櫻井家住宅(さくらいけじゅうたく、桜井家住宅)は、島根県仁多郡奥出雲町にある歴史的建造物。たたら製鉄で栄えた「鉄師御三家」櫻井家の旧宅。隣接する歴史資料館の可部屋集成館(かべやしゅうせいかん)が管理している[1]。
建造物群は島根県指定有形文化財に指定された後、一部が国の重要文化財に指定変更、また庭園が国の名勝に指定されている[2]。国の重要文化的景観「奥出雲たたら製鉄及び棚田の文化的景観」の一部としても選定されている[1]。
櫻井家住宅・庭園
たたら製鉄の歴史を伝える佇まいや、滝のある日本庭園の紅葉が見どころとされる[2][3][4][5]。
江戸時代の1738年(元文3年)に建造された主屋を中心に、蔵、金屋子神社、御成門、数寄屋風書院造の御成座敷などからなる[3][5]。歴代松江藩主の藩内巡視時の本陣宿としても使われた[2]。1803年(享和3年)茶人としても知られる松平治郷(不昧公)来訪の頃に、庭園が建造された[6]。治郷は庭園の滝を賞賛し「岩浪」(がんろう)と名付けた[7][6]。1878年(明治11年)には、日本画家の田能村直入が逗留し作品や草庵を残した[2]。
文化財
1997年(平成9年)12月26日に建造物群が島根県指定有形文化財に指定された[1][8]。
その後、これらの中で鉄山師屋敷主屋など9棟が2003年(平成15年)5月30日付けで国の重要文化財に指定された(これら9棟については同日付けで県による指定を解除、残りの県指定建造物群については2005年(平成17年)5月17日付けで名称および員数を変更)[5][8]。
2014年(平成26年)3月18日、国の重要文化的景観「奥出雲たたら製鉄及び棚田の文化的景観」の一部に選定された[1]。
2017年(平成29年)10月13日、庭園部分が「櫻井氏庭園」として国の名勝に指定された[9][8]。
可部屋集成館
隣接する可部屋集成館には、櫻井家に伝わる歴史資料や美術工芸品、たたら製鉄の道具が展示されている[10]。可部屋集成館は1983年に開館した[11]。
櫻井家
櫻井家は田部家・絲原家とともに奥出雲の「鉄師御三家」と称される[6]。当主は代々「櫻井三郎右衛門」を襲名する(襲名は明治以降)[11]。
戦国武将・塙団右衛門の末裔家であり、広島の可部で製鉄業を開業した後、正保元年(1645年)奥出雲に移住し「可部屋」を屋号とした[3]。以後、松江藩に鉄師として重用され名家となった[2]。21世紀現在でも当主が島根日産自動車代表取締役社長を務めるなど、名家として続いている[7][12]。
ロケ地
2023年夏、TBS系テレビドラマ『VIVANT』に、櫻井家をモデルとする名家が登場し、住宅がロケ地として使われ、来場者が急増した[12][13][14][15]。
脚注
関連項目
外部リンク