核融合科学研究所 (かくゆうごうかがくけんきゅうじょ、英語 : National Institute for Fusion Science )は、大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 を構成する研究所の一つ。1997年7月より岐阜県 土岐市 に本部を置く。核融合科学分野における国立の研究所で、大学共同利用機関 として各地の大学から研究施設の共同利用が行われている。
総合研究大学院大学 をはじめとする様々な大学院の学生に対する教育も実施している。総合研究大学院大学先端学術院の核融合科学コースの基盤機関とされており、2006年度からは従来の博士後期課程に加え、5年一貫制博士課程を導入している。
主にヘリカル型 の核融合炉が研究されている。現在、世界各国で研究が進められている実験検証炉は、トカマク型 装置が主流であるが、ヘリカル型はその次の核融合炉として期待されている方式である。パルス運転が必要とされるトカマク型に対して、ヘリカル型は連続運転が可能なこと、装置負荷が大きいプラズマの崩壊(ディスラプション)が存在しないことが利点とされる。ただし、非常に複雑なコイルが必要とされ、炉を製造する上では非常に高度な技術が必要とされる。
本研究所に設置されている放射線遮蔽用のドアは720トン の重量があり、「世界一重いドア」として、2023年 現在ギネス世界記録 に認定されている[ 5] 。
プラズマくん をマスコットとしていたが、2017年 (平成29年)に猫とトーラスプラズマをモチーフとした新たなマスコット「ヘリカちゃん」へと代替わりした[ 6] 。
沿革
名古屋大学 プラズマ研究所は、超高温プラズマの基礎的研究を行う研究所であり、京都大学 ヘリオトロン核融合センターでは、ヘリカル型 の核融合実験装置の研究開発が行われていた。広島大学 核融合理論研究センターでは、核融合の理論面に注目した研究により、特にD+T反応におけるβ値の研究等で優れた実績を持つ研究が行われていた。これらの研究を移管統合することで、理論精査、実験、精密観測により核融合 技術の基礎的な面を確立し、将来、本当に必要となる核融合技術の確立に向けた研究を行うことを目的として、文部省直轄の研究所として核融合科学研究所は設立された。
組織
ユニット
10個のユニットがあり、所内と所外のメンバーがほぼ同数で構成される。それぞれのユニットは「ユニットテーマ」を掲げ、核融合科学における未解決問題に取り組んでいる[ 8] 。
メタ階層ダイナミクス
構造形成・持続性
位相空間乱流
プラズマ量子プロセス
プラズマ・複相間輸送
可知化センシング
プラズマ装置学
複合大域シミュレーション
超高流束協奏材料
超伝導・低温工学
施設概要
施設の全景
世界最大級の超伝導プラズマ閉じ込め実験装置、大型ヘリカル装置(LHD) 大型ヘリカル実験棟
世界最大級のヘリカル型超伝導プラズマ閉じ込め実験装置「大型ヘリカル装置 」(英 : Large Helical Device , LHD) が設置されている。
シミュレーション科学研究棟
2020年7月1日に新たな「プラズマシミュレータ・雷神」が稼働を開始した[ 10] 。NEC 製ベクトル型スーパーコンピュータ「SX-Aurora TSUBASA A412-8」×540台で構成され、10.5 PFLOPS の演算性能を持つ[ 10] 。
超伝導マグネット研究棟
総合工学実験棟
開発実験棟
制御棟
計測実験棟
工務棟
研究棟
管理・福利棟
施設見学
見学日:火曜日〜金曜日(祝日及び年末年始を除く)。見学希望日の2週間前までに事前予約が必要[ 11] 。
見学時間:10時からと13時40分からの1日2回。所要時間は60 - 90分間[ 11] 。
見学料:無料[ 11]
脚注
参考文献
関連項目
設置運営者
主な実験装置
研究テーマ
設置場所
外部リンク