安房直子

安房 直子(あわ なおこ、本名:峰岸 直子(みねぎし なおこ)[1]1943年1月5日 - 1993年2月25日)は、日本児童文学作家[2][3]。夫は国語学者の峰岸明[3]

来歴・人物

東京に生まれる[4]

引っ越しの多い幼少期を過ごしたのち、日本女子大学附属高校を経て、1965年日本女子大学国文科を卒業[5]。大学在学中より山室静に師事し『目白児童文学』に作品を発表する[6]

大学卒業後、同人誌『海賊』に参加[6]

長らく西東京市に暮らして執筆活動を続けていたが、1993年、肺炎により逝去。享年50[5]

幻想的作風だが、あくまで日本的な民話風の趣をもった作品が多く、晩年は、後の世界を意識したものが多いとする評もある。 没後も評価は高く『安房直子コレクション』全7巻が刊行されている。

『きつねの窓』は1992年より教育出版の国語教科書(小学6年生)に収録されていた[7][8]

2005年、サンリオの雑誌『詩とメルヘン』に掲載された全17編を収録した『安房直子 十七の物語 夢の果て』が、掲載当時コンビを組んだ味戸ケイコの書き下ろしイラストを添えて、当時の編集者であり瑞雲舎の代表を務める井上富雄の手によって刊行された[9]

『初雪のふるひ』は2011年より光村図書出版の国語教科書(小学4年生)に収録されている。

受賞

著書

  • 『北風のわすれたハンカチ』(牧村慶子絵、旺文社、旺文社ジュニア図書館) 1971
  • まほうをかけられた舌』(淵上昭廣絵、岩崎書店、岩崎幼年文庫1) 1971、のち遠藤てるよ画でフォア文庫より再刊 1979.10
  • 『風と木の歌』(司修絵、実業之日本社、少年少女短編名作選) 1972
  • 『白いおうむの森』(赤星亮衛絵、筑摩書房) 1973、のちちくま文庫 1986.8 ISBN 4-480-02068-3 - 童話集
  • 『ハンカチの上の花畑』(岩淵慶造絵、あかね書房、あかね新作児童文学選3) 1973、のち講談社文庫 1977.7、のち金井塚道栄絵であかね文庫 1988.1 ISBN 4-251-10022-0
  • 『しろいしろいえりまきのはなし』(淵上昭広画、小学館、小学館の創作童話シリーズ6) 1974
  • 『銀のくじゃく』(赤星亮衛絵、筑摩書房) 1975、のちちくま文庫 1985.12 ISBN 4-480-02026-8 - 童話集
  • 『ライラック通りのぼうし屋』(小松桂士朗絵、岩崎書店、あたらしい創作童話2) 1975
  • 『きつねの窓』(角川書店角川文庫) 1975
  • 『白樺のテーブル』(味戸ケイコ絵、偕成社) 1976
  • 『しろいあしあと』(牧村慶子画、小学館、小学館の創作童話シリーズ26) 1976.1
  • 『きつねのゆうしょくかい』(赤星亮衛絵、講談社、講談社の幼年創作童話9) 1976.9
  • 『日暮れの海の物語』(角川書店) 1977.7、のち改題『日暮れの海のものがたり』(遠藤てるよ画、フォア文庫) 1982年.3
  • 『ころころだにのちびねずみ』(鈴木琢磨絵、旺文社、旺文社こどもの本) 1977.3
  • 『すずをならすのはだれ』(葉祥明絵、PHP研究所、PHPおはなしひろばシリーズ) 1978.3
  • 『木の葉の魚』(味戸ケイコ絵、サンリオ、詩とメルヘン絵本) 1978.11
  • 『天の鹿』(鈴木康司絵、筑摩書房) 1979.9
  • 『だんまりうさぎ』 (白川三雄絵、偕成社、新しい幼年創作童話) 1979.12
  • 『あめのひのトランペット』(葉祥明絵、金の星社) 1980.3
  • 『南の島の魔法の話』(講談社、講談社文庫) 1980.6
  • 『しいちゃんと赤い毛糸』(奈良坂智子絵、旺文社、旺文社創作童話) 1980.11
  • 『はるかぜのたいこ』(葉祥明絵、金の星社、くまのがっきやさん) 1980.11
  • 『だれにも見えないベランダ』(講談社、講談社文庫) 1981.5
  • 『遠い野ばらの村』(味戸ケイコ絵、筑摩書房) 1981.9、のちちくま文庫 1990.9 ISBN 4-480-02479-4 - 童話集
  • 『ねずみのつくったあさごはん』(田中槙子絵、秋書房) 1981.12
  • 『ゆきひらのはなし』(頓田室子絵、PHP研究所、こころの幼年童話) 1981.12
  • 『青い花』(南塚直子絵、岩崎書店、岩崎創作絵本) 1983.2
  • 『花のにおう町』(味戸ケイコ画、岩崎書店、現代の創作児童文学) 1983.8
  • 『コンタロウのひみつのでんわ』(田中槙子絵、秋書房) 1983.11、のち復刊ドットコムから再刊 2007.11
  • 『冬吉と熊のものがたり』(上野紀子絵、ポプラ社、こども児童館) 1984.1
  • 『風のローラースケート』(小沢良吉 絵、筑摩書房、山の童話) 1984.5
  • 『ふしぎな青いボタン』(田中槙子絵、ひくまの出版、ひくまの出版幼年絵本シリーズ・あおいうみ) 1984.11
  • 『鶴の家』(講談社、講談社文庫) 1984.7 ISBN 4-06-183222-0
  • 『ねこじゃらしの野原:とうふ屋さんの話』(大社玲子絵、講談社、児童文学創作シリーズ) 1984.10 ISBN 4-06-119082-2
  • 『やさしいたんぽぽ』(南塚直子絵、小峰書店、こみねのえほん) 1985.9 ISBN 4-338-06002-6
  • 『グラタンおばあさんとまほうのアヒル』(いせひでこ絵、小峰書店、創作どうわのひろば) 1985.1 ISBN 4-338-01109-2
  • 『空にうかんだエレベーター』(田中槙子絵、あかね書房、あかね創作どうわ) 1986.2 ISBN 4-251-03279-9
  • 『三日月村の黒猫』(司修絵、偕成社) 1986.4 ISBN 4-03-528080-1
  • 『鳥にさらわれた娘』(味戸ケイコ絵、ケイエス企画、モエノベルス・ジュニア) 1987.3 ISBN 4-03-640010-X
  • 『べにばらホテルのお客』(峯梨花絵、筑摩書房) 1987.5 ISBN 4-480-88077-1
  • 『おしゃべりなカーテン』(河本祥子絵、講談社、わくわくライブラリー) 1987.11 ISBN 4-06-195602-7
  • 『うさぎ屋のひみつ』(南塚直子画、岩崎書店、現代の創作児童文学) 1988.2 ISBN 4-265-92836-6
  • 『トランプの中の家』(田中槙子絵、小峰書店) 1988.7 ISBN 4-338-07801-4
  • 『さんしょっ子』(いもとようこ絵、小峰書店、絵本・感動のおくりもの1) 1989.7 ISBN 4-338-08401-4
  • 『サンタクロースの星』(新野めぐみ絵、佼成出版社) 1989.10 ISBN 4-333-01451-4
  • 『わるくちのすきな女の子』(林静一絵、ポプラ社、童話の海2) 1989.12 ISBN 4-591-03372-4
  • 『うさぎのくれたバレエシューズ』(南塚直子絵、小峰書店、えほん・こどもとともに) 1989.10 ISBN 4-338-06911-2
  • 『月へ行くはしご』(奈良坂智子絵、旺文社、旺文社創作童話) 1991 ISBN 4-01-069143-3
  • 『ひめりんごの木の下で』(伊藤正道絵、クレヨンハウス、おはなし広場) 1993.12 ISBN 4-906379-34-6
  • 『たんぽぽ色のリボン』(南塚直子絵、小峰書店、絵童話・しぜんのいのち4) 1993.12 ISBN 4-338-10504-6
  • 『すずめのおくりもの』(菊池恭子絵、講談社、どうわがいっぱい35) 1993.9 ISBN 4-06-197835-7
  • 『花豆の煮えるまで:小夜の物語』(味戸ケイコ絵、偕成社、偕成社ワンダーランド10) 1993.3 ISBN 4-03-540100-5
  • 「安房直子コレクション」(北見葉胡画、偕成社)全7巻
  1. 『なくしてしまった魔法の時間』 2004.3 ISBN 4-03-540910-3
  2. 『見知らぬ町ふしぎな村』 2004.4 ISBN 4-03-540920-0
  3. 『ものいう動物たちのすみか』 2004.4 ISBN 4-03540930-8
  4. 『まよいこんだ異界の話』 2004.4 ISBN 4-03-540940-5
  5. 『恋人たちの冒険』 2004.3 ISBN 4-03-540950-2
  6. 『世界の果ての国へ』 2004.4 ISBN 4-03-540960-X
  7. 『めぐる季節の話』 2004.4 ISBN 4-03-540970-7

