『姥ざかり』(うばざかり)は、田辺聖子による日本の小説。1981年に新潮社より出版された。続編として『姥ときめき』『姥うかれ』『姥勝手』がある。
1986年より1988年まで関西テレビ制作・フジテレビ系列の「花王名人劇場」にて7回に渡りテレビドラマ化されている。
1982年より関西芸術座にて『姥ざかり』『姥ときめき』が舞台化されている。2024年に関西俳優協議会により『姥ざかり~2024~』が舞台化された。[1]
概要
主人公・山本歌子は、東神戸のマンションで悠々自適の一人暮らしを楽しむ花の76歳。戦後、頼りない夫に代わって船場の老舗服地問屋を再興し、三人の息子を育て上げた歌子は、夫を見送り、商売を長男に継がせて引退後は、華道や油絵や英会話を習い、海外に旅行し、宝塚歌劇を見……と、自由にして活発な日々を謳歌している。そんな、今まさに姥ざかり真っ只中の歌子と、周囲の人間たちとの間に展開する様々な事件が、関西弁を駆使した著者お得意のユーモラスにして軽妙洒脱な筆致で描かれる。
単行本・文庫本
サブタイトル
『姥ざかり』(新潮社 1981.8)
- 「姥ざかり」
- 「爺捨の月」
- 「姥日和」
- 「姥嵐」
- 「姥野球」
- 「姥処女」
- 「姥ごよみ」
- 「姥あきれ」
- 「姥スター」
『姥ときめき』(新潮社 1984.5)
- 「姥ときめき」
- 「姥見合」
- 「姥湯ざめ」
- 「姥なぜ」
- 「姥ひや酒」
- 「姥探偵」
- 「姥雲隠れ」
『姥うかれ』(新潮社 1987.12)
- 「姥とちり」
- 「姥鍍金(メツキ)」
- 「姥だてら」
- 「姥蛍」
- 「姥けなげ」
- 「姥まくら」
- 「姥鴉」
『姥勝手』(新潮社 1993.9)
- 「姥寝酒」
- 「姥ぷりぷり」
- 「姥芙蓉」
- 「姥ちっち」
- 「姥あらくれ」
- 「姥勝手」
エピソード
- 歌子の年齢設定は、『姥ざかり』:76歳、『姥ときめき』:77歳、『姥うかれ』:78歳、『姥勝手』:80歳、である。
- 『姥ざかり』所収「姥スター」の作中で、歌子が叔母と観劇する「宝塚春の踊り」は、宝塚歌劇昭和56年3月花組公演グランド・ショー『宝塚春の踊り―花の子供風土記―』(植田紳爾/作・演出)である。
- 『姥ときめき』所収「姥なぜ」の作中で、歌子が鼻歌を唄いつつオムレツを作る時の「リズムにぴったり」だと言う「おお宝塚」は、宝塚歌劇昭和5年8月月組公演(※初演)巴里土産レヴユー『パリゼット』(白井鐵造/作・振付)の主題歌の一つ「おゝ宝塚」(白井鐵造/日本語詞,ハリー・カールトン/作詞・作曲(原曲:Constantinople))である。
- 『姥うかれ』所収「姥けなげ」の作中で、歌子が次男の嫁からの電話の途中で口ずさむ「ラ・ベル・たからづか ラ・ベル・うつくしき……」は、宝塚歌劇昭和54年6月月組公演グランド・レビュー『ラ・ベルたからづか―美しき宝塚―』(白井鐵造/作・演出,小原弘亘(小原弘稔)/演出)の主題歌「ラ・ベルたからづか」(白井鐵造/作詞,中元清純/作曲)である。同じく「うるわしの思い出 モン・パリ わがパリ……」は、昭和2年9月花組公演『モン・パリ―吾が巴里よ!―』(岸田辰彌/作)で主題歌として歌われたシャンソン「モン・パリ」(ジャン・ボワイエ,ヴァンサン・スコット/作曲,リュシアン・ボワイエ/作詞,岸田辰彌/訳詞)で、この曲は『ラ・ベルたからづか』の中でも歌われている。
ドラマ
1986年5月4日(花王名人劇場「姥ざかり」)
1986年6月29日(花王名人劇場「姥ざかりII」)
1986年9月14日(花王名人劇場「姥ざかりIII カレは19歳」)
1986年11月16日(花王名人劇場「姥ざかり4 京都初恋事件」)
1987年2月15日(花王名人劇場「姥ざかり5 なんてったって姑」)
1987年5月3日(花王名人劇場「姥ざかり6 あした女になあれ」)
1988年12月25日(花王名人劇場「新・姥ざかり」)
舞台
1982年11月(関西芸術座『姥ざかり』)
1985年4月(関西芸術座『姥ときめき』)
1993年8月(関西芸術座『姥ざかり』)
2008年3月(関西芸術座『姥ざかり』)
2024年2月16日(金)~18日(日)吹田市文化会館 メイシアター小ホール(関西俳優協議会『姥ざかり~2024~』)
脚注