栄本町線(さかえほんちょうせん)は、神奈川県横浜市における都市計画道路(3・1・7号)。神奈川区青木町(栄町との境界付近)を起点として西区・中区のみなとみらい地区を通り、中区本町までを結ぶ広域幹線道路である[1]。みなとみらい地区内では本線の別称として「みなとみらい大通り」とも呼ばれている。
路線データ
本線・沿線の特徴
本線は横浜市の臨海部(インナーハーバー[2])において重要な拠点であるポートサイド地区、みなとみらい地区、北仲通地区という3つの再開発地区を結ぶ延長約2.7kmの広域幹線道路となっている。以下では各地区ごとに本線および沿線施設等について解説する。
起点・ポートサイド地区〜みなとみらい大橋
本線の起点は神奈川区青木町と栄町の境界に当たる「栄町交差点」付近で、ここでは国道15号と接続している。また、この地点は横浜駅の北東側において首都高横羽線と河川に囲まれた再開発地区であるポートサイド地区の北端にも当たる。同地区は本線の都市計画決定(1985年)を契機として[3]、1990年頃より開発を開始している[注 1]。
「ポートサイド中央交差点」では、同地区のコミュニティ道路として計画された「ギャラリーロード」(都市計画道路3・3・52号「栄千若線」として再整備・延伸予定[4][5])と接しており、同交差点の上部には横浜ベイクォーターと同地区の各施設方面を接続する歩行者デッキの「スカイウェイ」が本線を越えて架設されている。
同地区南端より帷子川下流・港湾部を渡ってみなとみらい地区方面へアクセスする本線の橋梁として、みなとみらい大橋が1997年7月に開通している[6]。なお、同橋の中央付近より横浜駅東口出島地区方面(横浜そごうや横浜スカイビルがある区域)に分岐する「栄本町線支線1号」の計画もある(詳細は後述)。
- 沿線施設
本線は以下の建物・施設の前を通過している。
- ※( )内はポートサイド地区における街区表記[7]
- 栄光ビル
- 横浜ポートサイドビル (E-3)
- 神奈川トヨタ myXビル (E-4)
- ヨコハマポートサイド・ロア (E-2)
- ヨコハマポートサイドレイナ/横浜クリエーションスクエア (E-1)
- パークタワー横濱ポートサイド (B-2)
- ソフトバンク横浜国際通信センター (C-2)
- アート・グレイス・ポートサイド・ヴィラ (C-1)
- ナビューレ横浜タワーレジデンス/横浜ベイクォーター (A-3)
- 沿線構造物
本線上には以下の横断歩道橋および歩行者デッキ(ペデストリアンデッキ)、橋梁が架かっている。
- 横断歩道橋「栄町グリーンウォーク」(本線起点近く)[8]
- 歩行者デッキ「スカイウェイ」(ポートサイド中央交差点の上部)
- みなとみらい大橋(ポートサイド地区〜みなとみらい地区間)
- ギャラリー
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横断歩道橋「栄町グリーンウォーク」
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歩行者デッキ「スカイウェイ」
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みなとみらい大橋(※2014年5月撮影)
みなとみらい地区(みなとみらい大通り)〜北仲橋
みなとみらい地区内では本線の別称として「みなとみらい大通り」とも呼ばれており、同地区では横浜国際平和会議場(パシフィコ横浜)前や新港埠頭を通る国際大通り(臨港幹線道路の一部)と共に主要幹線道路を構成している。またこの二つの大通りを結ぶ幹線道路として、とちのき通り・すずかけ通り・いちょう通り・けやき通り・さくら通りが交差するように造られている。
みなとみらい大橋を渡ってすぐの「とちのき通り西交差点」の上部には、日産自動車グローバル本社から分岐して富士フイルムビジネスイノベーション横浜みなとみらい事業所(R&Dスクエア)方面と京急グループ本社(56-1街区)方面、さらに54街区(清水建設が賃貸オフィスビル「横浜グランゲート」を開発)・新高島駅方面の三方にアクセスする歩行者デッキの「みなとみらい歩道橋」が架かっている[9][10]。ここから南下して、みなとみらい地区内の本線沿い西側にはスーパーオートバックスやアルカエフなど暫定商業施設・店舗が多く存在していたが、2010年代後半に入り新規恒久施設の開発などが次々に決まっている[注 2]。
JR桜木町駅付近を通過すると、同地区南東端より大岡川を渡って北仲通地区方面へアクセスする本線の橋梁として、北仲橋が1997年7月(みなとみらい大橋と同月)に一部開通している[1][6]。この時点で完成していたのは橋梁の南側半分(当時は往復2車線)のみであったが[12]、その後に北側も完成し2002年4月に現在の往復6車線道路として北仲橋より北仲通六丁目までの約170m[13]が全面開通に至った[1]。なお同橋の架設以前には、北仲通地区にかつてあった横浜生糸検査所までの専用線(引き込み線)を通すために大岡橋梁が架かっていた[14][15][16](1994年に撤去、詳細は「北仲橋#大岡橋梁」を参照)。
- 沿線施設
本線は以下の建物・施設の前を通過している。
- ※( )内はみなとみらい地区における街区表記[17]
