川崎燎
女性映画監督の「川崎僚 」とは別人です。
川崎 燎 (かわさき りょう、1947年 2月25日 - 2020年 4月13日 )は、日本 を代表するジャズ ・ギタリスト 。1960年代後半から世界を股に掛けて活躍している。
1970年代後半には、当時のギターシンセサイザー 開発者の一人としても全世界で著名であり、1980年代半ばには、米国 で発売されたPC の元祖、コモドール64 の為に書かれた幾つかの音楽ソフト(以後日本でも富士通 FMシンセ搭載の機種に同時期に変換され発売された)の著者でもある。
来歴
東京都 杉並区 高円寺 生まれ、世田谷区 梅丘 育ち[ 1] 。川崎燎の父の川崎寅雄[ 2] は海外生活が大半で、昭和 初頭以来外交官 として働き、当時英語 の第一人者でもあった[ 1] 。母、熙子は満州 育ちで、中国語 、ロシア語 、英語が話せ、上海 でドイツ の秘密情報部のエージェントとして働いていた[ 1] 。上海 で巡り合った、戦後シベリア にしばらく抑留された寅雄と妊娠中に上海から日本へ強制送還 された母の間に一人息子として、第二次世界大戦 直後の混沌としていた日本の東京 に生まれ、音楽 、科学 、電気 、天文学 等に興味を持ちながら育った。小学校の同級生に萩原朔美 がいる。
高校卒業後、日本大学 で物理学 を学ぶ傍ら、ジャズ ・ギタリスト としての活動もスタート。やがてトップ・ミュージシャンの一人として認められるようになり、忙しく数年に渡り活躍した後1973年 にアメリカ のニューヨーク に住み着いた。その後ほとんど間もなくアメリカのジャズ・シーンに発掘され、そのジャズの本場でギル・エヴァンス 、トランペット 奏者のテッド・カーソン 、ドラマー のエルヴィン・ジョーンズ 、チコ・ハミルトン 、ピアノ のジョアン・ブラッキーン 、フルート のボビー・ハンフリー 、歌手 のジョー・リー・ウイルソン 、サックス のデイヴ・リーブマン 、プロデューサーのテオ・マセロ 、その他数々の有名なアメリカのジャズの巨匠達のサイド・マンとしてレコーディングやツアーに参加して活躍した。川崎 燎のディスコグラフィはすでに30作近くのリーダー・アルバムの他に50作以上の作品にプロデューサー或いはフィーチャード・アーティストとして参加している。川崎の音楽そしてギター演奏の特性は様々な奏法要素(ブルース、ロック、ハード・バップ、バラード、そしてクラシカル、スパニッシュ、ブラジリアン等のアコースティック的奏法や感性)などを自然、かつ巧みに入れ混ぜながら彼独自のギター音楽世界を醸し出せる技量がある所にあろう。そして彼の天性でもある作曲、編曲家そして科学的な嗜好等が彼のスタイルを築く土台となっている様にも見受けられる。
川崎燎とギル・エヴァンス 。スイート・ベージル, New York City にて。(1982年) 川崎燎とエルヴィン・ジョーンズ in Rochester, N.Y. (1976年)
彼の最新の活動の一部は、エストニア の首都タリン にあるエストニアン・ナショナル・オペラ・ハウスで公演されていた新しいジャズ・バレエ 『ステイル・ポイント』の作編曲担当および音楽監督、ギタリストとしても参加している。
2000年 6月に彼はエストニアの首都タリンで久々のスタジオ ・ライヴ でのギター・トリオ の作品『レヴァル』を録音した。リズム・セクションはエストニアのトップ・ミュージシャンのトイヴォ・ウント(ベース)とアイヴァー・ヴァツシリヤフ(ドラム)が勤め、情緒豊かなクリステー・キールのイングリッシュ・ホーンが何曲かにゲストとして参加している。2002年 にはアコースティック・ソロ・ギター・アルバムの3作目にあたる『E』(邦題:リラクシング・ギター・ソロ)を発売。その後はタリンに拠点を移しカナダ のモントリオール・ジャズ祭 を皮切りにフィンランド のポリ・ジャズ 、バルト三国 のエストニア、ラトヴィア 、リトアニア 、そしてウクライナ 、ロシア 、スウェーデン での各ジャズ祭、クラブ等に精力的に出演している。同時に、1990年代後半から、彼が1970年代から1980年代初頭に発表したアルバムがCDとして再発されている
また、エストニアのヌンメ・ジャズ祭の制作幹部でもある。2005年 には、ベーシスト 鈴木良雄 の率いる、バルト三国では初の日本人のみのジャズ・グループ「ベース・トーク」を日本から数週間に渡る北欧 ツアーに招待するという偉業も成し遂げている。2007年 3月には鈴木良雄との新作デュオ・アルバム『アガナ』の発売記念公演を日本で3週間に渡り行い、同年11月にも更に九州地区中心のツアーを2週間に渡り行っている。また、2005年以降は同じくタリン在住のアメリカ人 ドラマー 、ブライアン・メルヴィン とギター・トリオ「Art Of Trio」を結成して新たなギター・トリオ・サウンドを追求する活動もしている。
2020年4月13日、エストニアのタリンにて死去。73歳没。
ディスコグラフィ
このリストにはCDによる再発作品は含まれていない。
リーダー作品
イージー・リスニング・ジャズ・ギター - Easy Listening Jazz Guitar (Polydor ) 1970年
ガッツ・ザ・ギター - Gut's the Guitar (TOSHIBA) 1972年
プリズム - Prism (1975年7月録音)(East Wind) 1975年
エイト・マイル・ロード - Eight Mile Road (1976年3月録音)(East Wind) 1976年
ジュース - Juice 1976年
リング・トス - Ring Toss (1977年9月~10月録音)(Chiaroscuro) 1977年
ジョアン・ブラッキーンと共同名義, Trinkets And Things (Timeless) 1978年
ネイチャーズ・リベンジ - Nature's Revenge (1978年2月~3月録音)(MPS) 1978年
ミラー・オブ・マイ・マインド - Mirror of My Mind (Openskye) 1979年
リトル・トゥリー - Little Tree (1980年4月録音)(Openskye) 1980年
ライヴ - Live (1980年10月録音)(Openskye) 1980年
サッポロ - Sapporo (America Sound) 1980年
