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六道銭（ろくどうせん、りくどうせん）は、死者と共に棺桶に入れる銭貨^[1]。現代では紙に印刷されたもので代用することも多いが^[2]、これを指して六道銭と呼ぶこともある ^[3]。

歴史

中国には古来、死者を埋葬する際に銭貨を棺に入れる文化があった。金属の持つ呪力で悪霊を祓うために始まった ^[4] という文献もあるが、仏教ではこれを六道銭と呼んだ^[5]。後に本物の銭貨ではなく紙銭（銭貨を模して紙で作ったもの）を使用するようになった^[5]。

日本国内における墓地への銭貨の埋納は、和同開珎の時代にすでに見られる。ただし数は5枚の整数倍で、結界または土地神（土公神）に対する土地購入の対価と考えられている。平安時代末期以降^[6]、とくに六道絵などによって六道思想が広まった中世以降^[7]、6枚の例が増える。六道銭の成立である^[6]。遅くとも14世紀には確認できる。中世の六道銭はまだ枚数が一定しておらず、近世に至り6枚が通例となった^[7]。

のちに六道の岐（街）で使用する路銀^[8]であるとか三途の川の渡し賃である^[9]とかの意味付けがなされた。六道能化（地蔵菩薩の異称^[4]）に対する賽銭であるともいう^[1]。

江戸期の六道銭には寛永通宝のほか、絵銭の一種である「念仏銭」、「題目銭」が使用された実績がある^[10]。

出典

^ ^a ^b 日本大辞典刊行会編『日本国語大辞典』第二十巻、小学館、1976年3月1日、569頁。
^ 『現代葬送用語の基礎知識』藤井正雄、四季社、2011年6月15日、304頁。ISBN 978-4-88405-658-2。
^ 望月信亨『望月仏教大辞典』第五巻、塚本善隆、世界聖典刊行協会、1958年2月15日、5072頁。
^ ^a ^b 新村出編『広辞苑第七版机上版た―ん』岩波書店、2018年1月12日、3142頁。ISBN 978-4-00-080132-4。
^ ^a ^b 中村元『広説仏教語大辞典』中巻、東京書籍、2001年6月21日、678頁。ISBN 4-487-73177-1。
^ ^a ^b 福田アジオ, 新谷尚紀, 湯川洋司, 神田より子, 中込睦子, 渡邊欣雄編『日本民俗大辞典』下、吉川弘文館、2000年4月20日、821頁。ISBN 4-642-01333-4。
^ ^a ^b 櫻木晋一『貨幣考古学の世界』ニューサイエンス社〈考古調査ハンドブック15〉、2016年、53頁。ISBN 978-4-8216-0527-9。
^ 中村元『広説仏教語大辞典』下巻、東京書籍、2001年6月21日、1721頁。ISBN 4-487-73178-X。
^ 関口真大『現代に生きる仏教用語集』大東出版社、1979年6月29日、396頁。
^ 「絵銭の世界」『日本の貨幣コレクション』アシェット・コレクションズ・ジャパン、2020年、15-16頁。