- 沿線構造物
本線上には以下の歩行者デッキ(ペデストリアンデッキ)、橋梁が架かっている。
- ギャラリー
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歩行者デッキ「みなとみらい歩道橋」(※2014年5月撮影)
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本線歩道にある新高島駅の出入口(※2014年5月撮影)
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本線沿いの西側には2014年時点でアルカエフなど暫定商業施設・店舗が多く存在していた(※2014年5月撮影)
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大岡川に架かる北仲橋(※2014年5月撮影)
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北仲橋上歩道(みなとみらい地区方面)(※2014年5月撮影)
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北仲橋を渡った先よりみなとみらい地区方面を見る(※2014年5月撮影)
終点・北仲通地区(本町通り)
北仲橋を渡ると「本町五丁目交差点」にて、JR桜木町駅の南東側(桜木町一丁目交差点)から伸びている本町通り(国道133号、あるいは都市計画道路3・3・1号「本町線」[19]にも該当)と合流し[20][注 9]、そこから100m程直進した所にある「本町四丁目交差点」付近で終点となる[注 10]。この交差点では本線から直進方向に本町通りが続いており[注 11]、垂直方向には馬車道および万国橋通りが接続している。
北仲橋〜終点までの区間における本線の整備が2002年に完了すると[1][22]、その周囲では北仲通地区(本線を境に北地区と南地区に分けられている)として以下の再開発事業が進められている[19]。
- 北仲通地区再開発事業
本線を挟んで北側の区域は北仲通北地区と呼ばれており、都市型集合住宅「ザ・タワー横浜北仲」やホテル[注 12]、低層部の商業・文化施設[注 13]などからなる200m級の超高層複合ビル(ビルを含む複合施設名:YOKOHAMA KITANAKA KNOT〈横浜北仲ノット〉/事業者:三井不動産レジデンシャル・丸紅)を中心とした大規模なエリア再開発事業が計画されている。当地にはかつて横浜生糸検査所や帝蚕倉庫などの古い建物が複数あったが、前述の再開発計画に伴い、現在では歴史的建造物として残すことが決まっている旧・帝蚕倉庫事務所(通称:北仲BRICK)と横浜第二合同庁舎として改装・復元された旧・横浜生糸検査所、前述の超高層ビル開発の際に解体したのち復元活用された旧・帝蚕倉庫B・C号を残すのみで、他は全て解体撤去済みである(「北仲通地区#既存の建物の保存・活用・解体」も参照)。一方、本線を挟んで南側の区域は北仲通南地区と呼ばれており、横浜市役所新庁舎とUR都市機構による超高層オフィスビル「横浜アイランドタワー」がある。
- 沿線施設
本線は以下の建物・施設の前を通過している。
- ※( )内の地区表記については「北仲通地区#地区別の開発概要」も参照
- ギャラリー
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北仲橋手前より本線沿いで開発が進む北仲通地区方面を見る(※2019年7月撮影)
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本線歩道にある馬車道駅の出入口(※2014年5月撮影)
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本線北側(画像では右側)にある旧帝蚕倉庫事務所(通称:北仲BRICK)(※2014年5月撮影)
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本線終点部北側(画像では左側)にある横浜第二合同庁舎(旧横浜生糸検査所)(※2014年5月撮影)
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本町四丁目交差点(正面の白い建物は旧
富士銀行横浜支店、正面右奥に続く緑のアーチ下の細い通りが
馬車道)
通過する自治体
沿革
整備計画
栄本町線支線1号
みなとみらい大橋の中央付近より分岐して、横浜新都市ビル(横浜そごう)や横浜スカイビルが所在している横浜駅東口出島地区(横浜駅東口臨海地区)方面[注 16]と接続する「栄本町線支線1号」の計画がある[26][27][28]。本計画に備えて、同橋の西側側面(中央付近)では架設当初より鉄骨がむき出しとなっている箇所がある[29]。
なお出島地区と同橋の接続方法としては、同地区の東側を三角状に埋め立ててその上で支線1号と同橋をT字型に接続する案や埋め立ては行わずに橋梁によって接続する案がある[29]。前者の案は本計画の策定時からのもので、エキサイトよこはま22(横浜駅周辺大改造計画)でも本計画および同地区における開発構想として扱われている[26][30][31]。また、みなとみらい地区におけるマスタープランでも68街区海側の埋立(三角状)と同橋への接続道路が描かれている[32]。