RYO:アランフェス協奏曲 - Ryo: Featuring "Concierto De Aranjuez" (Philips) 1982年
ラッキー・レディー - Lucky Lady (1983年2月、3月録音)1983年 (Continental) 1983年
時のイメージ - Images (1986年録音)(Ryka Music) 1987年
ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア - Here, There and Everywhere (VideoArts Music) 1992年
マイ・レヴァリー - My Reverie (VideoArts Music) 1993年
それじゃ MY LOVE - Love Within The Universe (1994年録音)(One Voice/VideoArts Music) 1995年
リミックス・リミックスVol.1 - Remixes, remixes Vol.1 (VideoArts Music) 1995年
スウィート・ライフ - Sweet Life (Videoarts Music) 1996年
コズミック・リズム - Cosmic Rhythm (Videoarts Music) 1998年
レヴァル - Reval (Satellites) 2001年
E - 2002年
鈴木良雄 と共同名義, アガナ - Agana (DIW) 2007年
鈴木良雄と共同名義, レイト・ナイト・ウィリー - Late Night Willie (Studio songs) 2009年
Tribute to Keith Jarrett 2010年 Toivo Unt & Brian Melvinと共同名義,
Live in Beirut 2011 (Studio songs) 2011年
スペイン:川崎燎プレイズ・ソロ・ギター - Plays Solo Guitar: Spain (Studio songs) 2012年
レヴェル8 - LEVEL 8 (Vivid sound) 2017年
ジャズ・バレー・スティル・ポイント+1 (Studio songs) 2018年
ジャイアント・ステップス :川崎燎プレイズ・ソロ・ギター - Plays Solo Guitar: Giant Steps (Studio songs) 2019年
レベル8 ライブ2017 (Studio songs) 2019年
コンピレーション
Selected Works 1979 to 1983 2016年
Selected Works Part 2 - 1976 to 1980 2017年
12インチ(LP)ダンス・シングル
Electric World (1987年)
One Kiss (1988年)
No Expectations (1988年)
Say Baby I Love You (1988年)
Wildest Dreams (1989年)
Life is the Rhythm (1989年)
Pleasure Garden (1990年)
客演、オムニバス作品
Head-Rock / Jiro Inagaki & Soul Media (1970年)
Sound of Sound Limited / Takeshi Inomata (1970年)
トワ・エ・モア "愛の泉" (1970年)
熱狂の対決 / ドラムと和太鼓 / 猪俣猛とサウンドリミテッド (1971年)
Something / Jiro Inagaki & Soul Media Feat.Steve Marcus (1971年)
明日に架ける橋 - Bridge Over Troubled Water / 佐藤允彦 とビッグ・ソウル・メディア (1971年)
Rock Guitar Battle '71 / Various artists (1971年)
Guitar Workshop / Various artists (1971年)
戦争を知らない子供たち (1972年)
Chigaihoken / Ushio Sakai (1973年)
プレイズ・ジミ・ヘンドリックス - Plays The Music Of Jimi Hendrix / ギル・エヴァンス (1974年)
Mobius / シダー・ウォルトン (1975年)
There Comes a Time / ギル・エヴァンス (1976年)
Tarika Blue vol.1 / Tarika Blue (1976年)
What Would It Be Without You / Joe Lee Wilson (1976年)
東京コンサート - Tokyo Concert / ギル・エヴァンス (1976年)
Tarika Blue vol.2 / Tarika Blue (1977年)
Main Force / エルヴィン・ジョーンズ (1977年)
Time Capsule / エルヴィン・ジョーンズ (1977年)
Aft / JoAnne Brackeen (1978年)
Trinkets and Things / JoAnne Brackeen (1978年)
Round About Midnight / Ted Curson (1978年)
Inside The Plain Of The Elliptic / Clint Houston (1979年)
Pleasure / Shigeharu Mukai (1979年)
The New Orchestra / Joe Gallivan (1979年)
All-In All-Out / 佐藤允彦 (1979年)
I Heard Mingus / Ted Curson (1980年)
Manhattan Skyline / Hiroki Miyano (1980年)
Canciones del Mar y de la Tierra / Earthsong-Oceansong / Suni Paz (1981年)
Impressions of Charles Mingus / Teo Macero (1983年)
Crystalization (夕日とハドソン) / 高野基長 (1986年)
Christmas Songs / Carolling Carollers (1988年)
