幾米(ジミー、英語: Jimmy、1958年11月15日[2] - )は台湾宜蘭県出身の絵本作家、イラストレーター。欧米や日本、大韓民国、タイ王国などでも著作が翻訳されているほか[3]、テレビドラマ化、映画化された作品も多い。海外での名義は本姓を合わせた「ジミー・リャオ(英語: Jimmy Liao)」が多用されている。
経歴
台北市立大直高級中学国中部および[1]、台北市立中正高級中学出身[1][4]。中正高中では同級生の影響で進路を美術系(美術学部)に決めると、その同級生を介して画家の呉炫三(中国語版)と出会い[1][5]、その後は洋画家の李石樵からも指導を受けるようになった[1][5]。中国画などでは高得点を取るも、3ヶ月で学んだデッサンは李石樵の採点で40点満点中16点にとどまった[1][5]。それでも135の定数に2,000人が受験した試験で大学に合格し[1][5]、中国文化大学美術系に進学[3]。しかし在学中はデッサンの成績が芳しくなく、絵は描けないと自認し広告会社で12年間新聞や雑誌向けのイラストを担当していた[5]。
1995年に白血病を患い、3年間の自宅療養を経てイラストレーターを再開した。1998年、デビュー作となった絵本「森林裡的秘密」「微笑的魚」が中国時報や民生報(中国語版)、聯合報などで相次いで最良図書に選ばれたのを皮切りに、数多くのヒット作を生み出している[3]。2003年、日本のカルチャー雑誌STUDIO VOICEの「次のアジアを創るA-VIP 55人」に選ばれた[3]。2006年、ディスカバリー・チャンネル「台湾人物誌2(英語: Portraits Taiwan Ⅱ)」に登場した6名に選ばれた[6][7][8][9]。2019年にはミュンヘン・コミックフェスティバル(ドイツ語版)の主賓として招待され、作品の巡回展が行われた[10]。
香港・澳門・台湾地区を含む中国語圏の直近10年間での印税収入ランキング(中国作家富豪榜(中国語版))では、2011年(第6回)に新設された漫画作家部門で朱徳庸(中国語版)(台湾の漫画家)に次ぐ2位に[11][3]、2012年(第7回)では9位に[12]、2013年(第8回)では4位に[13]、2014年(第9回)では7位にランクされている[14]。
家庭
夫人は淡江大学およびニューヨーク市立大学ハンター校出身で[15]、「ハリー・ポッターシリーズ」の繁体中文版を手がけた翻訳家の彭倩文[16]。倩文との間に1女をもうけている[17]。
受賞歴
台湾
- 作品
- 金鼎奨(中国語版)(ゴールデン・トライポッド・アワード、中華民国文化部主催)
- 『躲進世界的角落』:2009年児童書・絵本類部門推薦優良図書[18]
- 『《幾米Spa》電子雜誌』:2009年最優秀電子雑誌[19]
- 『星空』:2010年児童書・絵本類部門[20]
- 『走向春天的下午』:2012年児童書・絵本類部門[21]
- 『不愛讀書不是你的錯』2019児童・少年図書奨[22]
- 『但願有一天你會懂』:2020児童・少年図書奨[23]
- 行政院新聞局および文化部主催「中小学生優良課外読物図書類推薦書物」
- 『謝謝你毛毛兔,這個下午真好玩』第28次(2008)[24]
- 『躲進世界的角落』第31次(2011)[25]
- 『星空』第32次(2012)[26]
- 『走向春天的下午』第33次(2013)[27]
- 『同一個月亮』第40次(2018)[28]
- 『閉上眼睛一下下』第41次(2019)[29]
- 『頭碰頭說說話』第43次(2021)[30]
- 個人
- 第7回誠品閱讀職人大賞(読書職人大賞)「年度最期待作家」(2019)[34]
海外
- 映像作品
- 書籍
- 個人
出版作品
原則として台湾で刊行されたものについてを記載する
絵本
フリーノート
総集編など
自伝など
イラスト提供
このほか、2010年の環境保護ドキュメンタリーフィルム「±2℃(中国語版)」でイラストを提供している[64]。
映像化作品
映画
このほか、黄文君(ステラ・ホァン)と「姆姆抱抱(中国語版)(MuMuHug、邦題:ぎゅっ!して MuMu[65])」制作で知られる楊紹昌(ヴァンス・ヤン)が共同監督を務めた短編アニメ「那個午後的冒險(The adventure of the afternoon)」では、幾米が脚本やキャラクター設計を担当し[66][67]、作品はサンディエゴ・アジアン・フィルム・フェスティバル(英語版)(米国)[68]、Golden Kuker-Sofia(ブルガリア)[69]、トロント・リールアジアン国際映画祭(英語版)[70](カナダ)、ロンドン国際アニメーション映画祭(英語版)(LIAF、イギリス)など[71]、世界各地の映画祭でオフィシャルセレクションとなっている[注 3]。
テレビドラマ
ミュージカル・舞台・コンサート
年 |
タイトル(繁体字) |
監督 |
脚本 |
主演 |
公演場所、時期
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2003 |
《地下鐵:一個音樂的旅程》 |
黎煥雄 |
黎煥雄 |
陳綺貞、范植偉(中国語版)、呉恩琪(中国語版)、黄心心、徐堰鈴、Fa、梁小衛 |
