、准教授に着任。
2017年3月、長崎大学を辞職。
2020年4月 LocationMind の通信技術顧問に就任[4]と記載されているが、現在はチームメンバーから表示が消えているため所属は不明[5]
現在、東京大学 空間情報科学研究センター全国共同利用施設 特任教授[6]とあるが、リンクが存在しておらず所属は不明[7]
現在、株式会社アークエッジ・スペース所属[8]。
研究
専門は情報工学であり、特にGraphics Processing Unitを応用したGPGPUなどの研究が知られている。情報処理推進機構の2005年度上期未踏ソフトウェア創造事業に、FPGAを用いたスーパーコンピューティング環境の研究で採択される[9]。開発したPROGRAPE-4は無衝突重力多体系の演算で243.2GFLOPSを達成。しかも消費電力はたったの5Wであった。この成果により2006年に天才プログラマー/スーパークリエータに表彰される[10]。
Central Processing UnitとGraphics Processing Unitとを比較するため、講演会などで両者を用いた銀河衝突のシミュレーションを実演することもある。2008年初頭の実演では、Central Processing Unitを用いた際の実測値が0.2GFLOPSほどだったのに対して、Graphics Processing Unitを用いた際は270〜470GFLOPSを叩き出している
[11]
[12]。
その後もブリストル大学の横田理央、理化学研究所の似鳥啓吾との共同研究を進め、開発費3800万円を投じGraphics Processing Unitを760基並列に繋いだスーパーコンピュータ DEGIMA を完成させた[2]。Graphics Processing Unitを一度に多数繋いで制御するのは複雑で困難だとされていたが、濱田らは新たな手法「マルチウォーク法」を開発することでその課題を克服し、演算速度158TFLOPSのスーパーコンピュータを実現させた[3][13]。この演算速度は当時最速だった「地球シミュレータ」を超えたため、日本国内で最速記録を達成した[2]。従来のスーパーコンピュータ開発には「10億〜100億円ほどかかる」[4][5]といわれていただけに、その開発費の安さが驚きをもって迎えられた。
2010年にも似鳥啓吾との共同研究で、前年に引き続きゴードン・ベル賞の価格性能部門を授与された。2009年のものと比べ、ノード間のネットワークをギガビット・イーサネットからInfiniBandに置き換えた事、GPUを増やした事により、総額を2割弱増やしただけで演算速度190TFLOPSを達成した。
DEGIMA は様々な計算に適用する事が可能である。2011年6月に発表されたTOP500では実効性能42.83TFLOPSで429位にランクインした。Green500では1375.88MFLOPS/Wで3位(1位と2位はBlueGene/Qのプロトタイプなので、実稼働機器では1位)にランクインした[14]。
発言
1990年に東京大学が開発したスーパーコンピュータ「GRAPE」について「GPGPUとGRAPEのアイデアはほぼ同じ。GRAPEで試行錯誤してきたノウハウが、GPGPUでも使える」[12]と指摘し、日本が物理シミュレーション等の分野で培った実績を生かせばGPGPUの領域でも貢献できると考えている。また、文部科学省が進める次世代スーパーコンピュータ「汎用京速計算機」開発に対しては、巨額の資金を投じて開発を進める手法について「素直にいいとは言えない。方向性が逆」[2]と指摘し、低価格化が可能との見解を示している。
賞歴
脚注
関連人物
関連項目
外部リンク