@
単価記号 (たんかきごう)とは記号「@ 」。 JIS X 0208 における日本語通用名称「単価記号」に後に制定された JIS X 0213 においてアットマーク と言う別称が加えられた。「a 」を丸で囲んだ 「ⓐ 」とは別字。
「@ 」は会計 において一般に用いられる略記号。例えば「商品7個 @ $2 = $14」(商品7個 各単価2ドル 小計14ドル)のように請求書 などに用いられていた。レイ・トムリンソン が電子メール のメールアドレス に用いたので1990年代後半以降に身近な記号になっていった。
名称
ANSI 、CCITT 、Unicode による文字コード 規格では、いずれも「commercial at 」(コマーシャルアット )が公式名称である。Unicode はさらに「at sign」を代替名称としている。英語 では一般に「at @」あるいは「at symbol」などと呼ばれ、文章中では単に「at」と読まれる。
各言語で、以下のような俗称がある[要出典 ] 。(言語によっては正式名称として扱われている[ 注釈 1] [ 4] )
起源
1448年の文書でアローバの記号として使われた @
1674年のフランス語文書で à として使われた @
à 説に基づく @ の起源
起源にはいくつかの説がある。
ギリシャの水量の単位@から来ている。
ラテン語 の「アンフォラ 」(取っ手が付いたツボ )という意味の記号である。1つの「アンフォラ」に入る量が「1アンフォラ」とされ、その後に単価を表すマークになった。
スペイン語 圏・ポルトガル語 圏の質量の単位アローバ (arroba ) の記号。1448年のアラゴン や、1537年のヴェネツィア に用例がある[ 5] 。
ラテン語の前置詞 ad (英語の at にあたる接頭字)の合字 。
フランス語 の前置詞 à (英語の at にあたる)の変形。
英語 の each at から、e と a の合字。
歴史
最古の登場は、12世紀のビサンツ帝国の年譜記録者コンスタンティノス・マナセル による、ある写本の1345年のブルガリア語訳だった(当の写本は今はバチカン図書館にある)。そこでは「アーメン」という単語の「A」の字の代わりに@が登場する[ 4] 。
1448年のスペイン語の文章、1536年のイタリア語の文章、1674年のフランス語の文章に@の印が見つかっている[ 4] 。
意味
単価
たとえば @ $300 と書いて、単価(1個の価格)が300ドル であることを意味する。ただし英単語の at の意味は「単価」ではなく「~の値段で」で、単価300ドルは正確には at $300 apiece などという。
スタイルシート言語
CSS (Cascading Style Sheets)では、@規則で使う(@charset "UTF-8";
,@media all {p {color: red}}
)など。
メールアドレス
現在では、atの代わりに幅広く使われだしており、特に、インターネット の電子メール のアドレス で、ユーザ名とドメイン名 を分けるのに使われる。これは、1971年、レイ・トムリンソン が、前述のように単価を表す文字として使われていた@ を「このユーザーは、ローカルマシン上(at the local machine)ではなく、他のホスト上(at another host)に居る」と言う意味を込めるために採用したことに始まる[ 6] [ 4] 。
プログラム言語
Python において@は宣言したデコレータ を呼び出す際に用いる。
Ruby において@はインスタンス変数 の識別子を表し、@hogeでインスタンス間での変数のやりとりが可能となる。
Perl において@は配列 変数を宣言する。
PHP において@はエラー制御演算子を表し、@func(funcは予約関数)で、一定のエラー表示を抑制することができる。
Vue.js において@はv-onディレクティブの省略記法となっている。v-on:clickの場合は@clickと記述することができる。
自然言語
英単語の at の略記に使う。
メールアドレスでの用法から派生し、自然言語 でも、電子メール中などで「人名@ 企業・団体名」というような使い方をすることがある。
日本語ではその派生としてオンラインゲーム ・アーケードゲーム 等にて「ニックネーム@ 所属チーム名」・「ニックネーム@ 使用キャラクター(アバター)の名前」といった使い方もみられる。
特にアメリカ では、スポーツ競技のホームアンドアウェイ での対戦カードを「アウェイチーム@ ホームチーム」で表記することが多い。これは、アウェイチームから見て「相手チームのホームで (at) 試合をする」という意味がある。
