快速 うれしート(かいそく うれしート)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)が運行する一部の快速列車に設定されている普通車座席指定席の愛称である。
概要
JR西日本では、2019年(平成31年)3月16日に、東海道本線・山陽本線(琵琶湖線・JR京都線・JR神戸線)で運転されている新快速への有料座席「Aシート」の導入[1][2][注 1]・通勤特急「らくラクはりま」の新設[1][注 2]、2021年(令和3年)3月13日に、通勤特急「びわこエクスプレス(現:らくラクびわこ)」の全車指定席化[6]、2022年(令和4年)3月12日に、特急「くろしお」「こうのとり」「きのさき」「はしだて」「まいづる」の全車指定席化[4]など、京阪神エリアを走行する特急列車・快速列車への着席保証サービスを強化しており、「快速 うれしート」は、既存の快速列車・普通列車の座席を使用した新たな着席保証サービスとして導入された[7][8]。
2023年(令和5年)11月15日に商標が出願され、2024年(令和6年)6月26日に商標登録された(第6818294号)[9]。
2024年(令和6年)度グッドデザイン賞(鉄道・船舶・航空機部門)を受賞している[10][11][12]。
関西本線(大和路線)における定期列車への指定席設定は、2006年(平成18年)に廃止された急行「かすが」以来約17年ぶり[注 3]、奈良線における定期列車への指定席設定は、1980年(昭和55年)に「紀ノ川」に改称・全車自由席化された急行「しらはま」以来約44年ぶり、山陽本線(広島地区)おける定期列車への指定席設定は、2008年(平成20年)に廃止された寝台特急「あかつき」以来約16年ぶり[注 4]となる。
「Aシート」では既存車両とは異なる座席を導入した[注 5]が、「快速 うれしート」では快速列車で使用されている車両の座席をそのまま使用しており、座席への着席のみを保証している。また、指定席は原則として各列車の最後尾車両の進行方向後ろ寄りの区画としている[注 6]。指定席区画では乗務員室寄りの乗降扉を「専用乗車口」としているほか、立席利用を禁止としている[13][14][注 7]。なお、一般区画(自由席)とは暖簾で区切られる[7][13]。
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設定列車の車内に設置される「暖簾」
(2024年10月
221系車内)
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設定列車の車内に掲出されるステッカー
(2024年10月 221系車内)
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発車標における「快速 うれしート」案内表示
(2024年10月 大阪駅)
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「快速 うれしート」乗車位置
(2024年10月 姫路駅)
設定路線・列車
2024年(令和6年)10月5日時点[13]
関西本線(大和路線)・おおさか東線
- 大和路快速
- 快速
- 区間快速
- 平日朝時間帯の加茂発大阪方面行き2本・奈良発大阪方面行き1本に設定されている[13]。
- 2023年(令和6年)10月23日より、平日朝時間帯の加茂発大阪方面行き2本に設定された[7]。
- 2024年(令和6年)3月18日より、平日朝時間帯の奈良発大阪方面行き1本にも追加で設定された[16]。
- 座席指定は途中の天王寺駅まで、大阪環状線内(天王寺駅から先)は全車自由席となる[13][7]。
- 設定列車には「Q区間快速X号[注 8]」の列車名がつく[13][7][16]。
- 全列車8両編成で運転される[17]。
- 直通快速
- 平日・土休日問わず全列車に設定されている[13]。
- 2023年(令和6年)10月23日より、平日朝時間帯の奈良発大阪行き2本に設定された[7]。
- 2024年(令和6年)3月16日より、平日朝時間帯の奈良発大阪行き2本・土休日の奈良発大阪行き全列車にも追加で設定された[16]。
- 2024年(令和6年)10月5日より、平日・土休日問わず大阪発奈良行き全列車にも追加で設定された[18]。
- 設定列車には、平日は「F直通快速5X号[注 10]」、土休日は「F直通快速7X号[注 10]」の列車名がつく[13][7][16][18]。
- 全列車8両編成で運転される[17]。
奈良線
- みやこ路快速
- 快速
- 区間快速
東海道本線・山陽本線(琵琶湖線・JR京都線・JR神戸線)
- 快速
- 2024年(令和6年)10月7日より、平日朝時間帯の網干発大阪行き3本・姫路発大阪行き1本に設定されている[13][18][注 11]。
- 2025年(令和7年)3月17日より、平日朝時間帯の播州赤穂発米原行き1本[注 12]・網干発米原行き1本・姫路発野洲行き1本・野洲発網干行き3本・野洲発姫路行き1本と、平日夕方・夜時間帯の野洲発網干行き3本・野洲発姫路行き1本にも追加で設定され、網干発大阪行き1本の始発駅が姫路駅に変更される[20][21]。なお、上り列車の座席指定は途中の大阪駅まで、大阪駅から先は全車自由席となる[21]。
- 設定列車には、朝時間帯の列車は「A快速2XX号[注 13]」、夕方時間帯の列車は「A快速X号[注 8]」の列車名がつく[13][18][21]。
- 208号は10両(6両+4両)編成、それ以外の列車は12両(8両+4両)編成で運転される[22]。
福知山線(JR宝塚線)
- 丹波路快速
- 2025年(令和6年)3月17日より、平日朝時間帯の篠山口発大阪行き1本と、平日夕方・夜時間帯の大阪発篠山口行き5本に設定される[20][21]。
