夏青青(か せいせい)は、金庸の武俠小説『碧血剣』に登場する架空の人物。男装の美少女であり、主人公・袁承志の恋人となる。
概略
容姿は美しいが非常に嫉妬深く、わがまま。袁承志に対しては素直になれず、幼馴染の女性・小慧のことを楽しそうに話す袁承志に対し、これから二度と小慧と会うな、といった無茶な要求をすることも多かった。また、温家で育ったためか、殺人や盗みなどの悪事に対してもあまり抵抗がない。
江南の出身で、父親は金蛇郎君・夏雪宜。ただし、母の実家である温家が金蛇郎君と敵対していたため、父親を知らずに育つ。そのため、初期は温の姓を名乗り、温青青と名乗っていた[1]。
父親がいないということは青青にとって相当なコンプレックスとなっており、感情が高ぶると「私に父親がいないからって馬鹿にしているね」「どうせ私みたいに父親がいない人間なんて」といった台詞を口にすることが多かった。ただ、父が金蛇郎君だということを知ると、父のことを誇りに思うようになった。
成長してからは盗賊まがいのことをしており、強奪した金品を温家に納めていた。本人が言うには、少なくとも温家に養ってもらった以上に利益は出したとのこと。
1644年、李自成の軍資金を強奪したことがきっかけで袁承志と縁を持つ。このときになってようやく自分の出自を知り、温家を出ることになった。
男装について
容貌としては、父の金蛇郎君に似てかなりの美形。ただ、あまり女性の服装をすることはなく基本的には男装[2]。作中の描写によれば、「誰がどう見ても男装の美少女」とのことであり、木桑道人や洪勝海などは特に説明されることもなく青青が女性であることに気がついている。ただ、袁承志など物語の鍵となる人物には説明されるまで気が付かない者が相当数いた。
- 原因として、10代をまるごと修行に費やしており、女性をほとんど見たことがなかったため。そのため、あろうことか男性風に「温青」と名乗る青青と義兄弟の契りを交わしてしまっている。
- 青青と初めて会ったのが夜だったこと、父の命が危ういという極限状態であったことも手伝い、木桑道人に説明されるまで青青を男性と勘違いしていた。
- 一目で青青に恋をしてしまったため、かなりの長期間にわたって青青を男性だと思い込んでいた。袁承志らに敵対していた五毒教を捨て、華山派に鞍替えした原因も青青への恋心のため。あまりに気の毒で、袁承志らはなかなか真相を告げられずにいた。真実を知った際は、あまりの衝撃に放心してしまっている。
- 青青の父親が金蛇郎君だと聞いた瞬間に興奮し、まともな判断能力を失ってしまったために青青を男性と誤認してしまう。
家系図
脚注
- ^ 中国では伝統的に夫婦別姓であり、子は父親の姓を名乗るのが普通。子が母の姓を名乗るのは、父が不明な場合(母が遊女の場合など)に限定される。
- ^ 男性が女装をすることは儒教倫理に問題があるが、女性の男装は文化的に許されている。
演じた女優
- 映画
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