國家戲劇院:2003年7月24日 - 2003年7月27日
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2005 |
《幸運児》 |
黎煥雄 |
黎煥雄、夏宇(中国語版) |
楊乃文(中国語版)、光良、趙文瑄 |
國家戲劇院:2005年9月2日 - 2005年9月10日
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2008 |
《向左走·向右走》 |
黎煥雄 |
黎煥雄 |
張鈞甯、陳柏霖、楊祐寧(中国語版)、蘇打緑、魏如萱(中国語版) |
台北小巨蛋:2008年9月12日 - 2008年9月14日
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2010 |
《向左走·向右走》 |
黎煥雄 |
傅天余(中国語版) |
許茹芸、品冠(中国語版)、魏如萱 |
北京北展劇場:2010年9月21日 - 2010年9月23日
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2012 |
《地下鐵》 |
黎煥雄 |
黎煥雄 |
魏如萱、蘇珮卿、隆宸翰、梁小衛、Fa、梁菲倚、葉文豪、劉廷芳(中国語版)、陳貝瑜、潘志遠 |
國家戲劇院 / 文化局中山堂(中国語版) / 市立文化中心演芸庁(中国語版) / 文化中心至徳堂(中国語版):2012年7月6日 - 2012年8月4日
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2013- 2015 |
《向左走·向右走》 (2014賀歲加演場 / 2015秋冬巡演場) |
黎煥雄 |
黎煥雄 |
魏如萱、蔡旻佑(中国語版)、梁小衛、葉文豪、陳貝瑜、劉廷芳、潘志遠、楊登鈞、崔台鎬、翁寧謙 |
台北市社教館城市舞台 / 桃園県展演中心(中国語版) / 苗北芸文中心演芸庁 / 文化局中山堂 / 員林演芸庁 / 市立文化中心演芸庁 / 文化中心至徳堂 / 県政府文化処芸文中心演芸庁: 2013年4月18日 - 2015年2月8日
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2016 |
《向左走·向右走》 |
黎煥雄 |
黎煥雄 |
魏如萱、王大文(中国語版)、王若琳(中国語版)、梁小衛、劉廷芳、崔台鎬、楊登鈞、張耀仁(中国語版)、潘志遠、李曼(中国語版)、林姿均 |
社教館城市舞台 / 文化局中山堂 / 市立文化中心演芸庁: 2016年4月23日 - 2016年7月10日
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2017 |
《地下鐵》 |
黎煥雄 |
黎煥雄 |
魏如昀(中国語版)、HUSH(中国語版)、梁小衛、 崔台鎬、 大甜(劉廷芳)、王世緯、隆宸翰、洪佩瑜(中国語版)、潘志遠、李曼、潘韋勳、張汶皓、馬雅 |
社教館城市舞台 / 桃園展演中心 / 台中国家歌劇院:2017年1月14日 - 2017年3月26日
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2018 |
《時光電影院》 |
黎煥雄 |
黎煥雄 |
劉容嘉、劉廷芳、廖允杰、崔台鎬、 梁小衛、高俊耀、鄭尹真、許栢昂、洪佩瑜、楊奇殷、 李梓揚、李曼、潘志遠、潘韋勳、陳胖球
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台中国家歌劇院:2018年1月12日 - 1月14日 / 國家戲劇院:2018年1月20日 - 1月23日
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関連作品、参加プロジェクト
エキシビジョン
パブリックアート
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宜蘭駅南方の幾米広場
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宜蘭駅前星空火車
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幾米広場落成記念で装飾された宜蘭駅舎
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土市駅のトリエンナーレ作品
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月亮公車(ジミームーンバス)
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淡海LRT紅樹林駅の装飾
ライセンス商品
企業とのコラボレーション
脚注
注釈
- ^ 自伝『幾米故事的開始』より[1]。
- ^ 中国本土などでも出版物の名義は繁体字『幾米』のまま
- ^ 「Screenings / Awards」を参照[72]
出典
外部リンク
ウィキメディア・コモンズには、
幾米に関連するカテゴリがあります。
中国語版ウィキニュースに本記事に関連した記事があります。