アシュールハンドアックス(4方向から撮影)
前期旧石器時代 (Lower Paleolithic またはLower Palaeolithic )は旧石器時代 の最も早い時代区分である。ヒト属 が石器 を用いた最初の証拠が現在の考古資料に現れるおおよそ250万年前程からオルドワン石器 (「様式1」)やアシュール石器 (英語版 ) (「様式2」)石器技術に彩られる30万年までの時代を指す。
アフリカでは、2011年にSonia Harmandらにより、ケニアトゥルカナ湖 周辺のロメクイ (英語版 ) で、これまでに最も古い推定330万年前の石器が発見され、アフリカ考古学における前期石器時代 の開始は更に50万年以上遡っている[ 1]
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[ 3] 。
なお、最も早い初期のヒト属による火の利用 が前期旧石器時代に遡るのか中期旧石器時代に遡るのかは、いまだに疑問である[ 4] 。
ジェラシアン
前期旧石器時代は東アフリカで約330万年前に世界で最も古い石器の出現と共に始まった[ 1] 。約250万年前のジェラシアン (前期更新世 (英語版 ) )は、(アウストラロピテクス・ガルヒ のような)猿人 から発展した可能性のあるヒト属 (ホモ・ハビリス )の遺伝子の出現があった。この早期の遺伝子グループヒト属 は、約250万年前から170万年前の約100万年に優位であったオルドワン石器 や様式1の下で概要が説明できる原始的な石器を製造した。ホモ・ハビリス は死肉から肉を切り取ったり骨髄 を抜き取る為に骨を破壊するのに石器を用いて主に腐肉食 で生きていたと推定されている。
ヒト族のアウストラロピテクス の主にフルージヴォア (英語版 ) や雑食 から初期のヒト属 の生活習慣を一掃する肉食 への移行は、第四紀氷河期 (英語版 ) と関連する東アフリカ の気候変動により説明されてきた。大洋性蒸発の減少により森林を犠牲にした乾燥化した気候とサバナ の拡大が起きた。新たな食料源を探し出す一部の原始猿人 を刺激する果物の獲得を減少させる事態は、乾燥化するサバナの環境下で起きた。デレク・ビッカートン (2009年)は(現在知覚に存在しないものに言及しながら)ヒト科 全てに見出される単純な動物のコミュニケーション から転置する能力のある最初期のコミュニケーション形態への移行がこの時期にあったとし、大きな死肉を一掃する集団を「採用する」必要により刺激を与えられた[ 5] 。
ホモ・エレクトス は過渡期の変種ホモ・エルガステル を通じて約180万年前までに現れた。
カラブリアン
ホモ・エレクトス は旧石器時代を通じて中石器時代 に向けて優位を保つ狩猟採集社会 を発展させながら腐肉あさりの社会から狩猟 に移行した。狩猟採集の生活様式の新たな隙間 (英語版 ) の開放は、約60万年前までにホモ・ハイデルベルゲンシス の出現につながる数多の更なる行動や生理的な変更に駆り立てた。
ホモ・エレクトス はアフリカから移住し、ユーラシアを通じて広まった。マレーシア の石器 は、183万年前までさかのぼる[ 6] 。1929年に発見された北京原人 は、概ね70万年前のものである。
欧州では(アベヴィリアン (英語版 ) として欧州で知られる)オルドワン石器 は、割く様式のクラクトニアン (英語版 ) とハンドアックス 様式のアシュール (英語版 ) という二つの平行様式に分かれた。打ち砕く燧石 用のルバロア技術 (英語版 ) は、この時期に発展した。
アフリカから欧州にかけての担体種は、疑いなくホモ・エレクトス であった。相対的に濃密に東南アジア で現れるバルカン半島 を通じて南欧に広まったこの種の人間は、明らかに割く様式に関連している。中期旧石器時代 の多くのムスティエ文化 の発掘資料は、ネアンデルタール人 がホモ・エレクトス から(または恐らくホモ・ハイデルベルゲンシス 、下記参照)別れたことを示唆するルヴァロア技術を用いて割かれている。
イタリアのフォルリ 近郊のモンテポッジオロ (英語版 ) は、180万年前から110万年前までさかのぼるアシュール (英語版 ) 湖岸地域の (英語版 ) ハンドアックス産業 (英語版 ) に位置する[ 7] 。
チバニアン
約60万年前以降にアフリカでアシュール型石器 (英語版 ) の製造に関わったホモ・ハイデルベルゲンシス の出現は、後の約40万年前のホモ・ローデシエンシス やホモ・ケプラネンシス のような他の数多の旧人類の出現を予告している。ホモ・ハイデルベルゲンシス は初期の象徴的な言語形態 を発展させた最初のヒト属の有力な候補である。
しかし、初期のヒト属による火の利用 や葬祭 (英語版 ) の起源がこのアシュール文化まで遡るのかは未だ明らかになっていない。
前期旧石器時代に発見されたアシューリアンハンドアックスのレプリカ絵。原石は黒曜石であり、石核の両側を刃に用いていた。
同じ時期に欧州でも、スワコンベ (英語版 ) やシュタインハイム (英語版 ) 、タウタヴェル (英語版 ) 、ヴェールテッセーレーシュ (英語版 ) で発見されたような化石により代表される「ホモ・パラエオフンガリクス 」が現れ、ハンドアックス様式の起源をもち、ホモ・エレクトス 等の旧人類 とサピエンス属 の間に介在する人類ではないかとの説もある。
しかし今日では、介在したのはホモ・ハイデルベルゲンシス であるとする説が有力である。
中期旧石器時代への移行
約30万年前から技術や社会構成、石核調整技法 (英語版 ) による石器や葬祭 (英語版 ) の最初期の例証、生計手段の狩猟採集社会 への変更と共に更に複雑になったようである。モロッコのジェベルイルード (英語版 ) で発見された化石から証明されるようにホモ・サピエンス (英語版 ) は初めて約30万年前に現れている[ 8] 。
参照
^ a b Harmand, Sonia (21 May 2015). “3.3-million-year-old stone tools from Lomekwi 3, West Turkana, Kenya”. Nature 521 (7552): 310–315. doi :10.1038/nature14464 . PMID 25993961 .
^ “Early Stone Age Tools ”. What does it mean to be human? . Smithsonian Institution (2014年9月29日). 2014年9月30日 閲覧。
^ Barham, Lawrence; Mitchell, Peter (2008). The First Africans: African Archaeology from the Earliest Toolmakers to Most Recent Foragers . New York: Cambridge. pp. 16. ISBN 978-0-521-61265-4
^ “Lower Paleolithic ”. Dictionary com. December 30, 2016 閲覧。
^ Derek Bickerton, Adam's Tongue: How Humans Made Language, How Language Made Humans , New York: Hill and Wang 2009.
^
マレーシアの科学者「東南アジア最古の」石器発見
^ “. Location of Acheulian handaxes industries (Mode 2) and... - study of Early and Lower Palaeolithic lithic industries. The most ancient European prehistoric sites, dated from 1.8 to 1.1 Ma, have been discovered in a variety of contexts: fl uvio- lacustrine (Dmanisi, Georgia; Orce, Spain), littoral (Monte Poggiolo, Italy) ”. researchgate. December 28, 2016 閲覧。
^ “World’s oldest Homo sapiens fossils found in Morocco” (英語). Science | AAAS . (2017年6月6日). http://www.sciencemag.org/news/2017/06/world-s-oldest-homo-sapiens-fossils-found-morocco 2018年5月4日 閲覧。
関連項目
外部リンク