『天使のため息』(原題:If You're Feeling Sinister)は、スコットランドのバンド、ベル・アンド・セバスチャンが1996年に発表した2作目のスタジオ・アルバム。バンドの公式デビュー・アルバムに当たり、当時はセールス的に大きな成功を収められなかったが、批評家からは高い評価を得た[1]。
背景
バンドは1996年8月、ロンドンのインディーズ・レーベル「ジープスター・レコーディングス」との契約を得て、最終的には2002年まで同社に所属することとなった[2]。本作の制作当時、スチュアート・マードックはキャロル・キングやジョニ・ミッチェル(特に『夏草の誘い』や『コート・アンド・スパーク』といったアルバム)を聴き込んでいたという[5]。
反響
リリース当時は大ヒットに至らず、全英アルバムチャートではトップ200入り程度の売り上げにとどまり[1]、トップ100入りは逃した[6]。ノルウェーでは、リリースから約2年後の1998年第39週のアルバム・チャートで最高23位を記録した[4]。
評価
Stephen Thomas Erlewineはオールミュージックにおいて満点の5点を付け「ザ・スミスとサイモン&ガーファンクルの素晴らしき融合」と評している[7]。Elisabeth Vincentelliは1997年6月24日付の『ローリング・ストーン』誌のレビューで5点満点中3.5点を付け「過剰なまでの上品さだけでなく、物語が主導という意味でも、当代のポップ・ミュージックとは全く一線を画している」と評している[8]。また、日本初回盤(VJCP-25330)発売当時の『CDジャーナル』のミニ・レビューでは「学生の名残を思わせる青くて初々しさが微笑ましい」と評されている[3]。
ピッチフォークのスタッフが選出した「1990年代のトップ100アルバム」では14位[9]、『ローリング・ストーン』誌が選出した「1990年代のベスト・アルバム100」では75位にランク・イン[10]。また、『スピン』誌のスタッフが選出した「1985年から2010年の過去25年間のベスト・アルバム125」では59位となった[11]。
『ローリング・ストーン』誌の「歴代最高のアルバム500選」に選ばれている[12]。
収録曲
全曲ともスチュアート・マードック作。
- スターズ・オブ・トラック・アンド・フィールド - "The Stars of Track and Field" - 4:48
- アザー・ピープル - "Seeing Other People" - 3:48
- 僕と少佐の関係 - "Me and the Major" - 3:51
- 映画の中のディランのように - "Like Dylan in the Movies" - 4:14
- フォックス・イン・ザ・スノウ - "The Fox in the Snow" - 4:11
- 消えてしまいそうな僕を連れ出して - "Get Me Away from Here, I'm Dying" - 3:25
- 天使のため息 - "If You're Feeling Sinister" - 5:21
- メイフライ(かげろう) - "Mayfly" - 3:42
- 嘆きの少年 - "The Boy Done Wrong Again" - 4:17
- ジュディは夢を見る - "Judy and the Dream of Horses" - 3:40
参加ミュージシャン
アディショナル・ミュージシャン
- ミック・クック - トランペット(on #1, #6, #10)
脚注