脚注

  1. ^ 安房直子 作、淵上昭広 絵『まほうをかけられた舌』岩崎書店〈岩崎幼年文庫1〉、1971年、94頁。 
  2. ^ 市古夏生・菅聡子『日本女性文学大辞典』(日本図書センター、2006年1月。ISBN 4-8205-7880-4 
  3. ^ a b 「安房直子さん 死去=童話作家、峰岸明・横浜国立大学教授の妻」『毎日新聞東京朝刊』1993年2月26日、27面。
  4. ^ 神宮輝夫『現代児童文学作家対談』 9 (あまんきみこ・安房直子・末吉暁子)、(偕成社、1992年10月、173-183頁。ISBN 4-03-020090-7 
  5. ^ a b c d e f g 神宮輝夫『現代児童文学作家対談』 9 (あまんきみこ・安房直子・末吉暁子)、(偕成社、1992年10月、173-183頁。ISBN 4-03-020090-7 
  6. ^ a b 『日本児童文学大事典』 第一巻、大日本図書、1993年、36頁。ISBN 4-477-00376-5 
  7. ^ 佐藤泰正『女流文学の潮流』(笠間書院、2013年3月、124頁。ISBN 978-4-305-60262-6 
  8. ^ 『女性作家は捉え返す 女性たちの物語』ひつじ書房、2020年、53頁。ISBN 9784823410475 
  9. ^ 安房直子『安房直子 十七の物語 夢の果て』(瑞雲舎、2005年12月、248-252頁。ISBN 4-916016-58-0 

関連項目

外部リンク

安房直子記念 ライラック通りの会