New York String Quartet vol.1 / New York String Quartet (1988年)
New York String Quartet vol.2 / New York String Quartet (1989年)
Seoul 2 Soul / Jang Yeon Jin (1992年)
Wave / Camila Benson (1995年)
Classic Jazz Funk, Vol. 6: The Definitive Jap-Jazz Mastercuts / Various artists (1995年)
Dusty Fingers Volume 1 / Various artists (1995年)
Memories / Camila Benson (1996年)
Trinkets and Things / Cosmic Village (1997年)
Desafinado / Camila Benson (1997年)
I Will / John Clark (1997年)
RCA Victor 80th Anniversary, Vol. 6: 1970-1979 / Various artists (1997年)
Battle of the Bands: Evans Vs. Mingus / Various artists (1998年)
Super Guitarists / Various artists (1999年)
Jazz Spectrum: Real Jazz for Real People, Vol. 2 / Various artists (1999年)
Three Flutes Up / Chip Shelton (1999年)
花時計〜PINK ROSE (2000年)
More What Flutes 4 / Chip Shelton (2001年)
Different Dreams 2 / Various artists - Estonian Jazz (2001年)
Impressions of Miles Davis / Teo Macero (2001年)
BEAMS Presents SUPER FLAVORS (2003年)
サンプル・ライセンス作品
サウンド・トラック
バレエ音楽作品
Still Point (9 segments) / Estonian National Opera Theater (2001年)
ソフト著作品
Kawasaki Synthesizer (1984年)
Kawasaki Rhythm Rocker (1984年)
Kawasaki Magical Musicquill (1985年)
Kawasaki Midi Workstation (1986年)
ヴィデオ
Different Drummer with Elvin Jones (1979年)
Jazz in Exile Documentary film (1982年)
主な共演者達
(リーダーおよびサイド・マンとして、レコーディング・セッション等も含まれている)
日本
海外
Sax: Michael Brecker , Dave Liebman , Steve Grossman , Frank Foster , David Sanborn , Teo Macero , George Adams , Billy Harper , Pat Labarbara , Bob Berg , Azar Lawrence , Gato Barbieri , Sam Rivers , Archie Shepp , Arhur Bryth , Charlie Rouse , Annie Lawrence , Sam Morrison ,Chico Freeman
Trumpet: Ted Curson , Lew Soloff , Hannibal Marvin Peterson , Randy Brecker , Thad Jones , Woody Shaw , Tom Harrell
Trombone: Steve Ture
Piano/Keyboard: Gil Evans , Larry Young , Tommy Flanagan , Joanne Brackeen , Jimmy Smith , Bobby Timmons , Larry Willis , Cedar Walton , Tom Coster , David Kikoski , Kenny Barron , Al Dailey , John Lewis
Drums/Percussion: Elvin Jones , Tony Williams , Chico Hamilton , Grady Tate , Buddy Williams , Victor Jones , Brian Melvin , Steve Gadd , Harvey Mason , Jack DeJohnette , Jimmy Madison , Alphonse Mouzon , Akira Tana , Rashid Ali
Bass: David Williams , Lincoln Goines , Jaco Pastorius , Milton Hinton , Jimmy Garrison , Anthony Jackson , Herb Bushler , Juni Booth , Marcus Miller , Bob Cranshaw , Alex Blake , Cecil McBee , Mark Egan , Ron McClure , David Friesen
Guitar: Larry Coryell , John Abercrombie , John Scofield , George Benson , Earl Klugh
Flute: Hubert Laws , Bobbi Humphrey , Frank Wess , Chip Shelton
Singers: Helen Merill , Sarah Vaughn , Dee Dee Bridgewater , Joe Lee Wilson , Astrud Gilberto , Leon Thomas
脚注
外部リンク