『夜の世界』(よるのせかい、Night World) は、1932年のアメリカ合衆国のプレコードのドラマ映画。
リュー・エアーズ、メイ・クラーク、ボリス・カーロフが主演した[1]。ジョージ・ラフト、ゴシップ・コラムニストに転身する前のヘッダ・ホッパーが助演した。
ホバート・ヘンリーが監督を務め、映画界に進出したばかりのバスビー・バークレーが楽曲「"Who's Your Little Who-Zis"」の振付を行なった[2]。カーロフは悪役であったが、当時よく演じていた役柄と違い魅力的な男性を演じた。
ある寒い冬の夜、ハッピー・ナイトクラブの外ではアイルランド系アメリカ人警官のライアン(ロバート・エメット・オコナー)はアフリカ系アメリカ人のドアマンのティム・ワシントン(クラランス・ミューズ)と雑談している。ティムは妻が重病で心配しているのである。クラブの内部ではオーナーのハッピー(ボリス・カーロフ)が魅力的な妻のジル(ドロシー・レヴィア)のいぬ間に女性と口論する。常連客で不正な賭博師のエド・パウエル(ジョージ・ラフト)とマイケル・ランド(リュー・エアーズ)を店内に迎え入れる。マイケルは裕福な大学生で、母が浮気性の父を殺害したことでタブロイド紙を騒がせている。マイケルは心の傷を癒すために大量に飲酒をしている。
バックステージでは賭博師のパウエルが即興の賭けに負けるが、コーラス・ガールのルース・テイラー(メイ・クラーク)をデートに誘う。ショーの後、コーラス・ガールたちはダンス講師のクラウス(ラッセル・ホプトン)に居残りを命じられる。クラウスは秘密裡にハッピーの妻であるジルと浮気をしている。
エディス・ブレア(ドロシー・ピーターソン)が泥酔したマイケルが一人でいるのを見つける。エディスはマイケルの父の浮気相手とされる女性だったのである。エディスはマイケルに、父親とはただの親しい友人であったとし、父親はマイケルをとても深く愛していたと語る。エデまた、母親は父親を愛しておらず、父親の死を望んでいたと語る。落胆したマイケルは怒りを爆発させ、テーブルをひっくり返す。マイケルは殴られて気絶し、従業員用の部屋に連れていかれてルースが世話をする。
ハッピーは賭博師のジム(ハントリー・ゴードン)密造酒の売買の密談のために出ていく。ハッピーが去る時、ドアマンのティムが重病の妻のために早退したいと願い出るが、ハッピーはそれを断る。
マイケルが目を覚まし、ルースと温かな会話をする。賭博師のパウエルが割って入り、ルースをアパートに誘う。マイケルはパウエルを殴り、ティムはパウエルをタクシーに押し入れる。マイケルの母(ヘッダ・ホッパー)が突然やってきて、マイケルは父親への態度について非難する。
ダンスのリハーサルは深夜まで続くが、クラウスは休憩をとりジルと過ごす。ハッピーが戻り、ティムは入院中の妻に会いに行ってもいいか再び尋ねるが、ハッピーは断る。ハッピーはジルとクラウスが一緒にいるのを見つけ、クラウスは気まずい様子で去る。ハッピーはジルに、離婚はしないが、婚姻を続けて侮辱し続けると語る。
マイケルとルースは共に食事をする。マイケルはルースに、数時間前に出会ったばかりだが共にバリに逃げようとプロポーズする。甘い雰囲気の中であるが、ティムは妻が亡くなったことを知る。ティムが妻の死の床に向かおうとすると、ハッピーを探しに来たギャングのジムとその仲間たちに銃で撃たれる。そしてジムたちはハッピーとジルを撃つ。マイケルとルースに銃を向けた瞬間、ジムたちは警官のライアンに撃たれる。マイケルとルースはパトカーに乗り込み、ルースはマイケルとバリに行くことに同意する。
原題は「Night World」であるが、当初は「Night Club」であった[3]。
この映画はアメリカ議会図書館に保存されている[4]。
ラフトは『暗黒街の顔役』に出演していたが、『夜の世界』に配役された時はまだ公開されていなかった[5]。
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