- 設定列車には「G丹波路快速5X号[注 14]」の列車名がつく[21]。
- 快速
山陰本線(嵯峨野線)
- 快速
- 2025年(令和6年)3月17日より、平日朝時間帯の園部発京都行き2本と、平日夕方・夜時間帯の京都発園部行き2本に設定される[20][21]。
- 設定列車には「E快速X号[注 13]」の列車名がつく[21]。
- 亀岡・園部方面行き列車は、最前部車両(1号車)の進行方向前寄りの区画が指定席となる[23][21]。
山陽本線(広島地区)
- 快速「通勤ライナー」
- 快速「シティライナー」
- 2024年(令和6年)10月5日より、土休日夕方時間帯の岩国発広島行き2本に設定されている[13][24]。
- 2025年(令和7年)3月15日より、土休日朝時間帯の岩国発広島行き3本にも追加で設定される[20][25]。
- 設定列車には「RシティライナーX号[注 9]」の列車名がつく[13][24]。
- 全列車6両編成で運転される[22]。
料金
「快速 うれしート」の利用には、乗車券(定期乗車券・ICカード乗車券を含む)の他に全区間一律で530円(通常期の料金、閑散期は330円)の座席指定券を追加購入することで利用できる[13][7]。みどりの券売機で発売されるが、車内で指定券は発売されない[13]。また、e5489では「【e5489専用】[快速 うれしート]チケットレス指定席券」を300円で発売している[26]。ただし、「【e5489専用】[快速 うれしート]チケットレス指定席券」は青春18きっぷとの併用はできない[27]。
沿革
- 2023年(令和5年)10月23日:関西本線(大和路線)の区間快速(平日朝の大阪方面行き2本)、おおさか東線経由の直通快速(平日朝の大阪方面行き2本)に設定[7]。
- 2024年(令和6年)
- 3月16日:関西本線(大和路線)の区間快速(平日朝の大阪方面行き1本)と大和路快速(土休日朝の大阪方面行き1本)、おおさか東線経由の直通快速(平日朝の大阪方面行き2本・土休日の大阪方面行き全列車)に追加設定[16](平日の列車は3月18日より)。
- 10月5日:関西本線(大和路線)の快速(平日夕方の奈良方面行き5本)、おおさか東線経由の直通快速(奈良方面行き全列車)、奈良線の快速(平日朝の京都方面行き1本)と区間快速(平日朝の京都方面行き2本)、東海道本線・山陽本線(JR神戸線)の快速(平日朝の大阪方面行き4本)、山陽本線の快速(平日朝の「通勤ライナー」広島方面行き1本と、土休日夕方の「シティライナー」広島方面行き2本)に追加設定[18][24](平日の列車は10月7日より)。
- 10月16日:グッドデザイン賞受賞[10][11][12]。
- 2025年(令和7年)3月15日(予定):奈良線のみやこ路快速・快速・区間快速(全列車)、東海道本線(琵琶湖線・JR京都線・JR神戸線)の快速(平日朝の野洲方面行き3本・姫路方面行き4本と、平日夕方の姫路方面行き4本)、福知山線(JR宝塚線)の丹波路快速(平日朝の大阪方面行き1本と、平日夕方・夜の篠山口方面行き5本)と快速(平日朝の大阪方面行き1本)、山陰本線(嵯峨野線)の快速(平日朝の京都方面行き2本と、平日夕方・夜の園部方面行き2本)、山陽本線の快速(土休日夕方の「シティライナー」広島方面行き3本)に追加設定[23][20][21][25](平日の列車は3月17日より)。
脚注
注釈
- ^ 2020年(令和2年)12月1日より指定席を試験的に設置[3]、2022年(令和4年)3月12日より全席指定席化[4]。
- ^ 2020年(令和2年)7月6日より全車指定席化[5]。
- ^ 奈良駅以西では、1966年(昭和41年)の特急「あすか」の全車自由席化以来約57年ぶり。着席保証に拡大すれば、2011年(平成23年)に廃止されたホームライナー「やまとじライナー」以来約12年ぶり。
- ^ 座席指定相当に拡大すれば、2009年(平成21年)に廃止された寝台特急「富士」「はやぶさ」以来約15年ぶり。昼行列車に限れば、1975年(昭和50年)の山陽新幹線全線開業による昼行列車全廃以来約49年ぶり(山陽本線優等列車沿革#山陽新幹線全線開業も参照)。
- ^ 新快速の既存車両は転換式クロスシートだが、「Aシート」では特急型車両の普通席並みのリクライニングシートを採用した。
- ^ 関西本線(大和路線)・おおさか東線の奈良方面行き列車と奈良線の列車は16席(座席番号8A - 11D)、その他の列車は20席(座席番号1A - 5D)が指定席となる[13]。ただし、座席の構造上、4席(座席番号5A - 5Dまたは8A - 8D)は必ず座席の向きが進行方向と逆向きとなる[13]。
- ^ 「Aシート」ではデッキ部とトイレは追加料金なしでも立席で利用可能[15]。
- ^ a b c Xには数字が入る。下りのみ運転のため奇数のみ。
- ^ a b c d e Xには数字が入る。上りのみ運転のため偶数のみ。
- ^ a b Xには数字が入る。上り列車(奈良行き)は号数の一の位が0から始まる(その他の上り列車は2から)。
- ^ 設定列車は舞子駅・垂水駅・須磨駅を通過する(「快速 うれしート」の設定がない列車も一部が通過する)。
- ^ 指定席は網干駅 - 大阪駅間[20]。
- ^ a b Xには数字が入る。
- ^ Xには数字が入る。丹波路快速・快速で通し番号となる。
- ^ Xには数字が入る。丹波路快速・快速で通し番号となる。上りのみ運転のため偶数のみ。
出典
関連項目
- 関空快速・関空特快「ウイング」:自由席と同じ座席を使用した指定席が設定されていた(2列車共に1両全体が指定席であった。関空特快「ウイング」では「快速 うれしート」と同様、最後尾車両に指定席が設定されていた)。
外部リンク