この他に本計画と平行して、横浜新都市ビルおよび横浜スカイビルの東側にある横浜市営バス駐車場(横浜市営バス西営業所跡地[33]・旧国鉄横浜線横浜地下駅(仮称)計画地[34])一帯や前述の埋め立てで生じたスペースなどを利用し、出島地区を再開発する構想も出ている[35][36][37][38]。出島地区の土地利用や基盤整備を促進するために、2008年7月には株式会社横浜スカイビル、横浜新都市センター株式会社、横浜市都市整備局、横浜市交通局の4者が「出島地区(横浜駅東口臨海地区)連絡協議会」を結成している[39][40]。
- ギャラリー(2014年5月撮影)
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出島地区(左)とみなとみらい大橋(右)
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間の港湾部が埋立等により接続される
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出島地区バス駐車場
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現在の出島地区(そごうとスカイビルが並ぶ)
脚注
注釈
- ^ 「ヨコハマポートサイド地区第二種市街地再開発事業」の都市計画決定は1986年(本線の都市計画が決定した翌年)のことであり、同地区の開発は本線における整備の進行と密接な関係がある[3]。
- ^ 特に企業の本社オフィスや音楽ホールの他、研究開発拠点などの集積が進んでいる[11]。
- ^ 大林組などによる複合ビル2棟開発計画。2021年4月に着工し、2024年3月竣工。
- ^ LGグループの研究開発拠点「LG YOKOHAMA INNOVATION CENTER(LG横浜イノベーションセンター)」のほか、高層部に賃貸オフィスエリア、低層部に体験型施設「YUMESAKI GALLERY」も設けている。
- ^ コーエーテクモゲームスの本社オフィス、ビジネスホテル「横浜 東急REIホテル」(高層部)やライブハウス型ホール「KT Zepp Yokohama」(低層部に併設)からなる複合ビル。
- ^ エイトノットアンドカンパニーJVによる暮らし提案型暫定施設の計画。2023年9月開業。公募時点の借地期間は2020年7月から10年間の予定(「アルカエフ#跡地における開発」も参照)。
- ^ ウェスティンホテル横浜と長期滞在型ホテル「The Apartment Bay YOKOHAMA(アパートメントベイ横浜)」からなる複合ビル。
- ^ 合同会社KRF48(パナホーム・鹿島建設・ケネディクス)によるオフィス・ホテル等複合ビル開発計画。2020年4月に着工し、2023年1月竣工(「三菱重工横浜ビル#隣接地における計画」も参照)。
- ^ 本線ができる以前は本町通りがメイン道となっていた。当然、現在の北仲橋方面からアイランドタワー周辺までの道はなく、本線となっている場所には第三管区海上保安本部や横浜銀行本店・別館(旧第一銀行横浜支店)などがあった[20][21]。
- ^ この100m程の区間では本線と本町通りが重複している。
- ^ 本町通りはそのまま東に直進し(横浜港郵便局前で、左折する国道133号と分かれる)、みなとみらい線元町・中華街駅の東側にある「谷戸橋」まで続いている[20]。
- ^ 長期・短期滞在型宿泊施設「オークウッドスイーツ横浜」が2020年10月開業。
- ^ 「KITANAKA BRICK&WHITE(北仲ブリック&ホワイト)」という名称で2020年4月より順次開業(同年6月グランドオープン)。
- ^ 都市型集合住宅「ザ・タワー横浜北仲」や長期・短期滞在型宿泊施設「オークウッドスイーツ横浜」、歴史的建造物を生かした低層部の商業・文化施設「KITANAKA BRICK&WHITE(北仲ブリック&ホワイト)」からなる200m級超高層複合ビル(ミクストユースタワー)。歴史的建造物の旧・帝蚕倉庫事務所(通称:北仲BRICK)も、商業・文化施設の一部として保存活用されている。なお、開発プロジェクト名は「馬車道駅直結 横浜北仲タワープロジェクト (仮称)」としていた。
- ^ 本線(全区間)が一部往復2車線区間を含み暫定供用開始[1]。
- ^ この区域は埋立によって造成されており[23](「高島 (横浜市)#歴史」も参照)、港湾や河川に囲まれていることから通称「出島」と呼ばれていた。1960年代までは建物も少なく寂れていたが、1970年代より始まった横浜駅東口周辺の大規模再開発によりこの区域でも1977年に「横浜駅東口出島地区基本構想」が出され、帷子川(下流港湾部)の一部埋立[24]や開発が実施された。さらに1980年代以降は出島地区周辺のみなとみらい地区やポートサイド地区の開発にも波及している[25]。
出典
外部リンク
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