Leet (ハッカー語)では「a 」や「at」の代わりに使うことがある。例:THE IDOLM@STER (この場合はTHE IDOLMASTERと発音する)。
コンピューターゲームの『ローグ 』において主人公を示す記号に@が使われた事から、ローグライクゲーム における自機の総称、通称として@を用いることがある。
日本語では英語 at にかけたインターネットスラング として、いくつかの用法がある。
英語のatの意味から派生して、場所を表す表現に用いる。例えば、「今日は暑かった@渋谷」で渋谷周辺に言及していることを表す。
音の「あと」をとって追加事項を表す。例えば、「@3日」は「あと3日」、「@3人」は「あと3人」。
さらに派生して「あと」の意味を伴わない追加事項を表す場合にも使われる。例えば、「イベント@終了」でイベントが終了したことを表すなど。
日本のプロゴルフツアーにアマチュア選手が参加した際、リーダーボード(順位表)の氏名にはアットマークが前置される[ 7] [ 8] 。
スペイン語 ・ポルトガル語 などでは、名詞 の母音 が男性形 なら -o- ・女性形なら -a- となるとき通性形として -@ - を使う。たとえば、amig@ sは「amigos(男の友達)またはamigas(女の友達)」を意味する。
@ の大文字と小文字 コアリブ語 (Koalib language ) の正書法 では、ラテン文字 の1つとしてアラビア語 からの借用語 に使われる。@ の大文字 も使う[ 9] 。文字としての@ の大文字・小文字は、国際SIL によりUnicodeの私用領域に外字 として登録されたが[ 10] 、Unicodeには採用されていない。
インターネットリレーチャット (IRC)では、チャンネルのオペレーター権限を持っていることを示すために、ニックネームの前につけられる。日本 では、鳴門巻き の輪切りに似ていることから「なると」とも呼ばれる。
ビッグモーター において、車両修理の工賃と部品交換で得られる利益の合計額を表す隠語、@「アット」[ 11] 。ビッグモーター#主な不祥事 も参照。
記法
企業・団体名
アットローン はかつて存在した日本の消費者金融。サービス名に「@Loan 」の商標を用いていた。
エフエム愛知 の愛称、@FM (アットエフエム)。
ギャラリー@KCUA、京都市立芸術大学のサテライトギャラリー「アクア」と呼ぶ。
文字コード
Unicode・JIS
記号
Unicode
JIS X 0213
文字参照
名称
@
U+0040
1-1-87
@
@
commercial at 単価記号、アットマーク
﹫
U+FE6B
-
﹫
﹫
small commercial at
@
U+FF20
1-1-87
@
@
fullwidth commercial at
モールス符号
国際電気通信連合 は2004年 5月3日 、国際モールス符号 表[ 12] に@ を追加することを承認した。符号は・--・-・[ 注釈 3] 。
脚注
注釈
^ 具体的にはスペイン語・ポルトガル語である。
^ arroba メートル法以前の質量あるいは体積の単位として用いられる(この言葉の由来をさらにたどると、アラビア語でロバが背負える荷物の量を指す言葉に行き着く)。
^ なお#起源 に出てくるフランス語の前置詞 à (À) には、この符号表には載っていないものの・--・-が使われている(モールス符号#主な“ダイアクリティカルマーク”付きアルファベットなど )。
出典
関連項目
参考文献
ウィキメディア・コモンズには、
単価記号 に関連するカテゴリがあります。
日本工業規格 『JIS X 0208:1997 - 7ビット及び8ビットの2バイト情報交換用符号化漢字集合』日本規格協会 、1997年。
日本工業規格『JIS X 0213:2000 - 7ビット及び8ビットの2バイト情報交換用符号化拡張漢字集合』日本規格協会 、2000年。
The Unicode Consortium (2014年). “C0 Controls and Basic Latin ” (PDF). The Unicode Standard, Version 7.0 . Mountain View, CA: The Unicode Consortium. 2014年9月7日 閲覧。
スティーブン・ウェップ著、松浦俊輔訳『記号とシンボルの事典』青土社、2019年、27頁 arroba,arobase,apenstaartje,kukac,snabel-aの表記確認
空白類 記述記号 ハイフン類 音声記号 括弧類 準仮名・漢字 学術記号 単位記号 通貨記号
一般的な記号
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